CASE 9 川辺素(ミツメ)

みなさま、お久しぶりです。DONCAMATIQです。長く続くコロナ禍、様々なことがあったかと思います。私たちの活動も、大変滞ってしまっておりました。前回のCASE8から約1年以上の時間が経過してしまいました。
何はともあれ、また無事活動を再開することができ嬉しく思います!
さて2022年の第1段CASE9は、バンド『ミツメ』のフロントマンで、近年はソロ活動でも素敵な音楽を聴かせてくれた川辺素さんです!川辺さんのインタビューもまた2回に渡り行わせていただきました。川辺さんの制作環境にどのような変化があったか、とても詳しく教えていただきましたので、楽しんでいただけたら幸いです。

コロナ禍、宅録環境をチェンジ

 川辺さんは作曲するとき、DAWを使用されていますか?それともMTRなどですか?

 DAWです。メインで『LogicPro』を使っていて、場合によって『AbletonLive』を使ってます。バージョンは『AbletonLive10 Suite』ですかね。

 場合によってというのは、どういう理由で使い分けされているんですか?

 『AbletonLive』は、曲の構成や長さを変更するのがすごく楽なんです。だから例えば、仕事で依頼された音源の尺がどのくらい要るのかが決まっていなかったりするとき、のちのち尺を変更しやすいところが助かるんです。そういうときは『AbletonLive』を使ってます。

 なるほど〜、お仕事のときに。

 すごく楽ですよ。楽っていうと少し語弊があるかもしれないけど。制作するとき、マスタートラックでシーンが分けられるじゃないですか。『AbletonLive』だと、曲に展開をつけたいときにすごく使いやすいんです。

 なるほど。すると『AbletonLive』をメインで使っていない理由は何ででしょう?便利ならメインにしても良いのにと思ったのですが。

 『LogicPro』をメインにしてるのは、もう大学2年から使ってることになるので慣れちゃってるというのと、一番はミツメのメンバー全員が『LogicPro』を使ってるからですね。バンドにデモを持っていくときに使ってるんです。

 あ、そういうことだったんですね!だとするとメインになりますよね。『AbletonLive』を買おうと思ったのは川辺さん単独の仕事の都合が発端だったんでしょうか?

 いや、Takaoくんと「一緒に曲を作ろう」っていう話になったんですけど、Takaoくんが「『AbletonLive』で作曲してる」っていうので、自分も買ってみるのに良いタイミングかなーと思ったんですよ。

 でもDAWを変えるのって時間に余裕がないと躊躇しますよね。使いはじめは大変だったんじゃないですか?『LogicPro』と『AbletonLive』って全然違いますよね。

 そうですねー。だから『AbletonLive』のサイトを見ながら使い方を覚えるためにイチから全部やってみました。

 わ〜、えらい!サイトの説明もすごくわかりにくいのに……。

 How to動画が載ってるじゃないですか。あれをたくさん見て、使い方を徐々に覚えていきましたね。

 そうですね……あれを見て覚えていくしかないですよね。誰かわかりやすいサイトを作ってくれないかなあ。
ちなみに、使われている宅録メイン機材をざっと教えていただけますか?

 オーディオインターフェースは『Fireface UCX』です。使いはじめて1年くらいです。それまではミツメの倉庫件作業場にある『Fireface UFX』で録音するのが主で、家では安い『BEHRINGER』のインターフェースをたまに使う程度でした。スピーカーも新品で『AURATONE』のパッシブモニタースピーカーを購入しました。1970年代以降のアメリカの放送局とかスタジオで使われてたものみたいです。

 『AURATONE』のモニタースピーカーは評価が高いですよね。制作中やミックスなどでの使用感がどんな感じなのかすごく気になります。ご自宅でスピーカーの音は結構出せるんですか?

 あんまり大きいのは無理です。そういうのが必要な場合は、ミツメの倉庫に行ってます。あっちには章義くん(※ミツメのエンジニアを長年担当している田中章義)の『ADAM』のモニタースピーカーがあるので、倉庫で大音量で聴いてますね。

 あ、そっか、倉庫で聴けますもんね。良いですね倉庫。自宅で大きな音でモニターできない問題はたくさんの宅録してる方を悩ませてますから。ヘッドフォンは何を使ってますか?

 今しているのは『SONY MDR-7506』で、普段は『DENON AH-D5200』を使ってます。これも章義くんのおすすめ。ミツメの音楽は基本的に章義くんとやりとりするので、モニター環境は章義くんのアドバイス通りにするのが良いと思って。

 確かにそうですね。担当エンジニアと同じもののほうが音に関する話がスムーズかもしれませんね。

 そうですね。それからアンプも借りました。「中国ブランドのデジタルアンプですごく質が良いのが出てる」って章義くんから聞いて。

 おお、アンプも。中国のデジタルアンプですか。どんなものなんでしょう?

 『S.M.S.L SA-98E』っていうアンプなんですけど。

 大きさは、すごく小さいんですね!

 小さくて良いですよ。値段も1万数千円とかです。

 安いですね!試しに買ってみて試しても良いかな?と思える値段です。マイクはどうでしょう?

