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2017年 小学生部門 優秀賞・ニャーロウ賞

◎優秀賞 田邊 宏胤さん(小6)

読んだ本――『ミオよわたしのミオ』アストリッド・リンドグレーン作  大塚勇三訳 岩波書店

【作品】
「ミオの心の変化」
田邊 宏胤

 ぼくは、リンドグレーンの本を沢山読んでいます。リンドグレーンの本が好きな理由は、読んでいると、いつも自分がこんな事が出来たらいいなと思うことが、実現されているからです。例えば、「長くつ下のピッピ」では、ピッピが馬をもてるくらい力持ちのところや、勇気のあるところ、他にも「やねの上のカールソン」であったら、カールソンが空を飛び回れるところです。
 このように、沢山あるリンドグレーンの作品の中で、「ミオよわたしのミオ」は、少し印象が他の作品と違います。まるで夢を見ているようで、その夢がだんだんと怖くなっていくようです。特に、皆が騎士カトーのことをおそれていくことが分かってからは急に暗くおそろしくなっていきます。主人公が自分の立場を理解する前に、ストーリーがどんどん先に進んでいってしまいます。
 この物語は、父親とはなればなれになっていたミオという少年が主人公です。ある時、ビンの中に閉じこめられていた魔神を助けたミオは、その魔神にはるかな国へ連れていってもらいます。そして、その国の王さまである父親とめぐり会います。しかし、その国に住んでいた子どもたちは、みんな魔法使いの騎士カトーにさらわれていました。ミオと親友のユムユムはその騎士カトーを倒すために外の国へ旅立ちます。
 この物語で一番印象に残った事は、最初と最後でミオの性格が変化するところです。最初の頃のミオは怖がりで親友のユムユムから離れる事も出来ず、弱々しい少年でした。しかし、騎士カトーを倒しに行く直前は一人で敵と戦う事が出来るくらい、強い少年になりました。ミオの心が変化したのは、父親からの沢山の愛情と、ユムユムや白馬のミラミスなどの仲間の存在、そして、旅の途中で出会う人々や魔法で鳥の姿に変えられてしまった子どもたちの、騎士カトーを倒してほしいという願いがあったからだと思います。
 父親は、再会できた息子を信じて騎士カトーとの戦いに送り出します。ミオは、なぜ父親は自分を危ない目にあわせるのかと思い悩みますが、最後は父親が見守ってくれていると、感じることが出来ます。
 ミオは、騎士カトーに大切な剣を死の湖に捨てられ、牢屋のなかにいれられてしまい、絶望します。しかし、鳥にされた子どもたちが湖の中から剣を探し出しミオに届けに来ます。その子どもたちの気持ちに応え、騎士カトーを倒すためにやっと会えた父親と離ればなれになった苦しみに打ち勝ち、ミオの心が、闘志で炎のように燃え上がるのです。
 ぼくは、剣道をしています。試合の時、本当は絶対に勝つという強い気持ちがあるといいのですが、ぼくは、相手の強さによって緊張の度合いが違います。なるべく相手の事を考えないようにしています。無心になれれば悔いのない戦いが出来ます。けれども、もし自分がミオだったらいくらみんなが助けてくれたり、気持ちを伝えてくれても、戦う事が怖くて一歩も動けないかも知れません。いよいよ騎士カトーと戦うという時、ユムユムから離れられなかったと思います。
 ミオは、自分が今までのような怖がりではないと自覚し、それが自信になって自分なら出来ると信じることが出来ました。ミオの心の中にある強さをぼくも欲しいです。
 そして、この物語の結末は、ミオが騎士カトーを倒し、すべてが元どおりになります。幸せに満ちあふれた情景に、ぼくは、怖い夢からやっと覚めたような気持ちになり、安心しました。

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◎優秀賞 鈴木 未来さん(小4)

