デブがうつる
私は高校のころ150センチしかない身長で70キロオーバーの体重の持ち主であった。
母は料理が得意なんだけど、量をしこたま作る人で、美味しいんだけどとにかく多かった。多すぎた。
特に揚げ物のレパートリーが多く天ぷらや唐揚げを毎晩のように大皿に山盛り出されていた。残すのもなかなか許されず、また、私は私で死ぬほど負けず嫌いで食い意地がはっている性格だったため、食べ盛りの兄や弟と同じ量をがつがつ食べていた。そりゃ太るよね。
大学に入って一人暮らしをしたら、スルッと体重は落ちたものの、小学生〜高校生までずっとデブだったし、今もその頃に比べたら体重は落ちたとは言えがっしりムッチリたぷたぷの贅肉は変わらず身体中にしがみついている。
運動しろ。
小学校高学年のころにはすでにデブだったので、こんなエピソードがある。
確か、小学校4年くらいだったと思う。
最近転入してきて近所に越してきたマイちゃんという子がいた。
マイちゃんは目がぱっちり大きく切れ長で色白、鼻筋もすらっとして黒髪を束ねた、控えめに言っても美少女だった。
ただ、めちゃくちゃ口が悪かった。
父親同士が会社の同僚で、子どもたちは会ったことが無かったが親同士は古くから親交があり、家族ぐるみでこれから仲良くしましょうね、というタイミングほぼ初対面のとき。
これからよろしくね、と握手を求めたらマイちゃんに「デブがうつる」と言われにこやかに拒否されたのだった。
私は突然のdisに衝撃を受け泣き、マイちゃんの両親がめちゃくちゃに慌て怒り、マイちゃんも泣き出すという地獄のような出来事があった。
マイちゃんはまだオランダに駐在する日本人がどれだけ少なく、また親同士の付き合いからも、どれだけデブが嫌でも関わり合いにならなければならないことを知らなかったのだ。すぐ知ることになる。
そして、マイちゃんは口は悪いが自分の気持ちに正直で素直な人だったとわかるようになって、その後仲直りし、一緒に遊ぶようになる。
マイちゃん元気かなぁ。