見出し画像

2018年 小学生部門 優秀賞・ニャーロウ賞

◎優秀賞 伊井 悠馬さん(小6)

読んだ本――『ギリシアの神々の物語』 ロジャー・ランスリン・グリーン作 山本まつよ訳 子ども文庫の会
『超おもしろ環境クイズ』 スティーブ・スキッドモア作 浅野万里子訳 金の星社

【作品】
「ギリシャの神々の物語」
伊井 悠馬

 ゼウスは久しぶりに神々の神殿から地球を眺めていた。彼がクロノスやティタンたちと戦い勝利した後に地球を再建してから、ずいぶんと月日が流れた。ゼウスはその後の地球の変わりように驚いた。いたるところで環境問題が発生し、地球はこのままいくと汚れた天体になってしまう。何人かの神々に頼んで、地球をより住みやすい星に再生する必要がある。
 温室効果ガスがあるおかげで地球は凍らずにすんでいる。しかし、人間がさらにガスを作り出したおかげで、地表の閉じ込められた熱の量が増加し、地球の大気の温度が上がっている。そうなると日照りにより水不足が起こったり、世界中の産業も影響を受けてしまう。そこでゼウスは、風の神であるアネモイを呼んだ。するとアネモイはほっぺたをふくらませ、口から大量の突風を吐き出して、ガラスの屋根のように地球をおおっている温室効果ガスを吹き飛ばした。これにより北極や南極の氷が解けることも止まり、海面の高さが上がることもなくなった。
 地球上の人間・動植物すべて、水がなければ生きていけない。けれども人間は工場から出る有毒な化学物質や油を川や海に捨てて大切な水を汚している。さらに、田畑にまいた農薬や化学肥料が土にしみこみ、地下水に混ざって、水を汚している。日常生活でも、例えば色々な洗剤やシャンプー、また汚物や台所の生ごみが海や川を汚している。ポセイドンは全ての海を支配している。白馬に引かせた戦車に乗り、水中から姿をあらわしたポセイドンは人間のやることを見て怒り狂い、キュクロープスから送られた三又の矛を使って嵐や津波を引き起こし、地球をゆすぶって地震をおこし、その裂け目に汚水を全部流しいれてしまった。おかげで汚水処理設備が不十分で汚れた水を飲んでいたひとたちも救われた。
 世界のエネルギーのほとんどが石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料から産出されているが、これには限りがある。この危機を核燃料の利用で解決するには大きなリスクが伴う。そうなると自然の力を利用することが考えられるが、その中でも太陽が次のエネルギー源として注目を浴びる。そこで太陽神のアポロンが登場し、太陽の光をもっと強くしたり、太陽を二つに増やしたりして、エネルギー危機を救う。太陽の光が強すぎて耐えられない人々のためには、ゼウスはデウカリオンに命じて船を作らせ、野生のもの全ての守護神であるアルテミスを呼び、人々と絶滅種の獣たちをその船に乗せた。そして、それらを一旦人間や生物に適している別の星へ送った。
 なお、野生動物の取引を禁止又は制限したワシントン条約を無視して、希少動物を血眼になって追い求める人間を、メデューサが住む館へと連れて行き、彼らをその輝く目に魅せられて石にしてしまった。彼らは自分達の欲の深さを後悔したがもう手遅れであった。彼らは自分たちの姿を隠す兜も持っていなかったし、メデューサの姿を映し出す盾もなかった。翼のあるサンダルを使って逃げ出すこともできなかった。
以上
______________________________

◎優秀賞 森島 大賀さん(小3)

読んだ本――『魔法のスリッパ』 ディック・キング=スミス作 三原泉訳 あすなろ書房

【作品】
「しあわせなスロゲットさん」
森島 大賀

「まほうのスリッパ」という本を読みました。スロゲットさんというおじいさんが、いつもとちがう新しいスリッパを友人のロットさんのくつ屋さんへ行き、一ポンド安く買いました。そして、それをはくと、わかい時のように力がぐんぐんわいてきて、頭もさえてきました。
 もしスロゲットさんではないちがう人だったら、スリッパのまほうを自分のためだけに使ったり、自まんのために使うかも知れません。オリンピックの全しゅ目で金メダルをとることもできるし、色々なクイズ番組の景品全部をもらうこともできそうだと、スロゲットさんははじめのうちから気づいていました。しかし、スロゲットさんは、そのように使いませんでした。また、もし悪い人だったら、 人より強くなるので、人をいじめたり悪い事に使うかも知れませんが、やはりスロゲットさんはそのように使いませんでした。だから、ぼくはスロゲット様とよびたいぐらいすてきな人だと思います。
 物語では、他の人にスロゲットさんのスリッパを使わせる場面があります。しかし、何もこうかがないのです。なぜスロゲットさんだけがまほうを使えるのかなと思いました。ぼくはスロゲットさんが選ばれた人だからだと思います。なぜ選ばれた人かと言うと、前に書いた通り、スロゲットさんは、悪いことに使わない心を持っているからです。
 それではいったい何に使ったかというと、おくさんを楽にするために、クイズ番組で一〇〇ポンドをもらい、せんたくきを買ってあげました。また、自分がけがをしてもいいという思いで、交通じこから子供を守ったりするのにも使いました。そんなスロゲットさんをとてもいいと思います。
 子供を助けたあと、スリッパはぼろぼろになって、かわもやぶれて使えなくなりました。しかも、スロゲットさんの足が二本おれて、入院をすることになってしまいました。もし、スリッパがこわれていなかったら、スリッパを足にはめてまほうで治ったかも知れません。でも、スリッパがこわれていてそのことはざんねんでした。しかし、スロゲットさんは、子供を救ったことがよほどうれしかったようで、わらった顔をしていました。
 これを読んだ時、あらためてやさしい人だと思いました。なぜならざんねんがる人も多いはずだからです。たとえば、もうこれい上金メダルをもらえないとか、クイズ番組の景品をもらえないとか、自まんができないと考える人も中にはいるかも知れません。
 しかし、スロゲットさんならば、元の生活にもどってもしあわせにくらすと思います。また、スリッパがあった時も、さらにスリッパを手に入れる前も、同じようにずっとしあわせだったと思います。
 作者が言いたかったことは、スロゲットさんのようなやさしい気持ちがあれば、ずっとしあわせでいられるということだと思います。
______________________________