読んだ本――『ゆうかんな女の子ラモーナ』ベバリイ・クリアリー作  松岡享子訳 学研プラス

【作品】
「ゆうかんって?」
鈴木 未来

「いつ見てもあきないね~。」
これは、良い意味なのか悪い意味なのかは分からないけれど、毎日言われている言葉だ。場合によって言い方はちがうが、いつも私を見守っているから言えるのであり、少し言葉をかわしただけの人などは言えないのである。
 もちろん、私も友だちなどに同じことを言う時もある。世界には色々な人がいて、その人たちの「個性」があるからこそ、私は日々がおもしろく充実しているのだ。
 ラモーナは、ゆうかんで活発な女の子だ。そんな子が小学一年生の第一日目で事件をおこしてしまう。それから、色々な失敗をくりかえし、がんばって成長していく物語だ。
 この本で、一番共感した話は、学習発表会で物をつくるときに、友だちがラモーナの作品のまねをした。それでおこって、その友だちの作品をこわしたというエピソードだ。なぜこの話に共感したかというと、同じような経験をしたからだ。私も、みんなで問題の解き方を考えようと先生がおっしゃったので、友だちと話すと、よい考えがうかんだ。それをすぐ後ろで聞いていた子たちが、私たちの解き方をまねして発表した。私は、ただいかりにもえるだけだったが、その日の学校が終わっても、まだおさえられていなかった。幸い、その時はこらえていたけれど、家に帰るとばくはつしそうになった。だから、部屋につるしてあるサンドバッグに思いっきり八つ当たりした。
 今考えてみると、くるいそうになっていた私がはずかしかった。私は、気持ちがコントロールできない。一年生のころはラモーナのように、ぼう力で戦っていた。すごく後かいしている。ラモーナも高学年になったら、きっと私のような気持ちになるとおもう。私は、友だちに色々な言い方でなぐさめてもらった。ラモーナには私がなぐさめてあげよう。
「私」はラモーナとちがうところがある。それはあたりまえだけれど、手本になってアドバイスをしよう。言いたいことは山ほどあるが、それを全部まとめると、例えば自分のことを日々考えることだ。私は、さっき、ひどく後かいしたと言った。これもそのときの自分を外から見て出た答えだ。後ろの子たちに解き方をまねされたときも、何であんなにおこったのかふしぎだった。そのあと、母にそうだんしても意見がくいちがった。母は、私のことも悪い、とさとしてくれた。なぜならそんなにおこらず、聞きながすことができたら楽になることもあるからだそうだ。私はその夜、自問自答をくりかえした。母に教えられたことで心のコントロールがかんたんになってきたように思えた。
 ラモーナは心のコントロールができていないと思う。なぜなら、感じょうをおさえることができず、ぼう力でかいけつしようとしてしまうからだ。
 ゆうかんはこわくてやさしいものだと思う。ぼう力でつくられたゆうかんはこわい。でも、それをコントロールできると楽しい人生にしてくれる。そして一生「個性」をもちつづける人が一番ゆうかんなのだ。
 ラモーナは成長して、自分の個性をもっと見つけてほしいと思う。

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◎優秀賞 壽惠村 尚さん(小3)

読んだ本――『アームストロング 宙飛ぶネズミの大冒険』 トーベン・クールマン作 金原瑞人訳 ブロンズ新社

【作品】
そらを飛んだネズミ」
壽惠村 尚

 昔、アメリカのとあるところに、自分が発明したロケットで、そらを飛んだネズミがいた。
 もしも、物語と同じように、ロケットエンジンカーを作っているさい中に、いきなり走り出しちゃったら、どうするだろう。ぼくだったら、とっさに手を広げて止めようとして、ひかれて死んじゃうかもしれない。そしたら、そこでお話が終わってしまったかもしれない。
 主人公のネズミが苦労したのに、結局、ロケットエンジンカーがぼう走して、火事になってしまった。ぼくは、ページをめくる前から、火事になっちゃうんじゃないかと、ドキドキしていた。火が出たあたりに、本や木がなければよかったのに!
 七十八ページで、ついに、一だん目のロケットが分離して、宇宙に飛び出した。ネズミが、がんばって作ったロケットが、ようやく宇宙に出られた、感動のしゅん間だ!
 月にとう着したところも、わすれられない一ページだ。だって、一度、火事を起こしたのに、ちゃんと月に行けたんだから!
 ぼくにとっての最高のシーンは、地球に帰ってきたところだ。いっぱいのネズミが、「おかえりなさい 月ネズミ!」と、はたを立てて、出むかえてくれたんだから。はく物館のおじいさんもいたよ!
 あきらめなければ、いいことがある。「きっとそうだ。」と、ぼくはかく信した。

