財布、ぜいたく、頭打ち、ゆるみ

手前で手前の機嫌を良くしてやらなければならないってのが、どうやら昨今の大人になることの条件らしい。

それであれば、手っ取り早くそんなことを軽々とケーキでも食べればいいじゃないという涼しげな面で宣う、ムカつくそいつの顔面を張ってもいいことにしてほしい。頼む、張らせてくれ。

機嫌の良さとは、なんなんだろうか。たぶん今日の僕にとっては自信、自尊心の満たされ具合や自己肯定感が高まっているときなんだろうなと思った。とりあえず仮置きの結論で。それなら料理だ、キッチンドランクとしゃれこもう。

夏はとびきり元気に活動的な気持ちになることもあるけれど、だいたいは不機嫌だ。暑すぎると、ますますそんな感じで、湿度の高さと機嫌の悪さは比例している。これほどまでに分かりやすい比例の図もないよ。寝起きはいつも最悪、2日酔い。重ねがけのデバフ魔法を身に纏っているような気分。かと言って酒を抜いても、ウェイトの入ったリストバンドを外したかっこよさは皆無だけど。
酒は肝臓と冷蔵庫がよく働いてくれる夏はとくにビールなら軽めの、青島とかハイネケン、コロナみたいなやつが良い。ぬるくなってもいい夕方ならIPAをゆっくりやってもいいけど、今の住所ならそんな暇は無い。人生もビールが喉を流れ落ちていくくらいの心地よさで苦さが去って、鼻から良い気分で死んでしまえたらな。

機嫌をよくしたいなら…そうなると肉を食べれば元気になる気がする。確信はない。少なくとも血中脂質とコレステロールは高まる。
とはいえ、牛肉は際限なく高いし、意外と売っている部位が少なくて食べたいところがない。鶏肉は火が通るのが遅いし、南九州に住んでないからキッチンドランカーには向いてない。
それならば!というところで、普段なら豚こま肉しか買わない僕だが、機嫌を良くするなら、ここはあいつの出番でしょう、ちょっと厚めの豚バラでしょう。
薄いバラ肉も魅力的。キッチンドランカー向き。でもなんというかそれならちょっと良いベーコンで飲みたいし。
そんなわけでバラ肉を調理。夏場だし、どんくさいので豚バラ肉はキンキンに冷やしておいたやつを取り出して、そのまま焼くやつと、出来合いのニンニク風味強めの唐揚げ粉を軽くまぶしてはたいたやつに分ける。フライパンに油は引かずにそのまま焼く用のバラ肉をゆっくり加熱してカリカリになるまで焼きましょう。
その間に大事なのは付け合わせ、夏は野菜が最高の季節だから、サラダ食うならどんぶりにかぎるから。小さく切るのがめんどうだから。機嫌を良くしやすくするには感情を赤ん坊とか獣に持っていくのがコツだから、なるべく大ぶりに雑に、本能で齧りつけるようにざっくりやっちゃう。
でも、今日はサラダはやめときます、福耳唐辛子と米ナスさんを適当にやっちゃいます。日本人ならばやっぱ味噌ですよ。ササッと炒めて味噌、酒、砂糖でなんとかなります。これが夏の常備祭。夏野菜は毎日パーティ三昧。

しかしあれだね。歳なのかバラ肉やっぱ3枚目でしんどいわ。不機嫌になる際を見つけること、上機嫌になる前にこれ。結局はなんでも予防。これが難易度高いのなんの。
ビールから気分を変えてレモンとライムと酒とレタス。
機嫌を良くするために胃もたれ患わせている。意図しないムカムカ。分かっていた結末。本末転倒。だがそこまで盤石の読みなので僕の機嫌は崩れていない。
ところでさ、やっぱり自分の機嫌を上手に悪く表現できるの方が大人かもしれんよなぁ。
安酒を飲んで寝転び深夜2時。

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