 前に『audio technica』のスタジオに行って、『4047』を試してみて「声に合ってるんじゃない?」って言われて購入しました。ただ、家だと環境ノイズに悩まされることが多くて、ダイナミックマイクの『Shure SM57』でラフに録って、完成まで使うこともあります。

 『Shure SM57』は楽器用のマイクですけど、マルチに使用できて良いですよね。

本当はターンテーブルが欲しかった……!


 川辺さんが宅録をはじめたのっていつごろなんですか?

 中2か中3のときですね。『TASCAM』のMP3で書き出せる『Pocket Studio 5』っていう機材を手に入れて。すごく安かったと思います。

 その名の通り、小さくてポケットサイズのやつですよね!その当時の川辺さんは何か楽器はやっていたんですか?

 アコギを弾いてました。エレアコだったのでそのままシールドでさせたし。『Pocket Studio 5』にマイクがついてたので、それで録ったり。4トラック+ピンポン録音とかも出来たから割と自由度は高かったと思うんですけど、当時の僕はめちゃくちゃめんどくさがりで根気強くなくて(笑) 適当に音録って終わり、みたいなことがほとんどでした。曲らしきものを録った記憶が3曲くらいしかないです。

 (笑) どんな曲を作っていたんですか?アコギの弾き語りとか……?

 いや、曲とも言えない1分くらいの録音ですよ。ドラム入れてギター入れて、みたいな……。

 ドラムも入れてたんですね。それは何を使って入れていたんですか?

 確かそれも『Pocket Studio 5』にリズムパターンが入ってたので、合わせてギターを弾いてみたりとか。あとは、本当にアコギでストロークしてるのを録ってみるだけとか。もう宅録とはいえないようなことをやってました(笑)

 でも、最初はみんなそこからですから!アコギを弾きはじめたのはいつからですか?

 アコギは中1のときに両親に入学祝いで買ってもらって、それからです。

 じゃあ川辺さんの音楽は中学生から始まったんですね。そこから「録音をしてみよう!」と思うようになったきっかけって何でしょう?

 最初は違うことがやりたかったんですよ。

 お?どんなことがしたかったんですか?

 当時Dragon Ashに憧れてターンテーブルが欲しかったんです。

 ターンテーブル!

 スクラッチをして録音したかったんだけど、親に「ターンテーブルよりもう少し楽器らしい楽器の方が良いんじゃないか」っていわれて。だから『BOSS SP505』っていうサンプラーを買って、家にあったベルトドライブ式のリスニング専用レコードプレイヤーを無理矢理スクラッチしてました。昔ブレイクビーツのレコードがあったじゃないですか、声ネタとかが入ってるやつ。ああいうやつを無理矢理入れたりする……。

 サンプリング?

 そうです。まあでもこれも「めんどくさい」ってなって、あんまり続かなかった(笑) その頃はもう軽音部でバンドもやってましたし、あんまり宅録にエネルギーを注がなかったですね。

 なんだかすごく意外でした。

 そうですねー。MOBYとかDJ Shadowとか、BECKとか。ああいう音楽が地元のTSUTAYAでめちゃめちゃ推されてて。それを聴いて「サンプリングで作ってるんだ」って思って。Beastie Boysとか。だからターンテーブルを買ってもらってたら全然違う未来だったと思う(笑)

 そうかもしれませんね!(笑)

 でも買ってもらえなかったから、サンプラーを使ってそれに近いことがやりたいなーと当時は思ってました。

 ターンテーブルを買ってもらえてめんどくさがり屋さんじゃなかったら、今きっと全然違う川辺さんになっていた可能性がありますね(笑) アコギとサンプラーを同時に買う中学生って面白いです。

 初期の『Dragon Ash』って、ブレイクビーツとアコギの曲とかあったりするんですよ。ターンテーブルが買ってもらえないならせめてサンプラーでスクラッチ以外の部分を真似したかったんだと思います。あとは『Smashing Pumpkins』とか。歪んでないギターが入ってて、そこに声ネタとかが入ってるみたいな。そういうのがカッコいいなって思ってました。

photo: Toyama Takuroh

バンドメンバーや友達がいたから

 高校生になると、聴く音楽の趣味も変わったんじゃないですか?

 変わりましたねー。といってもロック雑誌で表紙になってるNirvanaとかRadiohead、Sonic Youthとかから始まって、ちょっとずつオルタナを聴くようになったような、ありがちな感じでした。あとは背伸びしてドラムンベースとか。いくつかのジャンルのコンピレーションCDを借りたりしてちょっとずつ調べながら聴くようになっていきましたね。そのあとはサマソニとかフジロックに出演してるようなミュージシャンのCDを借りて聴いてたと思います。バンドは高3の受験のタイミングで一回やめました。

 大学に行って、ミツメのメンバーと出会ったんですよね。

 そうです。でも大学入ってすぐはミツメの前に地元の友達2人と、ミツメのドラムの洋次郎と4人でバンドはじめました。1年生の終わり頃、そのバンドがうまくいかなくなったので、そこからもう一回宅録をはじめてみました。

