見出し画像

ドラマ『北の国』から見える「地方」の現実

 著者によれば、ドラマ『北の国から』(脚本:倉本聰、放送:1981~2001年)は戦後から現在に至る日本社会の変化とそれに振り回された人々によってドラマが展開されており、それゆえに社会が見えるという。

そこで本書は、家族の物語の中から日本社会、とくに北海道が抱えてきた諸問題を抜き出し、「社会」を読み取とっている。
  
 たとえば、第2章 「『北の国から』の農家はなぜ失敗するのか」、第3章「若い五郎はなぜ北の国を去ったのか」では農業や炭鉱労働の厳しさ、第5章「バブルのツケを払わされた純たち」ではつい最近の過去の問題が、歴史的背景、東京との関係、データから解説されており、北海道の置かれてきた状況がよくわかる。

 これは北海道だけでなく地方に住む人々が多かれ少なかれ抱える問題ではないだろうか。地方在住の私は大変、共感した。

 時に優れた文学や映画などは、その社会の本質を鮮明に抉り出す。私は『北の国から』は全く見たことがないが、どうやらそうした作品の一つのようだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?