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きっとどこかに生きてる
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2015年6月の記事一覧

ねえねえ、日々あたらしいことが生まれるってすごくない?そのことに私気づいちゃったの!ちょっと、いきなり何言ってんのって顔しないでよ。え?うん、それだけ、だよ?ほら、鏡見てよ。口の横、にきび出来てるでしょ?ね、今、生まれた。だから私言ったじゃん。

記憶の中にある廃れない色に、名前なんてないんだ。

記憶の中にある廃れない色に、名前なんてないんだ。

特に花に興味があるわけじゃない僕にも、好きな花が2つある。

ひとつ目は、やっとあたたかくなった頃、気持ちのいい春風とともに花びらが町中を泳ぎ、儚く散りゆく桜。入学式に満開の花を咲かせ、卒業式には別れを惜しむかのように散る…これが理想だけど、実際は入学式にようやく花がちらほらと咲き始め、卒業式に満開を迎えることのほうが多いように思う。正門に植えられた桜の木も、今は雨に濡れてじっとこっちを見ている。

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美化や風化が伴う、ジップロック。

美化や風化が伴う、ジップロック。

メールの通知音が薄暗い部屋の中でひびく。ぼんやりと目を開ける。昼間、頼んでもいないのにジリジリと照りつけていた太陽は、すっかり帰宅時間になったようで半分以上の体を地平線に沈めていた。窓からの風はまだ夏になっていないことを知らせるようにソファーのない部屋をいっそう冷たくする。僕はまだ意識がはっきりしていないまま、枕元にあったスマホを開き、さっきピロリンという音と共に届いた通知を確認した。

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