見出し画像

コンサル探偵の悪夢 ~ナメクジ戦記~

購入した住宅(しかも部屋の中・・・)にナメクジが侵入する被害が続く・・・

ついに我が家では至上最強のナメクジ大虐殺を開始した。

夜行性と言うナメクジ向けてホームセンター「ホームピック」の園芸店で購入した殺ナメクジ剤「ナメストック」をまきに、夜、裏口に出てみると、、、

やはりいた、ナメクジが・・・

「本当に夜行性なんだぁ・・・」

思わず口にし、少し感動しつつも、最初に見つけたそいつにナメストックをプレゼント。

な、なんと、自分からナメストックを食べ始めるではありませんか!

(ああ、なんて馬鹿な奴・・・やめろよお前、死ぬんだぞ・・・)

いくらナメクジとは言え、生き物を殺すことに対する痛む心とは裏腹に、家の中でこいつらを見かけたときの嫌悪感が背筋に走る。複雑な思いを胸に、あたり一面にナメストックを散布する。

念には念を入れて、ナメクジの好物のビールなんかも用いちゃったりして、誘導作戦も展開。頭の中には戦場にかける橋かなんかが鳴り響く。

一息入れに部屋に戻り、ビールの残り(飲むなそんなもん!)を飲みながら、しかけた罠にカブトムシが早く飛んでこないかという少年の日のわくわくそわそわ感を覚えつつ、これからビールを飲むたびにナメクジを思い出すかと思うと、痛い代償を払ったものだと後悔の念にも駆られる。

こらえ性がないコンサル探偵的には、10分もたつかたたないかのうちに裏口へ。

ものすごいことになってたらどうしようか・・・

頭の中には劇場版スタートレックの第3弾の冒頭で惑星ジェネシスに捨てられたMr.スポックの棺にまとわりつく巨大なナメクジモドキの図が展開される。ドキドキしながら勝手口のドアを開け、同じくホームピックで購入した248円の小型懐中電灯で先ほどの罠をチェック。

なーんだ、いないじゃん。

ホッとしながらも、ナメストックも所詮こんなもんか。と少々がっかりしながら隣家との塀の下のあたり、先ほどビールをまいて湿ったエリアにライトを移すと・・・

ウゲ。いた!

そ、それも2匹!ぜ、全然うれしくない!

塀には今から自分達を待ちうける運命を知らずに・・・ランデブーするナメクジカップル。

が、驚いたことに、結構速いスピードで移動している。な、なんと、こいつらひょっとしてやる気になれば、うちの次女(3歳)よりも早く移動できるのではないか?と思わせるスピード!!!しばし呆然と立ちすくみはしたが、慌てて部屋に入り、おってくる(来ない来ない)ナメクジが一緒に部屋に入らないように念入りにドアを閉め、もちろん鍵も掛け、割り箸を探す。手に取ったコンビニ弁当の割り箸の袋を爪楊枝に注意しながら破り、割り箸を取り出す。割り箸を割る時、ナメクジをつまむ感触を想像しながら体中に鳥肌を立て、一路勝手口に!ひょっとしてもうその場にいなかったりして・・・と思いつつ。

でもいた。塀の上の方に移動しようとしている。さては罠に気がついたか?ナメクジどもよ。移動スピードといい、罠を見破る能力といい、いつのまにか我が家に侵入する手口と言い・・・こいつらはひょっとしては侮りがたい存在なのでは?少なくとも今の時点で我が家の二人の娘達よりも自立して生活していることは間違いない。そのうち仕返しに来るのではないか???とも思い少々びびる。

ふと脳裏によぎる死後の世界(もちろん地獄♪)で、鬼達にナメクジ風呂に突き落とされ、何度も何度も這い上がろうとするも鬼の足で顔を蹴られて出られず、体中にナメクジがたかっている自分の姿を想像しながらナメクジをつかむ。

(ううっ!)

