ハースストーンから学ぶ英語表現①
『ハースストーン』というカードゲームをご存知でしょうか。
アメリカのブリザード・エンターテイメントが、同社の超人気オンラインゲーム『ワールドオブウォークラフト』の世界観をベースに作ったゲームで、総ユーザー数はなんと7000万人以上。
カードゲームなので手軽にプレイできる分、むしろ『ハースストーン』から『ワールドオブウォークラフト』を知ったという方も多いのでは(かく言う私もその一人です。というか知っただけでやってはいませんが)。
このゲームは、カードゲームとして非常に面白くエキサイティングであることはもちろん、「遊びながら英語を学べる」ことが大きなメリットだと思います。
日本語でもプレイできるのですが、英語の方が表現がカッコいい。
特に、ゲームとは直接関係のない、カードの雰囲気や世界観を表すための「フレイバーテキスト」。
ここには開発陣によるジョークなど、日本語に訳すのが難しい表現も多く盛り込まれるので、原文と日本語版の文章では全く違う場合も多いです。
(日本語版は日本語版で異なるジョークが盛り込まれていたりして、それはそれでおもしろいのですが。)
だから私は、基本英語でプレイしながら、意味が気になる表現に出会ったときや、日本語の攻略サイトとカード名を対照させて調べるときなどだけ日本語設定に切り替えています。
さて、ゲーム自体の話はここまでにして、本題の「ハースストーンから学ぶ英語表現」に入ります。
このゲームでは、いくつかのセリフを自分側のキャラクター(「ヒーロー」と言います)に喋らせることができます。
その中でも私のお気に入りが、ヴァリーラというヒーローで相手にとどめを刺すときなどに使う、
“I will be your death!”(あなたの死神よ!)
です。好きすぎて日常生活でも使ってみたいのですが、幸か不幸か、今のところそのような機会には恵まれていません。
このセリフを聞いて、最初私は「”I will kill you!”でいいんじゃないの?」と思いましたが、あまり深くは考えませんでした。英語ではそういう表現が好まれるのかな、くらいで。
しかし最近、『「ジョジョの奇妙な冒険」で英語を学ぶ!』という本をブックオフで見つけて購入。
その表紙には、承太郎が花京院と戦ったときのセリフの英訳、
”I’ll be the judge of that!”(おれが裁く!)
が書かれていました。
「おれが裁く!」を日本人が素直に訳せば、その多くは”I’ll judge that!”や”I’ll judge you!”などになるのではないでしょうか。
しかしそうせずに、”I will be 〇〇”という表現を使う。そこにはどのようなニュアンスの違いがあるのだろう。
これは文献などを調べたわけではなく推測にすぎないのですが、”I’ll be 〇〇”と言う場合、「自分にはそうする資格や権利がある」というニュアンスが含まれるのではないか、と思いました。
judge=「裁判官」。裁きを管理するもの
death=「死神」。死を管理するもの
judgeやdeathに「なる」ということは、裁きや死を当然の仕事として行うということ。
つまり、単に自分がしたいからするわけではなく、自分にはそうする正当な理由がある、そうしなければならない。そして相手は、それを正当なものとして受け入れなければいけない。決して逃れられないぞ、という意思が含意されるのではないか、と。
一方、”I will kill you!”や”I’ll judge that!”だとどうなるか。
willは意志を表すから、自分がそうしたいというだけで、そこに正当性や必然性は含まれない。
相手に対し、あくまで「私がこうするぞ」と言っているだけで、それを受け入れるも、逃れるも、対抗するも自由、というニュアンスを与えるように感じます。
(もちろん”I will be 〇〇”のほうを使えば相手が素直に受け入れる、というわけではありませんが。)
さらに掘り下げていろいろ考えてもみたのですが、あまりうまくまとめられなかったのでこの辺で。
今回私が一番伝えたかったのは、ハースストーンは面白いし英語の勉強にもなるから、ぜひやってみてほしいということです笑。
自分がプレイするだけでなく、海外プレイヤーの配信動画をTwitchやYouTubeで見ることもできます。特にThijsさんとかよく喋るので、楽しく英語とハースストーンを学べますよ。では。
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