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花子と書き書きの一年

チュクチュクチュク 鳥が鳴いている 花の匂いが風と一緒にやってきた 木の実が木につかまっている 春が来ました

タッタッタッと大きな音を立てて走って来た女の子がいました。優しそうな女の子です。「あの子に買ってほしいね」「優しそうな女の子だね」「僕を買って!」と、みんな言っていました。けれど、えんぴつの書き書きだけは「僕を買って」と思っているだけでした。女の子は、一番大声で叫んでいたえんぴつを持って笑いました。そのえんぴつは「やったー!」と思ったけれど、女の子は「あなたは、すごくうるさいから、買いたくない」と言ったので、みんな、びっくりしました。女の子は、書き書きをもって「これがいい!だって静かだもの」と、レジに持っていって買いました。「いててててて!」と言いながら、書き書きは削られて、いよいよ学校が始まりました。女の子の名前は、花子でした。花子は、まだ、学校に慣れていなくて、緊張していました。書き書きは、1か月使うごとに、1センチ4ミリメートルずつ短くなりました。

書き書きの 友だち何人 できるかな

夏休み 海の太陽笑いだす 海の中 魚がみんな 踊りだす 夏です

花子も学校に慣れて「友だちが百人出来たんだよ!」と、書き書きに教えてくれました。「えっ普通、そんなに友だちできるの?」と思って、すごくびっくりしました。けれど、「書き書きも、それくらいがんばるぞ!」と言って、まわりを見わたしました。すると、消しゴムが笑って元気に「友だちになってください!」と言ってきたので、急いで「いいよ!もちろん!」と元気に言いました。花子の部屋で、消し消しという名前の消しゴムといっしょに遊んでいたら、他のえんぴつも、仲間に入れてとやってきて、いっしょに遊びました。花子が何かを書いていたので、何を書いているのか見ると、書き書きのしょうかい文を書いていました。夏休みの宿題です。難しそうだったけれど、すぐに書けました。その時です、シュンッと、せんぷう機の風に吹き飛ばされてしまいましたが、花子がナイスキャッチ!飛ばされずに助かりました。

せんぷう機 書き書き飛ばし 作戦だ

どんぐりや 落ち葉のじゅうたん歩きたい 柿食べて 栗を食べても 腹がすく 秋です

枯れ葉も散って寒そうです。ある日、バレーボールや水泳や色々なスポーツを見に、花子たちは、スポーツ場へ行きました。そして、バレーボール説明本を読みながら、おやつをいっぱい食べて、選手の絵を書きました。花子は、いろいろ悩みながら、もちろん書き書きを使って描きました。帰って疲れたので「疲れたな~早く夜にならないかな~早く寝たいな~」と思いながら、ぼーっとしていると、冷たい風が吹いてきました。書き書きが「さむ、最近寒くなってきたね」と、独り言を言ったとたんに、どこからか「僕の出番だ!まかしといて!」と出てきたのが、ふでばこでした。書き書きが「名前は何?ばっこかな?ふーで?それとも・・・」すると、ふでばこに「僕の名前は、入れ入れ、よろしく」と言われてうれしくなりました。また、友達が増えたからです。冬は、入れ入れの中にいれば大丈夫です。

えんぴつの 書き書き花子の 友だちだ

サンタさん 雪にうもれてないのかな 雪だるま 雪合戦で 楽しもう 冬です

枯れ葉が散った木も、もう凍えそうです。雪が積もって、すごく寒くなりました。書き書きが「さむっ健康で風邪にはなっていないけれど、さむっ」と言ったら「今行くよ~待っててね~」と、入れ入れが、まるでチーターのように、速く走って来ました。「キャー!止まってー!」と叫ぶと、入れ入れが、キキーッと止まりました。そして、素早く、入れ入れの中に入れられました。入れ入れの中には、暖房や、冷房がありました。中に入ると、冬は暖房、夏は冷房が自動的につくのです。入るとビッと音が鳴って、暖房がつきました。けれど、すぐに消えました。入れ入れの機嫌が悪くなると、消えるのです。けれど、すぐにつきました。「良かった助かったよ」書き書きがつぶやきました。

次の日、花子が書き書きをけずると、1センチくらいになりました。使えなくなったけれど、えんぴつコレクションの記念すべき第1号になりました。花子は「1年間も使えて、やっぱり良かった」と言ってくれました。

書き書きは、コレクションのね 1号だ

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