 そうなんですね。

 『GarageBand』を使って作った曲を、ミツメのギターの雅生と交換するようになって。2人で「バンドやりたいね」って話してたんですよね。

 雅生さんももう宅録をしていたんですね。

 雅生のほうが早くから宅録してて詳しかったですよ。入ってたコピーバンドサークルでオリジナル曲のコンピCDを作ってたんですけど、1年生のときに雅生が作った曲はすでに凄かったです。2年生ぐらいのときに雅生の曲を演奏するためのバンドも一回ライブハウスでライブしました。そのときに後輩で一番ベースがカッコいいなーと思ってたナカヤーンを誘って。そのあと3年生になって就活前の最後の思い出づくり的な感じでミツメをはじめようとなったときに、また洋次郎も誘おうとなって、今のメンバーが揃いました。そんな学生の宅録遊びの延長でミツメが始まってからも、雅生がマイクを立てて最初のデモCDは作りました。ミックスも彼が。

 良い話!雅生さんすごかったんですねー。

 そうそう。だから僕は「あんまり宅録を突き詰めたりとかサウンドエンジニアリング的なことはやる必要ないかも」って気持ちになったんですよね。

 雅生さんがそこまで詳しいと、そうですよね。

 だから最近まで宅録環境をそれほど拘ってませんでしたし。ここ最近1〜2年の間で、自分ひとりで音楽を完成させなきゃいけない機会が増えてきたので、環境をやっと整えたという感じ。
ミツメを組んですぐに録音とかギターのアレンジとか、音作りまわりのことは雅生にお願いして、自分はソングライティングと作詞に注力しようと思うようになって。あと、章義くんもいたから。2人がいたから、当時の僕は「宅録やらんでもええわ」って (笑)

エンジニア、田中章義
photo: Toyama Takuroh

 なるほど〜。章義さんって、既に大学生の頃からPAやエンジニアの知識があったんですか?

 もう、かなり。雅生と章義くんがサークル内でも2トップくらい詳しくて、機材もたくさん持ってました。

 頼もしいですねーそういう方がいると。じゃあ川辺さんは役割分担として、楽曲の原型を作ることに専念してきたんですねー。

 そうですね。原型を作ったら「こんなフレーズのイメージ」ということがわかる程度の簡単なベースとドラム、ギターを入れたり。バンドサウンドの状態で渡すこともありましたけど、ほとんどみんながアレンジし直します。基本的にはこのスタイルで大学時代から続いてて、自分は出来るだけ良い曲を作って、バンドメンバーと一緒に考えながらアレンジをしたいと思って作ってきました。
今は漠然としてた音楽理論を一からやり直したり機材の勉強したりしたので、もう少し僕の方でできることが増えましたけど、バンドにちゃんと還元できてるかとなるとまだまだかもしれないです。

 そして、現在は川辺さん単独で仕上げなくちゃいけないお仕事が増えたんですね。お仕事での経験がバンドにも良い影響があったんじゃないですか?

 そうですね、自分一人でやらなきゃいけないことが増えました。昔はめんどくさがりだったけど、段々とめんどくさいよりも音楽が好きの気持ちのほうが勝ってきて、自分一人で曲を最後まで完成させてます。大学時代よりは断然知識も技術も身についてますし、雅生や章義くん、メンバーがやってることを横で見てたりもしてたので。困ったときメンバーや章義くんに質問もできて助かってます。

※2018〜2019年リリース、川辺さんのソロ作品。
『1』のミックスは大竹雅生さんによるもの。

シンセサイザーの音選び、どうしてる?

 川辺さんって打ち込みとかってするんですか?それとも全部実機に拘ります?

 ミツメの楽曲はデモで打ち込みは全然やりますけど、最終的に音源になる段階では、ほぼ実機でレコーディングし直してます。ソロだったり、仕事として作る音楽はソフトシンセを使うことはよくあります。

 川辺さんのソロやミツメの音楽のテイストとは違う指向の、クライアント要望ってありますもんね。

 そうですね。さっき話に出たTakaoくんが『EastWest 』のサブスクリプションに入ってたんですよ。Takaoくんから送られてくるプロジェクトファイルが開けなかったら困るなと思って、同じサブスクに僕も入りました。

 あ、サブスクに入っているんですね。実際どうでしたか?

 パーカッションとか生楽器の音は結構良いなと思ったのもあって、要望によっては使うことがありますけど、利用頻度が高いかというと、実はあんまりかもしれないですね。

 そうなんですねー。川辺さんが使っている『AbletonLiveSuite』だと、たくさん音源がついてきますよね。それらとサブスク以外のソフト音源は集めたりしてますか?

 『KORG / WAVESTATION』とか『XFER RECORDS / SERUM』、『AIR Music Tech / Xpand』は買いました。

 100円などの安価で売っているものでも、時々良い音源が見つかりますよね!音選びってどうされていますか?整頓とかしています……?たくさんあると、いざ使うときにどれを選ぼうかとか、気に入ってるものがどこにあるのか、どんな名前だったか?とか、困ったりするけれど。

 整頓はしてないですね。決まって使う音色みたいなのもまだ無くて、自分が音作りしやすいスタート地点のセッティングをプロジェクトファイルのテンプレートに入れておいて、そこから作るのことが多いです。でもアレンジしてるとほぼ毎回行き詰まるんで、その都度プリセットから合いそうなのを探してます。

 なるほど。決まって使うものはないということですが、そういう中でもお気に入りの音源とかってありますか?

