紫陽花の朝
微睡みの覚める頃には
もうそこに君が来ている。
朝の陽が照らすよりも
真っ先に届く光。
雨音が耳を打つ、
六月の花が咲いている、
それぞれが進む道を
そっと祝福するように。
眠っている鳥の羽根のうえで
小さな雨粒が光っている。
*
何度でも同じ夢を見ていた季節が過ぎて
傷を負った情熱だけが
傘もささずに濡れている。
大切な歌をうたうように
真っ青な紫陽花が揺れている。
僕たちがきっと見れない未来さえもずっと心にあって
まるで未完成の映画みたいにつづいていく。
鳥たちが飛び立って
雨音が遠ざかる。
(2020年6月4日〜28日)
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