 物語を読み終えたぼくは、手紙を書き始めた。
 そら飛ぶネズミへ。月に着りくできて、よかったね。また発明するなら、がんばってね。

 トーベン・クールマンさんへ。次回作も、楽しみにしています。飛行機、宇宙ときたので、次は、太陽系の外わく星に行くお話を、ぼくは作ってもらいたいです。あと、日本が登場するお話も、みてみたいです。
 トーベン・クールマンさんは、この本を、八ヶ月で書き上げたそうですね。ネズミを描くのが、大変だったでしょう? 気になって、何匹描いたのかを数えてみました。すると、三百匹はいましたよ!
 いつも楽しいお話を書いてくれて、どうもありがとう。トーベン・クールマンさん!
 尚より

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◎優秀賞 T・Yさん(小2)

読んだ本――『ちっちゃなサリーはみていたよ ひとりでもゆうきをだせたなら』 ジャスティン・ロバーツ作 クリスチャン・ロビンソン絵 中井はるの訳 岩崎書店

【作品】
「みんななかよくしよう」

「みんななかよくしよう!だれかがないているの、もうみたくないよ。わたしにさんせいするこはてをあげて」
 テーブルにほとんどとどいてないほど小さなサリーが、きゅうしょくの時間に、ゆうきを出していいました。私は、こんどはサリーがいじわるされるかもしれないと、心ぱいになりました。サリーの学校では、いじめられている子がたくさんいるからです。
 サリーは、小さいけれど、心は大きい女の子です。サリーは「つめたいことばは、こころをきゅんとちいさくするよ。まるでブルドーザーにふみつぶされたはなみたい」と、そうぞうしました。私は、ブルドーザーとは、まったくあいての気持ちに気づこうとしないで笑っている人たちのことだと思いました。そして、私もサリーのようにふみつぶされている友だちを助けたいと思いました。
 私も学校で、いじめられている友だちを見たことがあります。まるで、自分までいじめられているような気持ちになります。
 ある日、私は、ゆうきを出していじめっ子に聞きました。
「何でそんなことをするの。友だちの気持ち考えて」
 すると、あやまってくれる子もいました。でも、あやまってくれない子もいました。それでも、私はあきらめません。
 私にはたくさんのやさしい友だちがいます。ニコニコしているみんなのことが大好きです。きっといじめる子も、やさしい気持ちをもっていると、しんじています。私のゆめは、せかいをへいわにする絵本作家になることです。そのゆめをかなえるためにも、まずはサリーのように学校をへいわにしたいです。
 だから私は、いいつづけます。
「友だちの気持ちを考えて、みんななかよくしよう」

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◎ニャーロウ賞 谷口 慶樹さん(小2)

読んだ本――『三びきのやぎのがらがらどん』(ノルウェーの昔話) マーシャ・ブラウン絵 せたていじ訳 福音館書店

【作品】
「がらがらどんへ」
たにぐち けいじゅ
 
 三びきともおなじ名前なんておかしいよ。ぼくが、名前をつけてあげるよ。一ばん大きいのががらがらどんで、二ばん目がからからとん。一ばん小さいのはチビチビ。いい名まえでしょ。
 がらがらどんは、トロルよりもつよくてびっくりぎょうてんしたよ。どうやってつよくなったのかな。まだ、草をたべにいっていないのに。だから、草をたべてかえるときには、もっともっとつよくなっているんだよね。
 ぼくは、よるにトイレに一人でいけないから、チビチビだよ。ちかくにかいだんがあってくらいんだ。よるだけかいだんから「ギィッー。」と音がするんだよ。でも、上にはだれもいないのに。ねえ、こわいでしょ。がらがらどんがいてくれたらこわくないよ。
 がらがらどんみたいにつよくなるように、ハワイでサーフィンしたよ。

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(注:応募者の作文は原則としてそのまま掲載していますが、表記ミスと思われるものを一部修正している場合があります。――読書探偵作文コンクール事務局)

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