【字書き】読者を沼らせる短編の書き方

楽しく書き続けるためにはメンタルの保ち方も大事だけど、やっぱり良いものを生み出していきたいですよね。
字書きさんの中にも、数万字がデフォでなんなら十万字くらいは書くよっていう方もいれば、どうしても一万字に届かない、長い話が書けない!って方も多いんじゃないかと思います。
『読者の脳を破壊するには』でも書いたように、自分の解釈を徹底的に確立させ、ストーリーの軸に落とし込むこと。それをやっていくと、人物の所作、表情などの描写がより具体化したり、その人格を反映するためのエピソードをどんどん入れこめるようになるので、一万字超えるのは難しいことじゃなくなってきます。
でも、いくら話が良くても、読んでもらえなきゃ意味がない。その点短編…ここでは一万字未満の小説を短編と定義します。短編はとっつきやすく閲覧数を伸ばしやすい。しかしあっちを立てればこっちが立たず。「はー萌えた!さて次何読もうかな!」で終わってしまい、読者に「あなたという作家」を刻み込ませることが少し難しいのも短編です。解釈入れれば入れるほど長くなるしな。
どうせなら、暇だしちょっと読むか…と思っただけなのにあなたという沼に真っ逆さまに落とせるような短編を書きたいですよね。もっとこの人の作品を読みたい!と読者に思わせたいですよね。
さて、前置きが長くなりましたが、読者に「この人は何かちがう…!」と思わせる短編のパターンを解説していきますね。とはいえ私はどちらかというと長文が得意なので、知見が浅い部分もあるかもしれません。こういうポイントもあるよ!というものがありましたら是非コメントで教えてくださいね。

①「ハッピーエンド?」で終わる

どんなネタでもわりと簡単に取り入れられるのがこれです。
世の中にはさまざまな物語があふれていますが、「みんな平和に暮らしました。魔物は二度と現れませんでした。」な終わり方より、「みんな平和に暮らしました。その地下に巣食う化け物の存在を知らず。」の方が、お前…どうしてくれんだこの終わり方!!と思いませんか?このどうしてくれんだ感、ポイントはぼんやりとした不安です。あからさまに状況が不穏へ変化するようだと、ストーリー全体の意味が変わってきてしまいます。そこである程度ハッピーに帰結はするのだけど、何事もなければ一生気づかず幸せなままでいられる。でも、万が一…くらいがちょうどよい匙加減です。
バッドエンド、私は余韻に深く浸れて好きですが、積極的に読みに行く人は決して多くないと思います。なので、「ハッピーエンド!自カプ愛し合ってます」という結論はそのままに、読者があなたの創作について考察や思考する余地を残しておく。ほんの少し血の気の引くような何かを残しておく。言ってしまえば、それが読者の心に爪痕をのこすということなのです。

②最後にどんでん返し

「ずっと受けに無関心だと思われていた攻めが実は受けにクソデカ感情を抱いていた…!」は最も書きやすく典型的でもありますが、嫌いな人はいないシチュエーションです。
これは物語の視点にコツがあります。三人称一視点、あるいは一人称視点において話を進める。ここで注意なのが、視点に立ってる人物以外の心情説明は、あくまで推測の域にとどめておくこと。(三人称一視点では書き手によりますが、一人称ではキャラクターがテレパシー使えるわけでない限り基本っちゃ基本)視点に立ってる人物の推測を真相から外させたまま「え!?そんな思惑だったの!?」というどんでん返しさせると、最後に読者に衝撃が残って終わります。
起承転結を意識せずとも、最後のどんでん返しに向けて話を進めるだけでコンパクトに伏線→種明かしができて、メリハリのある短編になります。

③解釈が立っており、そこに確かに推しが生きている

今までこのnoteで書いてきたことに立ち返るようですが、印象の薄い物語とは、いずれも「解釈やキャラクター理解が浅い」ことに起因していると思います。
読んだことないですか?「多分この子はこんなこと言わないけど、まあ、可愛いからいいか…」「この人こんな言い方するかな?まあ、萌えるからいいや…」そう思いながらいいねを押されていく二次創作…。はい、消費されていく創作の典型です。みんな、解釈深めてこ!(完)
たぶんこの記事読んでるあなたが苦手な話もこんな感じじゃないでしょうか?誰おまR18ハート乱舞やパロも結局は「人物に対する理解の浅さ」で生産される。まあ…書いてて楽しいならいいけど。でもあなたが書きたいのはそんな話じゃないですよね?読者の心に爪痕残したいですよね?
短編は書き手のキャラクター解像度が如実に現れます。ここまでいろいろ書いてはきましたが、どんでん返しや不安の種がなくたって、「推しはなにを考えて、どんな感性で生きている?」そんなテーマに対してある程度の回答が物語に落とし込めるレベルにまで出来上がっていれば、ただご飯を食べてる話だろうが痴話喧嘩する話だろうが川で魚を掴み取りする話だろうが、推しカプを愛してやまない読者にとっては、宝物みたいなお話になります。
解釈を徹底的に立たせておくと、短編長編問わず勝手に良い話が書けるようになってるはずです。

最終的にいつもと同じような話になってしまいましたが、一つ付け足しておきたいのが、「解釈に正解はない」ということです。
あなたの中に「推しが推しだからこそ、こうした」と物語を説明できるほど立体的な考察があればね、ぶっちゃけ何書いても「彼ららしく」見えます。
原作が嫌いな読者はいません。二次創作を愛好する方々は、原作の彼らが強い矢印を向けたり向けなかったりする姿が見たくて、二次創作を読み漁っているはずです。(原作と解釈違いに陥ってる方は置いといて)
だから、原作を読み解き、推しの解像度を上げに上げて書かれた創作物が読者の心に残らないはずがないのです。

いつも考え偏ってますが今回はとりわけ私の作風が滲み出た記事になった気がします。なぜなら私は「ほのぼのイチャ甘」が書けない人間なので…(大泣き)
書こうと思えば書けるのかもですがどっかしらにクソデカ感情や不穏感を出さずにいられないんですよね。手癖…?
精進あるのみですね!それではまたお会いしましょう!