 サンプル音源でいうと、昔洋次郎がレコーディングスタジオで録ったドラムのワンショット音源をキット化した『suda』っていうのがあって、それはずっとデモで使ってます。ソフトシンセは『AbletonLive』の元から入ってるやつは本当にすごくて、『Operater』と『Analog』と『Wavetable』のプリセットからよく音色を探してます。あんまり実機モデリングのやつは持ってないのでこれから集めたいです。

 エフェクトはどうでしょうか?

 エフェクトは『FabFilter』とかが好きですね。EQとコンプとリバーブ、リミッターを持ってます。『FabFilter』は「今どのくらいエフェクトがかかってるか」とかグラフィカルに分かるので良いです。分かりやすくて勉強にもなりました。あとは『Plugin Aliance』 のサブスクも使ってます。

 そちらもサブスクに加入されているんですね。サブスクって、何でも好きなものを利用できるのですか?

 『Plugin Aliance』も『EastWest』もだいたいのものは使えますよ。

 それはいいですね!大体月額おいくらなんですか?

 『Plugin Aliance』は2000〜3000円の間かな。

 やっぱりなかなかにいいお値段ですね。

 そうですね。でも仕事で使うなら良いんじゃないかという感じはします。

 川辺さん、シンセサイザーの使い方は実機で勉強されたんですか?

 そうだと思います。セミモジュールシンセの『KORG MS-20 mini』を一番最初に買いました。『KORG MS-20 mini』を一通り使えるようになってから、『Prophet』とか別のものの使い方もわかるようになりましたね。
ソフトシンセも基本的な操作方法は一緒なので、実機で作り方を覚えたらソフトシンセはそれを応用するような感じです。

 メインで使用しているのは今も『KORG MS-20 mini』ですか?

 今主に使ってるのは『Prophet Rev2』で、『KORG MS-20 mini』にはモジュールを繋いで変調させたりとかしてます。

 モジュールも買い足してるんですね。

 そうですね。

 モジュールはどのように選択してますか?どうやって勉強するかというか……。どのモジュールを買ったら良いか、どのメーカーが良いかなど。種類が多いですよね。

 モジュラーシンセのライブを見に行ったりして、自分はモジュラーシンセだけでライブするというより、作曲の一部で使えたら良いなと思ってることに気づいて、ソフトシンセだと手が届きづらい作業ができるような物を選んでます。変わった音色とか変なエフェクトとかを探してます。実際にツマミがあることが大きい部分もあって。VCAとかADSRのエンベロープみたいな基本的なモジュールは『KORG MS-20 mini』に備わってるのでそれを使ってます。全部モジュールにしたい気持ちはあんまり無くて。
ただ自分が買った『Eurorack』のモジュールシンセと『KORG MS-20 mini』は音階と電圧の規格が違ったり、ゲートが逆だったりで、最初はそういうことも知らないから、うまくコントロール出来なくて悩みました。モジュールは結構人気な『Mutable instruments』だったり、『4ms』っていうメーカーのものとかを買いました。

 なるほど〜。

 結局『KORG MS-20 mini』と別のモジュールを繋ぐのは余計にモジュールが必要になりました。だから自分みたいにやるのはちょっとオススメはしないですね。

 『KORG MS-20 mini』って、1978年発売の名器『KORG MS-20』にMIDIとUSB端子がプラスされた復刻モデルですよね。Moog系に属するのかな。〈東海岸シンセシス〉〈西海岸シンセシス〉っていうの、ありますよね。Moog系は東海岸だったような……。

 東海岸ですかね。より効果音的なものをつくったり予想外のものを生み出すには西海岸の感じ、『Buchla』とかは良いみたいです。後々東海岸のモジュラーシンセと一緒に使うなら、最初に買うのは『KORG MS-20 mini』より『Arturia』から出てるCVをコントロールできるシンセの方が良いです。

 そうなんですね!勉強をはじめるとするなら『Eurorack』が良さそうですか?

 僕は他の規格のモジュールを持って無いんですが、『Eurorack』は種類が多いので楽しいと思います。ただモジュラーシンセだけではじめようとすると、最初に基本的なモジュールとかも買わなきゃいけなくて初期投資がめちゃめちゃかかると思いますし、セミモジュラーのシンセとつなぐところからはじめるのは良いと思います。難しいとは思いますが最初から自分が求めてる方向性のサウンドと『Eurorack』の規格を意識しながらスタートするのが良いと思います。
僕の場合は、ビートメーカーだったり一人で作曲が完結してる人に相談にのってもらったりしてます。機材も「これ良かったよ」って教えてもらったもの参考に買ってる。一緒に曲作ったアリムラ(in the blue shirt)くんとか、STUTSくんとか。Takaoくんとか。

 ビートメーカーの方って、実機を使う方が多いんですかね?

 いや、実機でやるとリコールするのが大変なので場合によるみたいです……。

 リコール?

