【字書き】第一印象が大切という話

食わず嫌いと言われたらそれまでですが、二次創作小説は書き出しからだいたい巧拙がわかることがある。
掴みというやつですね。
大半の人は書き出しとか関係なく最後まで読むと思いますが、書き出しで読者を引き込めると一気に読ませることができますし、「この人の書く話は何か違う」という印象ももたせやすいです。
ちょっとしたコツではありますが、書き出しだけでなくお話全体にも応用できることです。
今日は読者に何か違うと思わせる書き出しについてお話ししたいと思います。

①初っ端から事件が始まっている

あるあるなのが、冒頭から文章表現を張り切り、初っ端から天気とか季節の描写が続くやつ。
普通こんな言い方しないだろって尖ったセンスが垣間見えない限り、私だったらもう冒頭で閉じます(判断が早すぎる)。
いやね、読者は推しカプの話読みにきてるからね。ながながと書き手の世界観を描写されても頭に入ってこないわけです。書いてる人が楽しいのが第一なのが二次創作ですが、せっかく力入れた冒頭がさらっと読み飛ばされるのは悲しくないですか。
じゃあ何を冒頭に置けばいいのかって話ですが、「ある程度読者を置いてけぼりにする冒頭」がやはり書きやすくいちばん簡単かなと思います。もう何か始まってるけど何起こってんだ!?と読者に思わせる冒頭ね。
たとえば…

●人物の極端気味な感情表現から始める
 「Aは生まれてこの方味わったことがないレベルのドン底にいた。」

簡潔に人物たちの状況を説明する
 「お腹が痛くてトイレの個室に入ったらBがそこに鎮座していた。冷静に考えて、鍵を閉め忘れていたのだろうけど、…」

唐突にセリフから始めちゃう
 「「完全にやらかした」誰も聞いていない独り言である。」

もう事件始まってますよね。
何が起こってんの?って勝手に次の文章に目が移りますよね。
冒頭で世界観やら登場人物の出自を長々と語るよりよっぽど文章を追わせる冒頭になっています。
理想は、冒頭だけでなくそれ以降もある程度読者を置いてけぼりにするノリを意識して書いていくこと。
言葉にするのがちょっと難しいですが、物語の中心は書いてる人じゃなくてその話の中で動いているキャラたちです。今までの記事でも何回か書いてきたと思うけど、読者を引き込む小説とは、書き手の自我が見えない話なんですよね。
たとえば、解釈が深まってないとキャラの行動にそのキャラならではの動機が見えず書き手の都合でそのように動かされたように見えるし、それこそ冒頭の景色や季節などのキラキラした情景描写は書き手の存在感がマシマシです。
そうした、書き手の自我が見える小説はどこか垢抜けないし、もたついた印象を与える。結局解釈を深めようという話になってしまうのですが、書き手の中に立体的に出来上がってる解釈を元に変遷していくキャラたちの思考や行動を、読者が一生懸命追っていくようなイメージがいいんでないかなと思います。

②原作での言い回しを安易にそのまま使わない

冒頭の冒頭は①として、次に垢抜けない印象を与えてしまうのがこれかなー。これもキャラクターの解釈が出来上がってないとやってしまいがちです。
たとえば、原作の中でも気難しく、無口で自己表現がすくないキャラクター。何を考えているかわからないと、原作で言ってる台詞や口調をそのまま模倣してるわりに発言の内容はいや、その人そんなこと言わんやろ状態になってることがよくあります。
1ページ目でこれ出てきたら私はもう閉じます(鱗滝さんもびっくりの速度)
きっと、書いてる方は一生懸命本人に寄せようとしているんでしょうが、表面だけ模倣しようとすると必ずアラが出ます。人間の内面は非常に混沌としており、発言は全てその人間の内面から発生しているものだからです。
それくらいだったら、原作を読み込んで自分なりにキャラの人間性を解釈し、原作の口調は念頭に置くとしても、一から言い回しを捏造してしまった方がよっぽど本人らしくなります。(解釈をもとにしてないと普通に誰おまが加速するので注意!)
その書き手ならではの解釈に基づいたキャラの口調や雰囲気、思考は、二次創作においてはそのまま作風になり、そこにファンがつくことが多いです。

■おまけ タイトルの話

書き出しとはまたちょっと違うけど、これも第一印象のうちに入りますよね。
とりあえずクリックしてもらいやすいのは、「●●が●●する話」みたいな説明文タイトルですが、いつもそればっかじゃイヤッイヤーー!!って方もいらっしゃると思います。
結論、好きにつけろって話ではあるのですが、個人的には慣用句や有名なタイトルをもじったものが垢抜けてしかも面白そうかなと感じます。
お酒ネタで「酒は飲んでも飲まれるな」ってpixivで百回は見てるタイトルだと思うんですが、それよりだったら「怪我の功名」をもじって「酒の巧妙」ってタイトルをつけるとか。(ちょっと硬いが…例えが下手…)
あと、「●●と●●」とか「●●の●●」みたいな熟語+熟語のタイトルもなんとなくオシャレに見える気がします。
ほんとに個人的な所感なのですが、脳死では読めない英語タイトルとか、グーグルで調べないとわからないような用語とか。意味を知らなくても言葉に官能的な雰囲気とかがあればなんかいい感じのタイトルになりますが、そうでもなければ第一印象どころが印象にも残らない気がする。
書き手都合で読者を置いてけぼりにするとあまりロクなことがありません。自分がどうしてもそのタイトルにしたい!とかだったら関係ない。そのまま名付けちまえ!

というかもう全部所感ですみたいな記事になりました。いつものことではありますが。リバウンドを制するものは試合を制すじゃないですけど、書き出しを制するものは物語を制すだと思ってます。太宰治もそんなこと言ってた気がする(間違ってたらすみません)
やっと涼しくなってきて嬉しいです!創作しやすい季節になってきたので私もたくさん書きたいな。
それでは本日はこれで失礼します。