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2020.05.06

こないだ、散歩中にいろんな気づきを得た。

途中どうにもこうにも喉が乾いて、近くにあった大きな薬局に駆け込んで命のOS-1を得た私は、またむっとした街中を歩くことにしたんだけど、ふと信号機の下に小さくて黒いものがあることに気づいた。

よく見るとさっきこの世に生まれたばかりなんじゃないかっていうくらい無垢な顔をした鳥の雛が、何者かに潰されて死んでいた。まだ紅く輝く血を流して死んでいた。雛は何にも染まらぬまま、まぶたを閉じていた。

すごく苦しかったし、できればその子に会いたくなかったけど、ふとその時、「どこにでも死の香りはするんだよな」って思った。

人間は愚かで弱いから、いつだって死の話は他人のまた他人の話で、こうやって未知の病がはやりでもしないと実感できないけれど、自然の流れはもっと疾走感を持って死に向かってるはずで、私が明日事故でしんでもおかしくない世界にいるはずなんだよなって。

でもまた私はきっとこのことを端切から徐々に忘れていってしまうし、また日常が日常であること、いつも安全であることを過信するんだと思う。そしてまたこのことを思い出させるような出来事に遭遇する。その繰り返しなのだと思う。だけど、次遭遇したときも、今回と同じように、せめて、気づきを得たいなと思う。

それと同じくらい印象に残ったのは、その雛の姿を見た後に夕日のオレンジにじんわりと染められる空を見つめて、「夕焼けのオレンジの縁まろやかにやさしくなでるきみの指先」という短歌を思いついたんだけど、きっと穏やかな顔でやさしく縁取るであろう指先を、その指先から脈々と流れる温度、その誰かを想えるって幸せだなって思ったんだ。

ただ同じ星に住んでるということだけに確信を持てる曖昧な世界で、そのあたたかな指先を想えることは何にも勝る希望になるのではないかと、そう思うのです。

早くあなたに、きみに、逢えますように。