「属州を買わない」という選択

書こうとしたきっかけ

先日、某ドミニオン会で起こったケースです。
時間が経っているので当時の状況は正確ではないかもしれません。

当時の盤面と私が取った選択

  • 人数は4人、購入増加はなく、属州を1枚ずつ枯らしていく展開

  • 相手は全員次のターンで属州が買えそう

  • 属州は残り4枚、自分の番で8金が出た

  • 私は現状2位

この場面において、当時の私は「属州を買う」選択をとりました。
その結果、想定通りその後自分のターンが回ってくることはなくゲームが終了しました。
このターンにおける最大得点行動が属州購入であることは間違い無いですが、はたしてこの決断はよかったのでしょうか。

「属州を買わない」という選択

結論から述べると、得点の最大化を考えるなら「次の番に8金を出せる自信があるなら買わないほうがいい」です。
実際に場面を考えてみましょう。

属州を買った場合

  1. 自分が属州を買う(属州残り3枚)

  2. 下家が属州を買う(属州残り2枚)

  3. 対面が属州を買う(属州残り1枚)

  4. 上家が属州を買う(ゲーム終了)

6VPを得てゲームが終わりましたね。
一方、相手も全員6VPを得ているので、順位変動は起こりません
では、公領を買った場合はどうでしょうか。

属州以外の勝利点(公領など)を買った場合

  1. 自分が公領を買う(属州残り4枚)

  2. 下家が属州を買う(属州残り3枚)

  3. 対面が属州を買う(属州残り2枚)

  4. 上家が属州を買う(属州残り1枚)

  5. 私が属州を買う(ゲーム終了)

9VPを得てゲームが終わりました。
相手は6VPを得ているので、実質自分が3VPを伸ばして終了することができました。
局所的にみると「最大点数行動」ではないのに最終的には得点を多く得ている、少し不思議ですね。

じゃあいつ属州を買うの?

次の3ケースに分類できると私は考えます。

  • 自分が現在1位である場合

  • 「次の自分のターンまでに(自分の分も含めた)属州が減るであろう数属州の残り枚数」である場合

  • 上位との差が大きい(公領差で巻き返せない)場合

それぞれの場合について理由を述べていきます。

ゲームを終わらせることへの意識

自分が1位であるなら、わざわざ次ターンに事故って属州購入ができないリスクを負ってまで得点の最大化を目指すことはないでしょう。

なぜ公領を買わなかったのか

属州を買わないほうが良かったと判断したのは「今属州を買ったら手前でゲームが終わってしまう」=「1ターンの損失」が原因です。
もし属州の残り枚数が“十分多い”なら、「手前で終わるかもしれない」と迷う必要はないでしょう。
他の誰か(または未来の自分)がこの悩みに直面してくれます。
もし属州の残り枚数が“十分少ない”なら、「公領を買ったとしても自分の番は増えない」のだからわざわざ公領を買うことはないですよね。

“あえて”属州を買う

言ってることが違うじゃないか!いい加減にしろ!!
となるかもしれませんが、これも悪くない選択でしょう。
公領を買った場合と属州を買って“うまくいった”場合の「相対的な点数差」を比較してみます。

公領を買った場合(再掲)

  1. 自分が公領を買う(属州残り4枚)

  2. 下家が属州を買う(属州残り3枚)

  3. 対面が属州を買う(属州残り2枚)

  4. 上家が属州を買う(属州残り1枚)

  5. 自分が属州を買う(ゲーム終了)

自分:+9VP、相手:+6VP
であり、相対的に3VP多く得点できますね。

属州を買って“うまくいった”場合

「相手が全員属州を買う」という前提では公領がベストですが、もし「相手の誰かが事故って、属州が買えない」場合はどうでしょうか。
問題の簡略化のため、下家のみが公領を買う場合で考えましょう。

  1. 自分が属州を買う(属州残り3枚)

  2. 下家が8金が出せず、公領を買う(属州残り3枚)

  3. 対面が属州を買う(属州残り2枚)

  4. 上家が属州を買う(属州残り1枚)

  5. 自分が属州を買う(ゲーム終了)

自分:+12VP、下家:+3VP、対面・上家:+6VP
であり、相対的に少なくとも6VPの差最大で9VPの差をつけることができます。

判断を誤ると…

今までの議論は「次ターンに自分が属州が買える」という前提がありました。
もし、公領を買った次のターンに運が悪く(もしくは自分のデッキパワーを見誤って)、次ターンに属州が購入できなかったらどうでしょうか。

  1. 自分が公領を購入する(属州残り4枚)

  2. 下家が属州を購入する(属州残り3枚)

  3. 対面が属州を購入する(属州残り2枚)

  4. 上家が属州を購入する(属州残り1枚)

  5. 自分が公領を購入する(属州残り1枚)

  6. 下家が属州を購入する(ゲーム終了)

自分・対面・上家:+6VP、下家:+12VP
となり、下家に6VPも離されてしまいます。

まとめ

  • 属州が少なくなったら、属州が買えても公領を買った方がいいかも

  • 「(自分の分も含めた)属州が減る数」と「属州の残り枚数」を比べよう

  • 高々3VPの差とゲームが長引くリスク、爆発力のロマンなどを比較しよう


後書き

この問題は2人戦における「7枚目の属州問題」の多人数戦における一般化です。
これについては、ヒロタシさんの次のブログでとても丁寧に書かれています。

余談ですが、Dominion Online の2人戦レート50〜55辺りでもこの辺りの理解が甘いと感じるゲームがそれなりにあります(購入権や改築系が絡んだ場合は特に)。
レート上位のプレー配信を見てみると、些細なプレーから新たな発見が得られるかもしれませんね。

私は以前までは2人戦を主に遊んでいたため、この辺りの話は理解しているつもりでした。
ただ、多人数戦に応用できるという(当たり前の)視点に初めて気付き、嬉しくなってブログにまとめました。

ただ、似たような議論はおかぴさんの次のブログで既に行われていました。
車輪の再発明ですね、、、

ただ、「知識として蓄えておく」というよりも「考え方の引き出しを作り、その場に応じて適用できる」ことが重要であると私は考えているので、無駄ではなかったと信じています。

また、公領購入の役割についてはうりはりさんの次の記事で詳しく述べられています。

どのタイミングにおいても、「公領を買う意味」を自分なりにしっかり持って臨みたいですね(ω敗)。

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