クリームソーダ缶、探しています。#1
・小学生だったころ、住んでいた団地の3階から階段を降りると、すぐ目の前に小さな商店街があった。
なんでもない日の夜には、その中央広場にある丸ベンチに座って、500mlのクリームソーダ缶を飲んでぼーっとする。一人で飲むこともあれば、兄や父親と飲むこともあった。どんな会話をしていたかは思い出せない。甘ったるい炭酸で丸ごと流し込めてしまうような、きっと取り留めない一幕だったのだろう。
それでも、時々訪れるそんな憩いの時間があの時の私にあったことは、ずっと記憶の奥底にこべりついている