ロンより証拠

ドルジは麻雀が好きだ。大学で1番学んだことは麻雀だと胸を張って言えるくらい麻雀をした。大学の近くで一人暮らしをしていたので、ドルジの自宅が友達の溜まり場になり、絶えず誰かと麻雀に興じていた。バイトから帰ると何故か知らない4人が麻雀をしていて気まずい思いをしたこともあった。そんな麻雀漬けの毎日を送っていたある日、自宅に帰ると家の中の様子がおかしかった。部屋中が荒れ果て麻雀牌が散乱している。部屋の隅には友人Aが膝を抱えてうずくまっており、それをみんなが取り囲んでいた。どうやら話を聞くと麻雀で負けが込んでいた友人Aに対して、友人Bがチャチャを入れ、Aのイライラはピークに達していた。そして、BがAの元カノと付き合っている事実が発覚し、未練のあったAの感情が爆発して取っ組み合いの大喧嘩になったらしい。BはAの顔を殴り、罵倒してからその場を去った。その事件の後にちょうどドルジが帰ってきたのだ。Aは赤く頬を腫らして号泣しており、みんなで慰めている。ドルジも話を聞いてAに同情した。ただ、ひとつ気になることがあった。誰もドルジの部屋が荒れ果てているのを気に留めていない。しかもよく見ると、ノートパソコンにはヒビが入り、ギターのネックがポッキリと折れている。しかし、Aの精神状態が落ち着かないので被害を主張しにくい雰囲気がこんもり漂っている。躊躇していると泣きながらAは部屋を飛び出して行ってしまった。呆気に取られる一同。一拍置いて荒れた部屋の状況を察する一同。その後、みんなの目線がドルジに集まった。やれやれとした表情をして一言「女って怖いな」と呟く哀愁のドルジなのでした。