ブノワ・ニアン氏トークショー@日本橋三越 レポート
チョコレートはお好きですか。
自分は好きです。
2016年か2017年ぐらいに、いきなりチョコ沼に嵌ったのです。
自分がチョコ沼に嵌ってから、深く愛しているチョコレートの作り手のひとつに、ベルギーの「BENOIT NIANT(ブノワ・ニアン)」というショコラトリーがあります。
こちらのチョコレートは、今まで食べてきたチョコは何だったのかと思わざるを得ないような、別次元のチョコレートなのです。
非常に口溶け滑らかで、香り高く、官能的な味わい。
美味さに打ちのめされます。
2020年2月7日、日本橋三越のバレンタイン催事場で、この素晴らしいチョコレートの作り手であるブノワ・ニアン氏のトークショーが行われました。
このトークショーに参加してきましたので、レポートをしたいと思います!
尚、ここに記述したブノワ氏の話の内容は、お話くださったものと一字一句同じというわけではありません。
メモ書きから起こした概要であることを、あらかじめご了承ください。
(ブノワ・ニアン氏)
ブノワ・ニアン氏のチョコレートのこだわり
まず、ブノワ・ニアン氏のチョコレート作りに関する基本的な考え方、こだわりについてお話がありました。
・カカオ豆そのものから作ること
チョコレートにもいろいろな作り方があります。
カカオ豆や砂糖などの原材料をチョコレートに加工したものを仕入れて、それを使ってさまざまなチョコレートを作る方法もあります。
ブノワ・ニアン氏は、カカオ豆そのものからチョコレートを作ることにこだわりがあります。
・昔の機械を使う
古い機械を使い、効率型ではない、ゆっくりとしたプロセスでチョコレートを作ることで、カカオの特徴を引き出しています。チョコレート作りに使っている機械は、1800年代のものが中心です(グラインダーなど)。
ロースターは1900年代初頭のものです。
・カカオそのものの品質へのこだわり
ブノワ・ニアン氏がチョコレート作りに使っているのは、カカオの全生産量のうち1%程度を占める、非常にユニークなカカオ。
シングルオリジン、シングルプランテーションのものです。
ここで言う「シングル」とは、ひとつの農家の、更にひとつの畑の単一品種、というレベルのものです。
農家によっては、畑ごとに異なる品種のカカオ豆を混ぜて売るところもあります。
異なる畑の異なる品種のカカオ豆を混ぜず、区別して出荷してくれる農家のものを使っています。
シングルオリジンにこだわる理由は、異なる品種のカカオを混ぜることで、カカオの特徴を打ち消し合うことがあるからです。
カカオの特徴を活かすために、シングルオリジンにこだわっています。
・素材そのもののアロマを活かす
香料を使うショコラトリーもありますが、ブノワ・ニアンでは使っていません。
素材そのものの香りだけで、チョコレートに仕上げています。
ブノワ氏がショコラティエになるまでの歴史
つぎに、ブノワ・ニアンさんがショコラティエになるまでの経緯をお話くださいました。
*
4、5歳の頃、家族のデザート係としてデザートを提供していたのが、原点だったと思います。
しかし、そこからお菓子の道にストレートに進んだわけではなく、普通に勉強して大学で学ぶコースを進みました。
大学では、エンジニアリングを学びました。
そこから、エンジニアとして就職。
30歳のとき、エンジニアを辞めて、この仕事への情熱に目覚めました。
ベルギーで最高のチョコレートを作る!
と決意しました。
業界にコネクションもなかったので、ミシュランの星を持つレストランに売り込みに行ったりもしました。
そこで認められて、このビジネスが軌道に乗りました。
シングルオリジンへのこだわりが何につながったか
ここで、試食のチョコレートが配られました。
以下、ブノワ・ニアンさんのお話。
*
カカオ豆を求めて現地へ赴き、農家さんとつながりました。
お配りしたチョコレートは、ブラジルのオウロという地域のカカオのものです。
オウロでは、カカオに(植物の)病気が蔓延して、危機的な状況になっていました。
その中で再起してカカオ栽培を始めた農家さんの豆を使ったチョコレートです。
とても希少なカカオ豆です。
「カトンゴ」という、フォラステロ種の一種です。
「カトンゴ」は、この地域でしか栽培されない品種です。
この農家さんは、他の畑の豆を混ぜずに、こちらの豆を出荷しています。
このカカオ豆は、ホワイトカカオで、希少なものです。
このチョコレートは、カカオに砂糖だけを添加して作ったものです。
ホワイトカカオは豆自体が白いため、ミルクを添加しなくてもミルクチョコのような色味になります。
味わうと、赤いフルーツ、ドライフルーツのニュアンスがあると思います。
カカオそのものの持っているnoteを感じられると思います。
シングルオリジンにこだわることで、テロワールによって育まれる、カカオ豆の本来持っているnotesを届けられるのです。
Q&A
質疑応答タイムも設けられました。
*
Q.ブノワ・ニアンの使用するカカオには農薬は使われていますか?
A. お付き合いしているカカオ農家さんは、効率よりクオリティを優先し、良いものを作るのがポリシーの人ばかり。
木を植え替えるタイミングでも、収穫量の多いもので効率を上げるより、フレーバーを優先させています。
勿論、かれらの作るカカオはすべて無農薬です。
Q.前職がいかされている点と、前職と異なったり楽しいと感じる点は?
A.チョコレート作りは、プロセスをきちっと作り、守らなければいけない点などがエンジニアリング的です。
また、古い機械を調整しながら使う時も前職がいかされています。
前職と異なるのは、創作的なところです。
Q.タブレットだけでなくボンボンショコラもとても美味しいのですが、フィリングの組み合わせなど、どのような感性で創作していますか?
A.基本は、旅からインスピレーションを得ています。カカオの旅が多いのですが。
沢山の試行錯誤をしますが、最終的にはひらめきです。
Q.ドミニカ共和国の産地のタブレットは、商品名が今年と去年では違いますが、去年のものとどう違いますか?
A.名前だけ変更になり、産地は去年のものと同じです。(商標登録の関係で変更になった)
最後に
最後に、ブノワ・ニアンさんから今後の展望についてお話がありました。
既に次の新しい商品の開発に取り組んでいるそうです。
日本の素材を使っていく予定。
最高の抹茶を探しているそうです。
また、他にもまだ言えない2〜3の素材が候補に上がっているとのこと。
今後、日本でも販売されるようなニュアンスのお話をされていました。
楽しみに待ちましょう!!
以上、ブノワ・ニアン氏トークショーレポートでした。
お読みくださり、ありがとうございました。
(ブノワさんにサインしてもらった、今年のドミニカ共和国カカオのタブレット)
(ちなみにこっちが去年の同じ産地のタブレット。名前が違う)
【追記】ブノワ・ニアンのチョコレートを買うには
ブノワ・ニアンのチョコレートは、バレンタイン期間中、およびホワイトデー期間中に全国百貨店の一部催事で販売されています。
そのほか、下記の公式サイトの通信販売で買うことができます。
(2020年2月8日現在)
ブノワ・ニアン公式サイトhttps://benoitnihant.jp/
LAJEDO DO OURO(10th. anniv.)が、このトークショーの試食で配られたチョコレートです。
気になった方は是非!お召し上がりください!
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