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クールミントのペンギン

真っ白な雪の絨毯の
真ん中を歩いてゆく君に
こっそりと狙いを定めて
手袋で雪の銃弾をかます!

 僕はクールミントのペンギンを
 胸に忍ばせている。

     *

降り積もる真っ白な十二月、
君は背に雪の弾丸を受けて
弾け飛ぶ小さく光る白い弾、
どっさりと君は絨毯に倒れた!

 僕はクールミントのペンギンを 
 胸に忍ばせて隠れている、
 左手に弾薬を詰めこみ息を詰めて潜んでいる。

     *

遠い国の戦場のことを思う、
僕がまだ見ていないものを思う、
一億の呻きを聞きし思いして
僕はただ手袋をつけ直す。

君はそっとゆっくり白い息を吐く、
俯いて片手をついて起き上がり
手袋を脱ぎ捨て両手を広げて
無防備な十字の標的に変わる!

 僕はクールミントの三日月のように
 背中を丸めてしゃがんでいる、
 並んでいるクールミントのペンギンのように
 目を塞がれている。

僕たちは世界一無邪気な者たちだ。
絨毯がほつれて雪の花を飛ばす!

     * 

砲弾がどこからか飛んできて
僕たちの生活の一切を粉々に打ち砕いてしまう空想に
すっかり取り憑かれている‥‥

 僕はクールミントのペンギンを 
 胸に忍ばせて歌っている、鼻歌で
 青白いクールミントの薄っぺらい板を咥えている、
 砲弾がどこからか飛んできて
 僕らの世界の一切を粉微塵に打ち砕く空想に囚われ
 僕は突然の地吹雪に吹かれながら
 雪のなかクールミントのペンギンと一緒に歩いてゆく。
             (1996年2月)

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