◎優秀賞 相良 杏さん(小1)

読んだ本――『なずず このっぺ?』 カーソン・エリス作 アーサー・ビナード訳 フレーベル館

【作品】
P1
なずず このっぺ
さく カーソン・エリス
むしごやく アーサー・ビナード
にほんごやく さがらあん

P3
なあに これ?
はっぱだよ、きっと。

P4
やっほー!

P7
なあに これ?
ハート みたい。
ほんとに ハート?
はっぱだよ きっと。

P9
はしご ほしい。
そうだね。
コロジン よぶ?
(コロジンは、おじいちゃんのなまえだとおもう)

P10
コロジン! コロジン!
コー! ロー! ジーン!

P12
コロジン あのさ
はしご ほしい。

P14
みんな……

P15
はしご きたあ!
はしご きたあ!

P17
おうち ほしい。
そうだね!
そうだねーーー!
おうち たてよう。

P20
おうち たてようーーー!

P23
おうち できたね!

P24
あみ?

P25
あみ!
ぜったい あみだ!
おうち くずれるかな……

p28
や……
っ……
ほー……

P29
あ……
み……
あみが くずれた!

P30
なあに それ?
ル……
おーい コロバン!
(コロバンは、おばあちゃんのなまえだとおもう)

P31
ルン……

P32
ルンバボン!
ルンバボン!
すごい ルンバボン!
ルンバボン!
すごい きれいな ルンバボン!
(ルンバボンは、はなのなまえだとおもう)

P33
ルンバボン!
すごい きれいな ルンバボン!

P34
やっほー みんな。

P35
やっほー コロジン。
やっほー コロバン。

P37
やっほー おうち……

P47
なあに これ?

P48
やっほー!

______________________________

◎ニャーロウ賞 寺川 太一さん(小2)

読んだ本――『たんけんクラブ シークレットスリー』 ミルドレッド・マイリック作 小宮由訳 大日本図書

【作品】
「ぼくもたんけんがしたい!!」
寺川 太一

 ぼくは、「たんけんクラブ・シークレットスリー」を読みました。前に一どこの本を読んだことがあったけれど、すごくおもしろかったので、もう一どかりて読みました。
 この本は、海べにすむ二人の男の子ビリーとマークが、とうだいにすむトムと出会ってたんけんするお話です。
 ぼくが、一ばんおもしろいと思ったところは、海のみちしおとひきしおのなみにのせてうまく手紙をおくったところです。ぼくだったら、友だちに手紙を書いたらちょくせつ会ってわたします。ぼくもこんなふうに手紙をもらったら、すごくウキウキワクワクするだろうなと思いました。
 その手紙は、ひみつのあんごうで書かれていました。本にあんごうひょうがのっていたので、ぼくはなんとか手紙が読めました。ビリーとマークとトムは、ヒントもないのに自分たちで手紙をかい読できたから、天才だと思いました。ぼくの家のきんじょの女の子が、時どきポストに手紙を入れてくれます。ぼくあての手紙やは書がとどいたらすごくうれしい気もちになります。友だちの手紙は、いつもローマ字で書かれているので、あんごうみたいでぼくは、読むのにすごく時間がかかります。だから、いつもおかあさんに読み方を教えてもらいます。読むのはつかれるけど、さいごまで読めていみがわかった時は、すごくうれしいです。
 三人は、出会ってからいっしょにキャンプをしたり、たんけんをしたりします。ぼくは、まだキャンプをしたことがないので、行ってみたいなと思いました。十日間ぐらい知らないがいこくにフェリーにのって行ってみたいです。そこで、おたからさがしのたんけんがしたいです。ごはんは、ぎゅう肉のバーベキューをして、ぼくがとくいなキュウリのサラダをつくってたべたいです。よるになったら、花火をしてキャンプファイヤーをします。ぼくは、ロシアのコサックダンスのものまねがとくいなので、みんなの前でひろうしたいです。テントの中では、トランプゲームをしたり、本を十さつぐらい読んでねたいです。朝おきたら、またおたからさがしのつづきをします。すごくたのしみです。
 いえでこの本の話をしていたら、おとうさんが小学生の時に自分で考えたあんごうを教えてくれました。小学生であんごうを考えたおとうさんは、天才だと思いました。さいごに、そのあんごうをつかってかんそう文を書きます。読む人もがんばってあんごうをかい読してください。
 ら1・あ2・な4・わ3・な5・な1・
 た3・や1・さ3・ま2・は1・か1・
 ざ5・か3・だ4・カ2・ャ1・ワ3・
 パ3・が1・さ2・た1・あ2・だ4・
 さ3。
    た1・あ2・た2・や3・ら2。

・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・

(注:応募者の作文は原則としてそのまま掲載していますが、表記ミスと思われるものを一部修正している場合があります。――読書探偵作文コンクール事務局)

・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・

▼『外国の本っておもしろい! 子どもの作文から生まれた翻訳書ガイドブック』(読書探偵作文コンクール事務局編 サウザンブックス社)を発売中です。過去の受賞作、審査員の座談会、コンクールのあゆみ、読書ガイドなど盛りだくさん! ぜひお読みください。