【字書き】「そもそも読んでもらえない」から脱出するには

題名がシンプルな小説ってすごくかっこいいですよね。
私は近代文学を特に好んで読むのですが、とりわけ痺れるのは川端康成「眠れる美女」、そして夢野久作「死後の恋」。どちらも簡潔でありながら耽美的な美しさがこれでもかと溢れていて、こんなタイトルの話を書きたいと思ったりします。読書するタイプの字書きの方は共感いただけるでしょうか。
しかし数字に踊らされる二次創作戦国時代、この考えはいったん捨ててください。いったんでいいです。
折角の入魂の一作、支部に投稿しても次々にUPされる他作品により埋もれてしまう…ない時間の中で、みんな大手や交流相手の作品を優先して読む…それがあなたを取り巻く現状なんじゃないでしょうか?
そんな中、あなたがやるべきことは一つ。交流でも解釈を寄せることでもありません。
「この人の書くものは読む価値がある」と一定の読者にあなたの名前を認識させること。
簡潔なかっこいいタイトルをつけたり、絶対にこれは全人類に読ませたい!そんな己の解釈と性癖の結晶で読者をブン殴るのはその後でいい。
それではいってみましょう。

①数字が伸びてる作品の分析

ええ~前回解釈変えなくていいつったじゃん!と思ったでしょうか。そうです解釈は変えなくていい。分析するのは伸びてる作品のシチュエーション、そして字数です。失礼ですが、「なんでこんなの伸びてるの…?」と少なからず思ってしまう話…ないと言えば嘘になるかと思うんですが。「テンプレでも萌えられるシチュエーション」「ちょっと読んでみようかなと思える字数」であることが多いと思います。それと冒頭にも触れましたがタイトル。いわゆるなろう系みたいな、「〇〇が××することになった話」と話の内容が伝わるものが多くないですか?
これはあくまで例なので、ジャンルによって違う条件もあるかもしれませんが、解釈を寄せるんでなくて、伸びてる条件を盗む。
あなたの作品に読者が触れるためのマーケティングです。この世界、いいものであればそれだけで評価されるようにはできちゃあいない。あなたという「創作者」を読者に認識させることが大切です。これが二次創作の楽しいところでもある。
でも、テンプレのシチュエーション使ったって何番煎じじゃん?そう思いましたか?いいえ、前回書いたように解釈を練り上げストーリーに落とし込み、あなたにしかない自カプの姿をそこに描けば、テンプレなんか関係ない、十分立派な「あなた」っていう沼の入口になるわけです。そしてなにもシチュエーションと字数を完全にトレースする必要はないです。あくまで寄せるだけ。テンプレ「っぽく」するだけで十分です。字数も無理のない範囲で調整してください。普段から5万字書いちゃうタイプの人に起承転結を5千字でこなせっつっても無理な話だと思うんで。あくまで、「読者が親しみやすいように」を意識してな。

②やっぱ第一印象大事

支部も最近小説表紙機能が充実してきて、作品に合わせてさまざまな表紙を選べるようになってきたとは思うんですが、いくら種類が多くても、たくさんの人が使ってればみんな同じようなものに見えるわけです。
私は漫画も描く人間なので、アイビスやクリスタの操作をはじめ表紙デザインも全然苦ではないのですが、そこまでやる必要はないです。支部で「小説表紙」と検索をかけて、めちゃオシャレ!と思った画像をそのまんま表紙にするだけでも十分垢抜けます。タイトルからして面白そう、そしてこの素敵な表紙…となれば読者は考える前にとりあえずあなたの小説をクリックしていると思います。入口としてはもう十分じゃないでしょうか。

③なんかいろいろ書いてきたけども

結局は前回書いたことがやれていて、自カプが自カプらしく生きている作品は数字が爆発的に伸びなかったとしても着実にファンはついていくんじゃないかなと思います。読者に認識されるということです。
ただ、これ以上のものは書けないってレベルに力を入れた作品がマーケティング不足で思ったより読んでもらえなかったら悲しいじゃないですか。そのためには、自分の世界観に沼らせる導線をつくって、多くの人に読んでもらったほうがやっぱり嬉しい。
読者の心に爪痕をのこしたいなら、なおさら。

自分以外の創作者がみんな楽しそうに見える、界隈から省かれている、居場所がない、書くのが苦しい。そんな創作者が、今の二次創作の世界には結構いるんじゃないかと思います。
でも、それを「妬み」から「怒り」という原動力に変えることはできませんか?あなたを取り巻く他人の創作物さえも分析して、利用する勢いで、小説を書きましょう。
最後になんかめっちゃ物騒なこと書きましたが、何かに熱中することは本当に楽しいです。交流とか大手とか数字とか、いろいろなものに惑わされる令和の二次創作界隈だからこそ、こうした「物語を書く」ことに熱中した姿勢はそれだけで尊いものなんじゃないかなーと思ったり。

次はどうしよっかな。メソッドみたいな話ばっかしてきたから文体の雑感についてでも書こうかな~