想像通り(ちょっと硬め)の感触が割り箸を通して右手に伝わる。

最悪だ。記憶されてしまった。同じ硬さのものを箸でつまむたびにこのシーンを思い出すに違いない。

割り箸につままれて体をくねらせるナメクジ。心臓は高鳴り、鳥肌が立ちまくる。

すばやく体を反転させて通風孔近くにしかけたナメストック入りビール風呂へお入り頂く。体をくねらせもがくナメクジ。もう一匹も手早く同じしかけへ。2匹目は少々大柄だ。同じように体をくねらせるだけでなく、こいつは風呂から出ようとする。やはり苦しいのだろうか?許せナメクジよ。念仏を唱えながら逃げようとするナメクジの頭を割り箸でつつき再度風呂へ追いやる。心の中では、

≪エンジェルサイド:俺は地獄の鬼か!こいつらが何をしたと言うんだ!やめろ、やめてくれ!≫

≪デビルサイド:なけ無しの財産をはたいて購入した中古の新居への不法侵入罪じゃぁぁぁ!≫

ちょっともがいたものの、観念したのかビールに酔ったのか、動きが鈍くなるナメクジカップル。

一刻も早くその場を逃げ出したい気持ちと戦いながら、塀のあたりを再点検する。あたりは静まり返っている。ここで誰かに見られたら、人の家を覗きに来た変態だと思われるに違いない。

(取り押さえられた現場にて.。o○「その右手の割り箸はなんだ!」)

(取調室にて.。o○「その割り箸で人の家覗きながら何してたんだ!言え!言ってみろ!ええ!この変態野郎!」)

な~んて、警察署で詰問される自分を想像しながら、回中電灯であたりを見まわす。

どうやら第一戦は戦いぬいたようだ。少し疲れと吐き気を覚え部屋に入る。

また数分後、ものすごく嫌なんだけど罠をチェックしに言ってしまう自分の狩人的本能?に抗しきれず懐中電灯を手に裏口へ。先ほど敵を発見したあたりを確認するが、さすがにドジョウ二匹とは行かない様だ。ナメストック入ビール風呂に死体があるかライトを向ける。先ほどの2匹がのびている。可哀想に思い、最初にやっつけた一匹をそこら辺に落ちていた枯葉で転がしながらビール風呂に入れてやる。可哀想に・・・こんなこと好きでしてる訳じゃないんだよ。。。とナメクジを哀れんでいるその目に飛込んできたのは、通気孔へ向かう一匹のナメクジ!

「お、おのれ!!!またもや我が家に侵入しようというのか!!!仲間の仕返しか!?」

「仏心なんぞ出した俺が馬鹿だった!く、食らえ!落ちろ!!!毒風呂へ!!!」

悪魔のようなナメクジをビール風呂に突き落し、別の通風孔を確認し、10秒ほど目を離すと、なんと、ビール風呂にご招待したはずのナメクジが、もう風呂から上がろうとしているではないか!!!

「やはりこいつらは素早い!」

風呂から上がろうとするナメクジさんに、もう少々お入り頂くよう説得し、一晩こうしてナメクジと戦うのかと思うと急に嫌気がさしてそいつの動きが鈍くなるのを見届けると部屋に戻る。

懐中電灯をしまい、1時間程の悪夢のような戦いを頭から追い出そうと手を洗いに洗面台に。

そこで出くわしたのは、私が戦っている間、壁一枚を隔ててのんきに風呂に入っていたカミさんだった。

翌朝、子供達にナメストック散布の知らせをし、注意するように言い伝え、勝手口から出て戦場を確認する。ビール風呂には昨夜のナメクジが死んでいる。他にも壁の下に2匹程丸まって転がっている。

「ナメストック」・・・恐ろしい薬だ。。。

また訪れるであろう夜を思い、気分を悪くしながら、朝8時30分からの健康診断の再検査に向かうコンサル探偵は頭の中で、血液中にナメクジが発見されないことを祈るばかりであった。

以上。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?