 実機だと同じ音色を一度設定を変えたあとで再現するのが大変なんですよ。それをもう一回呼び出すってことをリコールっていうんです。後々フレーズとかを変えようと思ったときに結構大変だったりするから、割と時間が無いときはソフトシンセを使う人も多いみたいです。自分に関しても実機を使うのは本当に最後の最後って感じになってきてて、8割ぐらい全体が出来上がってて、あともうちょっと足したいなと思ったときに実機を使うことが多いかもしれないですね。ギターとかベースは全部弾いてます。

都市伝説……?

 川辺さんの作曲のペースですが、曲作りは毎日……?

 そうですね。ほとんど毎日に近いです。

 ミツメへ持っていく楽曲は、ミツメへ持っていく曲として作りはじめるんでしょうか。それとも、日常的な制作の中からミツメに合いそうなものを選んで持っていくのでしょうか?

 「ミツメに作るぞ!」って気合いが入ってることのほうが多いです。

 やっぱり拠点ですもんね。

 「ミツメに作るぞ!」って思いながら作りはじめて、できた曲の中から良いのを何曲か持っていってます。結構何も考えずにとにかく数を作るような作業の仕方です。長さも2分くらいで全部展開が完成してなくても、適当に音を重ねていって「いいな」と思えたらバウンスして。それがパソコンの中にめちゃくちゃ溜まってる……。

 今までインタビューで何度も聞かれたことかもしれませんが、歌詞はどのように考えていますか?

 歌詞は……まずはギターと歌だけでとかリズムと歌で作ってるとき、なんでもいいので一緒に書こうとします。僕、メロディを音程だけで覚えるのが苦手なので、メロディにはじめから適当な言葉をつけちゃうんですよ。

 口からでまかせで。

 そうそう。適当につけちゃって、そのときに出てきたやつで「なんかいいな」って思った言葉があったりすると、そこから全体にまで膨らませたりします。もちろん気に入る言葉が無ければあとから全部書き直しますし。

 結構そういう方多いですよね。口から出まかせ発進。川辺さんは作詞のために、日常的に単語やフレーズをノートに書き貯めておくようなことってされていますか?

 僕はしません、全く。だけど結果的に毎回レコーディングが迫ってきたタイミングで歌詞は焦ってます。

 川辺さんの作詞は、いつも世界観に統一感があって耳に残る良いフレーズが多いので、常に言葉について考えていて、ノートをつけたりされてそうだと勝手に思っていたのですが、していないんですね!歌詞への拘りなどはありますか?

 統一感の話でいうと、固有名詞っぽいものはできるだけ使わないようにしてます。例えば「渋谷」とか「東京」とか。熟語も避けます。何かを題材に曲を作るようなことも基本的にはしません。気持ちが乗りにくいので。ここ最近は頭を空っぽにして作りたいなと思うようになってきました。

 なるほど……。

 普段考えてることとか生活の雰囲気が、自然と曲に滲み出ていたらいいなと。社会的な問題については避けて通れないとは思いつつも、ダイレクトな表現は自分にはうまく出来ないなと考えることがよくあります。自分なりの答えを出してみようと日々自覚的に暮らしてるので、そういう部分が作品に自然と現れて、伝わっていたらいいなと思います。

 そうですね。

 そういう現れの発表が、曲を作ることなんだと思ってます。できるだけ生活と直結してやれたらいいなって。

 そうですね〜。良いお話を聞きました。

 ミツメの音楽って、ギターとシンセサイザーの同居が素晴らしいなあと思っているんですが、どんな好みでシンセサイザーなどの実機を手に入れていますか?目的というか。

 僕個人でいうと例えばPrinceの『DIRTY MIND』とか、ああいう系統の音像が好きなんですよ。あのギターとシンセサイザーが同居したムードが好き。80年代〜くらいのムードが好きだから、シンセサイザーの選び方については、あの感じが欲しくて買ってると思います。ただPrinceとそのまま同じなのは避けたいという少しの抵抗があるので、『Oberheim』のシンセじゃなくて『Prophet』を選びました。まるっきり再現したいわけじゃないので。リズムマシンでいうと、Sly & The Family Stoneの『暴動』とかの人間とマシンの融合感が好きです。

 なるほど。ちなみにちょっと小耳に挟んだのですが……、ミツメではアルバムのために毎回新しいシンセを1台必ず購入しているって、本当ですか?

 ミツメ都市伝説? (笑)

 あれっ、違うんですか?(笑)

 この間もインタビューがあって、「ミツメは良いテイクを録るために1曲を100回レコーディングをするんですよね?」って言われて……。

 (笑)

 「誰が言ってんすかそんなの!」って (笑)

 都市伝説が!

