自己紹介とは何か
まずは自己紹介からと思って自分とは何かを探り始めたら、果てしない永遠の問いの旅から帰ってこれなくなりました。
仕方なく旅に見切りをつけ、自己紹介とは何かを問うことにしました。
自己紹介で紹介される自己とは
自己紹介で一般的に語られる物事を挙げてみましょう。
・名前。職業、または社会的にどんな役割を果たしているかについての情報。
・過去に、何処で何をしてきたか。
・過去に、何を好み、何に情熱を捧げてきたか。
・未来への展望。
…といったところでしょうか。
「いま」の「自己」は、例えばこの文章を綴っている自分の「いま」に関して言えば、浮かんでくる言葉をiPhoneで入力している存在です。それ以上でもそれ以下でもない。
名前とか、社会的役割とか、その他諸々の自己紹介で語られる内容は、全て「過去」或いは「未来への展望」の情報です。多くの場合、それは当然のように「自己」の一部として語られます。しかし、その情報を語っているときの「いま」の「自己」は、厳密に言えば、それらを語っているに過ぎない存在です。
また、自己紹介によって語られる「自己」は、「自己」の無数にある過去の記憶或いは未来への展望のうちの、ごく一部に過ぎません。
自己紹介は、無数にある「自己」の情報のうちの「過去」「未来」の情報のごく一部を編集してアウトプットする行為であると言えそうです。
自己紹介が人に与える影響・効果
自己紹介をすること・されることは、わたしたちにどのような影響や効果を与えているでしょうか。
自己紹介をされる側から見た場合、自己紹介をされると、
・その人がどんな人なのか(の情報の一部)を大雑把に把握することができる。
・大雑把にその人の質を把握することで、その人が発信しようとするものを受け取るための心の準備をし、その受け皿を用意することができる。
・心の準備が出来ることにより、相手とのコミュニケーションに関してある程度の安心感が生まれる。
といった影響や効果がありそうです。
そして、自己紹介をする側から見た場合にも、この裏返しのような影響がありそうです。自己に関して大雑把に把握してもらうことにより、相手が自己の言動を受け止める受け皿ができるので、安心して発信することが可能になりそう。
この安心感ってなんでしょうね。
一般的に、人は、得体の知れないものに対する恐れや、戸惑いみたいなものを抱きがちなのかもしれません。そして、対象の質をある程度把握することで、恐れや戸惑いが緩和するのかもしれません。自己紹介によって生まれるコミュニケーションの安心感は、未知や得体の知れないものへの恐怖の緩和と表裏一体なのかもしれません。
また、自己紹介をする人は、自己紹介という行為のプロセスで「自己」の情報の全てから一部を編集し、それによって自己紹介を受け取る相手に対して表現する「自己」の質を決めています。そして、その自己紹介を受け取った人は、発信された「自己」の質を感じ取り、「このような過去や未来を纏った人は、このような発信をするのではないか」という心構えを持ったり、期待をしたりします。どうやら、自己紹介には、自己紹介をした人から発信される物事の質の方向づけが、発信者と受信者の双方になされるという効果がありそうです。
結局、自己紹介とは何なのか
これまでの考察をまとめてみましょう。
自己紹介とは
・無数にある「自己」の情報のうちの「過去」「未来」の情報のごく一部を編集してアウトプットする行為
・それによって、大雑把な「自己」の質が明らかになる
・大雑把な質が明らかになることで、その場に於いて自己紹介者から発信される物事の質の方向づけがなされる。
・自己紹介する者とされる者との間のコミュニケーションに安心感を与える。
というようなものなのではないか、と筆者は思います。
それは、「いま」の"自己"を他の複数の時点の"自己"と繋げて、これから"自己"というエネルギーフィールドに於いて繰り広げられていくであろう物事の質を決め、他者の観察の元に共同創造していく意図をする、ということであるのかもしれません。
これはあくまでも筆者の独断と偏見に満ちた考察であり、他の人にとっては全く違うかもしれません。
しかし、こんな考察をしてからでないと自己紹介のひとつも出来ないのかと思うと、我ながらめんどくさいやつだな、と思いますね。
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