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右手からメラゾーマ、

自分の頭が、右手の行動と、左手の行動を上手く分けて制御出来ないということが、ままある。

卵を割って、中身を、両手に持った卵の殻の間で往復させ、白身と黄身を分離するとき。

ウッカリ、黄身が入った方を流しの三角コーナーに捨ててしまいそうになる。

同じように、右手に菓子の包み紙、左手に菓子本体、と分けて持った時、やはり左手側に持った菓子の本体をゴミ箱に放り投げそうになる。

それの延長線上だと思いたい。

商店街を歩いていた時のこと。

夏と秋の狭間の、暑くて寒い夕暮れ時。
羽織ったNIKEのウインドブレーカーが、今宵の風には少しばかり厚手過ぎたかとジッパーを降ろし始める。
小生の前頭葉の指令にノイズが走り気付いた時には逆の掌が添えていたブラックジーンズのファスナーを降ろしていた。

夕暮れ時の商店街。

歩きながらズボンのジッパーをおもむろに下げ始める180cmはあろうかという大男。

向かいから談笑しながら朗らかに歩いてきた二人組の

「…え?」
「…ここで?」

という視線に違和感を覚えハッと我に帰る刹那

「やっぱYKKは滑りわるいなぁ…」

と、ひとり小芝居を始める男。
足早に去る二人。

夕暮れ時の商店街に響く、窓の閉まる音。

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