 まあでもシンセについては、アルバム1枚作ってる間に雅生が何かしら買ってたりしてるかもしれませんね。でもそれはアルバムのためにというより、雅生が欲しかったから買ったという感じです。

 じゃあ、ミツメへそのシンセの音色を共有してアルバムにむけてヴィジョンを……、という感じでもないんですね。

 じゃないです。

 勝手なストイックイメージが一人歩きしてますね(笑)

 全然メンバーの意識を統一するとかのストイックさはなくて、ガチガチに作り込んで正解があるみたいなのもないです。例えばレコーディング当日に偶然出たものを面白いねっていってそのまま使うみたいなこと、結構多いですよ。デモ作りの段階で入れた適当なノイズを、本番で再現出来ないから、本番にもそのデータのまま使うとか。

— そうなんですね。ミツメの音楽の整然とした雰囲気が「100回録音してる!」みたいな勝手なイメージを作ってるのかな(笑)バンド内でいろいろなアイデアが出てくる現場、良いですね!

川 あまり理論的に構築せずに、デモで演奏してたものが結局良かったからそのままコピーして録音するとか。ラフな魅力があるようなものは、積極的に残していきます。みんなで「ここが良かった」って言い合って。好みも遠くないし方向性も定まってきてるのか、阿吽の呼吸じゃないけど、最近は話が早いです。

2021年になって

 さて、昨年インタビューさせていただいて以降、新たに購入したものなど、変化について伺わせてください。

 買ったもの……、ハード系はそんなに買ってないですけど、マイクプリを買いました。『Golden Age Project / PRE-73』。

 『Golden Age Project』ってヴィンテージの『NEVE』の質感を再現したクローンのような機材ですよね。

 はい、クローンみたいな感じのやつです。定価はもうちょっと高いんですけど、たまたま3万くらいで手に入って。さらにトランスを変えると、本当に『NEVE』に近づくみたいです。

 それは中の改造ってことですか?

 そうです。でも、紹介されたトランスの改造は8万円くらいするみたいですけど。

 仲間内でマイクプリやマイクについての話をしていると「(誰か職人さんに)改造してもらったらいいんじゃない?」といわれることがよくあります。8万円となるとやっぱりトランスの改造は……?

 いや〜、そこまではまだ手が届かないな。

 8万円ですもんね。

 うん。家での録り音の質に不満はそんなに無いというか。それよりもモニター環境を良くしたいですね。今使ってるヘッドホンが『DENON AH-D5200』で、『DENON』のヘッドフォンに合わせてチューニングされたヘッドホンアンプがあるんですよ。知ってるエンジニアの人が何人か持ってるみたいで、これさえ持って行けばどこの環境でも自分のリスニング環境に近い状況を持ち込めるから、良いみたいです。

 なんというヘッドホンアンプですか?

川 『CURRENT / MP 421-21 HPA』。限られたところでしか買えないみたいです。

 『DENON』を使ってる人は持ってる人が多いんでしょうか?

 最近増えてて、痒いところに手が届かないのを改善するみたいな感じらしいです。でも10万円くらいするので、これもちょっと……。

 でも欲しいんですか?

 『DENON AH-D5200』を使って曲作ってると、他の人に聴いてもらうとき「ちょっと(音が)硬いですね」っていわれることがあって。

 おお、そうなんですか。

 『DENON AH-D5200』で確認して僕が大丈夫だと思ったのを聴かせると、そういわれることがあるんですよ。それでよくスタジオとかにある『SONY』のヘッドホンで聴くと、自分でも「あれめっちゃ硬い」ってわかるんです。ミックスの過程で何回も違うヘッドホンで検聴しなきゃいけなくて、だからヘッドホンアンプを買えばもっとよくわかって楽になるのかなって。

 大変ですね。「硬い」といわれて、そこからまた調整しなくちゃいけないの。しんどいですね。

 そうなんですよ。調整も難しいし。「硬いですね」っていわれても、自分がいつも聴いてる環境で硬いの調整していくと、自分としては物足りないんじゃないかと思ったりもしますし。

 なるほどー……。「硬いですね」と感想をくれるのはどういう人ですか?エンジニアの方とかじゃなく?

 章義くんとか。「これどうですかね?」「EQの感じ大丈夫ですかね?」って質問すると「ちょっと硬いかもね」っていわれることが。

 章義さんも。

 曲を依頼してくれた人もですね。デモを聴いてもらった段階で「ちょっとシンセの音が硬いなと思っててー」みたいな感じで……。まあそのときはミックス前だったのもありましたけど、簡易的に切ることさえもしないような程度だと自分では思ったのに「硬い」っていわれたから、やっぱちょっと自分の耳にはマイルドに聴こえちゃってるんだろうなあと思うところがあって。

 川辺さんには、モニターよりリスニング向きなのかもしれないですね。

 かもしれないですよね。

 ヘッドホンを変えると聴こえ方全然違いますよね。どこに合わせたら良いかって本当に難しい。

 そう。でもそれをきっと全て解決してくれます。

 (笑)

 『CURRENT / MP 421-21 HPA』、買いましょう。

 でも、10万円なんですよね……。

 でも最終的に買ってない話を章義くんにすると「スピーカー買うより安いから!」みたいな論法に章義くんはなってくるの。

 あ〜。しかも音出せない問題がありますからね。

 そうそう。だからヘッドホンアンプ買えば解決じゃない?って(笑)

 でも10万円。この場にいる人誰もサッと買いそうにありませんね(笑)

 ヘッドホン替える時間がないほど忙しくなったら買います。(※その後、購入したそうです。)

 川辺さんにはぜひ買ってみて欲しいです!ちなみに川辺さん、オーディオインターフェースは『Fireface UCX』ですよね?

