小さな一日
朝が来ると
夜の町が服を一枚脱いだみたいに
色を変えて新しくなり
一日が始まる。
*
どこにも見当たらない言葉を探して
今日の輪郭を見定めようとする、
何かに似ているようで
何ひとつ似ているものなど
ないと思うよ。
恋をしてるみたいに
今日のすべてが輝いて見える、
どんな嘘もみすぼらしく
消え失せていくだけ。
*
誰もがたった一人の母と一人の父との
たったひとつの出会いから
命をもらってここへやって来た
長くて短い物語。
もうこれが最後でもいいようにと
今日の日を過ごしていく、
簡単なようでそれがとても難しい。
誰もが等しく小さな一日を
重ねて進んでいく物語。
恋をしてるみたいに
今日のすべてが輝いて見える、
どんな過去もいつのまにか
夢みたいに消えていく。
どんな過去も
いつのまにか
夢みたいに
消えていく。
*
どこかにありそうで
決してどこにもない、
小さな今日という一日。
(2022年7月4日〜12月28日)