マガジンのカバー画像

book

16
読書記録
運営しているクリエイター

2020年6月の記事一覧

星の王子さま(抜粋)

8 「おとなたちには、いつだって説明がいる」 23 「新しい友達のことを話しても、おとなは、いちばんたいせつなことはなにも聞かない。『どんな声をしてる?』とか『どんな遊びが好き?』『蝶のコレクションしてる?』といったことはけっして聞かず、『何歳?』『何人きょうだい?』『体重は何キロ?』『おとうさんの収入は?』などと聞くのだ。そうしてようやく、その子のことがわかった気になる。」 30 『毎日のきまりにすればいいんだよ』のち王子さまは言った。『朝、自分の身づくろいがすんだら、

『星の王子さま』(サン=テグジュペリ)読了

なんとなくずっと手に取ってこなかったものの、ふと読みたいなと思って買った『星の王子さま』を読んだ。恥ずかしながらはじめて読んだのだけど、今心に冷たい風が吹き付ける世の中で私はこの本のあたたかさに救われた。 私は星や月を眺めるとき、この星に生きる愛する人たちのことを想うのだけど、なんだかそれは生きていようとこの世にいない存在であろうと変わらないことだと思った。きっと私は彼や彼女、またそれらの人がこの星を離れても同じように私は星を眺めるし、自分のことを見つめるように月を見つめる

『となりのヨンヒさん』(チョン・ソヨン)読了

これはSF小説だから設定は現実と違うはずなのに、どうも"この宇宙"を見たことがあるような気がしてしまう。 それは錯覚として扱ってもいいけれど、この話を人が書いているという点を重視するなら、人の中にこそ宇宙は広がるのかもしれないとも思う。 例えばあまりにも辛いことがあったとき、現実という重さでのしかかるものを自分から丁寧に剥がし、しばしじっと眺めるような時間。時折私たちは場所や時間、概念をも超越した途方もない空間に身を置いて、その現実を見つめる準備をしなければならないのかもし

シッダールタ(抜粋)

P12 サーマ・ヴェーダの奥義書 《なんじの魂は全世界なり》 13 「最上の賢者のいっさいの知識がこの魔術的なことばの中に集められていた。ミツバチの集めたミツのように純粋に」 51 「覚者仏陀を残し、ゴーヴィンダを残し、林園を去ったとき、シッダールタは、この林園に自分のの今までの生活も残り、自分から離れたのだ、と感じた。自分の心を満たしきっているこの感じを、彼はゆっくりと歩いて行きながら、思いめぐらした。深い水をくぐるように、この感じの底まで沈み、原因のひそんでいるところに