 はい。

 『Fireface UCX』って、出音が割と硬めですよ。

 硬いっす。バリカタ。

 慣れてるんですよ、バリカタを食べすぎて(笑)

 (笑)

 バリカタに慣れてるから「硬いですよ」って言われても川辺さんは「まあ硬いけど、そんなに硬いかなあ??って(笑)

『AbletonLive』の魅力

 最近のミツメの活動はどうですか?

 相変わらずです。でも今、全員がちょっとずつ出来ることが増えたので、言葉でイメージを共有だけして「とりあえずやってみよう!」みたいな感じでスタジオに入ってアレンジの追求をしてます。前まではやりたいことにその場その場で対応できないことも多かったけど、それが出来るようになったから、その場で「こういうことを試してみましょう」っていうのが出来てる。色々試して、ボイスメモに録って。

 川辺さんがコロナ禍お仕事やソロ活動を通じて勉強されていた間に、他のメンバーの方々も各自取り組まれてたんですね。作曲の仕方については、前回のインタビューから何か変化がありましたか?

 前より『AbletonLive』が使えるようになっただけかも。今まではメインが『LogicPro』だって話をしたんですけど……。

 『LogicPro』がメインで場合によっては『AbletonLive』というお話でしたよね。

 はい。それがミツメの作曲も『AbletonLive』でした方が楽な部分が出てきて、『AbletonLive 11』にして。

 『AbletonLive』がメインになりつつあるんですね!『AbletonLive 11』を使ってみて、感想はどうですか?増えた機能は良さそうなものが多いので。

 うーんと、『AbletonLive』純正のプラグインだけで仕上げのところまでいくんだったら、軽くて良いです。ただ作曲の作業をしながらミックスも並行してって、サードパーティーのプラグインをたくさん使うときには、結構重いな〜って感じます。PC自体のスペックが必要になる気がします。純正で完成させることを基本に考えて作業するんだったら良い。結構サクサク。展開もたくさん作れるし、BPMもすぐ変えられるし、早いです。

 ふむふむ。

 あと『AbletonLive』の良いなと思う機能で、MIDIのキャプチャ機能っていうのがあって、例えば途中まで出来上がったトラックに何かフレーズが欲しいとして、再生ボタンを押してループしている間、適当に弾いてたものがずっと記録されてくれるのが助かってます。もう、早い、サクサク。良いフレーズを思いついたからって弾き直す作業が要らない。

 すごく良いですね!RECボタンを押すのって、いざとなるとちょっと身構える部分がありますから、再生ボタンを押してなんとなく弾いていたものが自動的に残ってくれるというのは良いですね!
再生ボタンを押すだけで勝手に録音してくれて、聴き返すことができる。地味だけど、一番ありがたい機能かもしれません。

 ループで再生してると、その間はずーっと記録され続ける。フレーズだけじゃなくて、メトロノームだけ流しておいてリズムトラックを作るときなどでも役立ってます。楽だな〜って思って。

 うんうん、楽ですねー。気の利く機能が多いですよね!

 気の利く機能ありますね。単純にギターを弾いてリズムがヨレたところを、ピッ!とドラッグしたら直せる機能とか……。

 それはなんという機能ですか?

 本当に初期から搭載されてる機能なんですけど、ワープ機能です。ヨレてしまったところとか、好きな場所にポイントが打てて、ポイントを前後にずらして微調整できるんです。

 それはクオンタイズとは違うものなのですか?

 テンポに対して調整するクオンタイズとは違って、ピンポイントに修正できます。普通の波形編集をするより早く修正できます。あと「この音だけをもうちょっとだけ長く伸ばしたい」とか、そういうときも音程を変えずに編集できます。

 これもまた便利機能ですねー!

 あとはグルーヴ機能っていうのもあります。グルーヴ機能は、波形編集に対してリズムのノリみたいなのものを当てはめると、そのノリで弾いてるような感じに調整してくれる。

 えっ!?

 自分が普段弾かないようなリズムを試す目的でも便利なので、遊びながらやってみるのが面白いです。

 すごく面白そうです!便利だし、やってみたい!

 不自然になったりする部分もありますけど、発想の段階でこれがあるだけで、「こうしてみようかな?」っていう別のアイデアにも繋がるので。MIDIだけだったら『LogicPro』にもあるかもしれませんけど、オーディオでここまでのことは出来ないかも。『AbletonLive』は、DAWの中でも編集が一番直感的に出来るっていいますよね。『LogicPro』はやっぱりレコーダーの延長という感じがありますから。

 川辺さん、かなり『AbletonLive』に慣れてきたんですね。

 『リミックス勉強会』っていうスペシャの企画をやらせてもらった位から、色んな人に聞いたりとかするようになって。それでだんだん、学習が進んでいったと思いますね。

 tofubeatsさんとか?

 tofuさんとか、Seihoくんとか。それに使い方はやっぱり、YouTubeでも動画がたくさん上がってたりするので。あと、Ableton公式のインタビューとか結構面白くないですか?ユーザーがインタビューに登場して「こういうなテクニックを使ってます」とか。別に実践しないにしても結構面白い。

 結構、Abletonは創意工夫している方を紹介していますよね!

