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俺のがヤバい

生きていると"ヤバい奴"と対峙しなければいけない時がある。ヤバい奴はいつ何時現れるか分からない。電車の中、市役所の待合所、飲食店の隣席、僕達は彼らがいつ来ても慌てないよう予め対処法を考えておく必要があるのだ。みんなはヤバい奴と対峙した時どのように行動するだろうか?逃げる、助けを呼ぶ、いろんな選択肢があるが、ドルジの場合はソイツよりもヤバい奴を演じるようにしている。
以前、ショッピングモールの休憩スペースのソファに腰掛けて携帯をいじっていた時、急に目の前に、長髪にした滝藤賢一のような風貌の男が現れて「腕相撲しようぜ」とドルジの前のテーブルに右手を出してきたのだ。これ絶対ヤバい奴だ。この時ドルジは目を見開き、ただソイツを見つめて一言も喋らずにヨダレを垂らすことにした。秘技ヤバい奴擬態である。しかしソイツも手強く、なかなかその場から立ち去ろうとしない。ずっと手を差し出してファイティングポーズを取っている。ここからは異次元のにらめっこ対決だ。絶対に負けられない戦いがここにはある。そしてドルジに僥倖が起こる。何とお腹に屁意が湧き上がったのだ。そこで一発盛大にかましてやる事にした。お尻のお肉を最大限に震わせてドルジは放屁した。するとその音に怯んでソイツは逃げ出した。こうしてドルジはヤバい奴を追い払うことに成功したのだ。俺に喧嘩を売ろうなど100年早い。しかし、何だか周りの様子がおかしい。見渡すと周囲の人が僕の事をヤバい奴を見る白い眼をしている。放屁はどうやら多くの人にダメージを与えてしまったようだ。ゆっくりとソファの背もたれに寄りかかり、手に持っていたペットボトルのコーヒーを一口飲んだ。深呼吸をして肌を触ると少し汗ばんでいる。明日もきっと猛暑かな。現実逃避して地球温暖化について考えるドルジなのでした。

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