 結構面白いなと思います。

 Abletonは、『Max for Live』というプラットフォームを公開してますよね。

 『Max for Live』を使って作ったプラグインを、色んな人がアップしてるじゃないですか。お金がかかるものもあるけど、フリーもあったりして。自分で適当に使ったシンセみたいなものを公開してる人とか、結構いるので、それが意外と面白かったり。有名な『Twitch』の配信者とかが、見てる人に自分のプリセットを配るみたいな。「これで自分と同じ音が出せます」って。

 おお〜。

 そういうのを配ってたりしてて、DIY的な面白さがある。Abletonって「みんなで勉強して高め合いましょう!」みたいな雰囲気のコミュニティがあって、色んな技術が割とオープンに公開されている雰囲気を『LogicPro』を使ってるときよりも感じます。宅録にのめり込みやすさあるなって、Abletonには。

 逆に使いづらいなあという部分はありますか?

 バンド的な録音、せーのでやったりとか。そういうのはあんまりですね。

 そういうのは『LogicPro』とかの方が良さそうですかね。

 もちろん『LogicPro』の良さもあるので、行ったり来たりしてます。そういう中で、『AbletonLive』ですごいやりやすいけど『LogicPro』だとやりづらくて全然わからなかったことがあったとして、『AbletonLive』をうまく使えるようになったら、「これって『LogicPro』でもできるな」って気付くことが増えました。

 『LogicPro』でも、面倒だけどやれなくはない、とかですか?

 そうそう。めんどいけど出来るじゃん、みたいな。結局両方なんでも出来るんじゃないかと思ってきました。

 面白いですね。

 James Blakeの一番最初のアルバムとかも、『LogicPro』の純正のプラグインだけでやってるって。音楽的に今と比べて劣ってるかっていうと全然そんなことはないし、本気出せばやれるのかなって。けどいかんせんそこにたどり着くまでの勉強と発想がないと難しいですね。
あと『LogicPro』のシンセってちょっと分かりづらいんですけど、説明書を読み込んだら「このパラメーターってここにあったんだ!」とかが分かってきました。

 説明書まで読むなんて真面目ですね。動画を見たりインタビューを読んだり、川辺さん本当に勉強家だ。

 前回のインタビュー以降本はあんまり読まなくなって、取扱説明書ばっかり読んでた(笑)

 (笑) すごいじゃないですか!

 海外製のプラグインとかだと日本語のマニュアルが不足してて、そこがちょっと難しいですけど。だから英語勉強したほうが、スラスラもうちょっと読めるようになって良いなって思いはじめてます。海外の掲示板とか。

 説明書読むために英語の勉強。

 日本語の説明書でも結構意味がわからないことはありますけど……。『BOSS CS-3』っていうコンプ分かりますか?青いコンプ。ペダルのエフェクターの。パラメーターに書いてある名称が独特なんですよ。Toneってうツマミがあったり、Attackとかはスタジオのコンプとは意味が違うんです。今まで詳しいことは何もわからずなんとなく使ってたんですけど、実際宅録とかでコンプを使うようになったとき、改めて取説を読んでみたら「音がちょっと明るくなります」みたいな雰囲気でしか書いてなくて。

 (笑)

 公式の説明書だと仕組みじゃなくて、すごい詩的な感じで書いてあるから「えー!」って思って。それで調べまくってみたら、同じように疑問に思ってる人がいて、海外の掲示板で検証した人がいたんですよ。「これはこういう働きをしてて」「これはこういう機能で」とか、すごい細かく書いてあって。最終的にはこういう掲示板のレスみたいなところにたどり着くんだなあって。

 ありますよね。「煌びやかになる」とか。川辺さん、海外の掲示板までチェックしているんですね。

 だからもうちょっと英語が読めるようにならないと、機材を使いこす道は遠いなって思いました。でもまあ耳を鍛えることも絶対必要だから、実際に触ってみて仕組みを自分で理解することができたらそんなに読み込む必要はないんだろうけど。

 買う前に取扱説明書を読むということもありますか?

 そうですね、マニュアルを読んでみて面白そうかどうかっていう判断材料にしたりしてます。

 よく考えたら正しいですよね。先にマニュアルが読めたら。最近はなんでもネットでアップされてますからね!

 デモ動画とマニュアルを読んでみて「ああ、こういうこと出来るんだ、欲しい」っていう順番になってます。

 そうあるべきかも。

川辺 素(かわべ もと) 4人組バンド、ミツメのボーカルギター。東京を拠点に活動。これまでにミツメは6枚のアルバムと8枚のシングルをリリース。最新作は2021年3月発売のアルバム『VI』。ソロではin the blue shirtと共作のデジタルシングル『swim』をリリースし、最近はボーカルとしてパソコン音楽クラブのアルバム『SEE - VOICE』に参加。リミックスやプロデュース、楽曲提供など様々な形で音楽制作に関わっている。
ミツメ https://mitsume.me


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