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2015年 小学生部門 優秀賞・ニャーロウ賞

◎優秀賞 まなさん(小3)

読んだ本――『ちいさなあなたへ』 アリスン・マギー作 ピーター・レイノルズ絵 なかがわちひろ訳 主婦の友社

【作品】
「ちいさなあなたへ」を読んで
まな

 わたしが生まれた日は、冬のあたたかい日なんだって。
 わたしが生まれた時はどんなようすだったのかな。お父さんとお母さんは、わたしを見た時、何て思ったのかな。「うれしい!」かな。それとも、「つかれたー。」かな。お母さんに聞いてみたら、「すごくほっとしたよ。」「うれしい気持ちと、だんだん心ぱいになってくる気持ち。」だったって。
 わたしがたいいんした日は、雪がふっていて、わたしのほっぺにも雪がくっついたんだって。
 わたしは、昼も夜もずうっとお母さんにだっこしているあまえんぼうだったんだって。
 でも今は、一人で道もわたれるし、自てん車ものれるようになったよ。
 わたしは「あなた」みたいに、水にとびこんだり、森でまいごになるのはこわいな。
 お母さんに、「わたし泳げないよ。」と言ったら、「一人でも、いろんなことにちょうせんして、少しずつ大人になるって言うこと。」と言われたよ。
 大人になるって、あまえないで、一人で何でもやるってことかな。お母さんは、「あまえてもいいし、こまったときはたすけてもらってもいいんだよ。でも、自分のできることはどんどんやってみたら。」と言ったよ。
 わたしは、大人になってみたいけど、まだあまえていたいな。

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◎優秀賞 村山遼さん(小2)

読んだ本――『空とぶじゅうたん』 マーシャ・ブラウン作 松岡享子訳 アリス館

【作品】
未来の色でぬられた五〇〇年前の物語
村山 遼

 ひょう紙をはじめて見た時、空の色がふつうとちがいました。ふつう空の色といえば、青と、白と、水色です。でもこの本では、ピンクや、黒や、黄色や、白が空の色としてつかわれています。僕は、この空の色を未来てきだとかんじました。なぜなら、現ざいの空には、黒や、ピンクなどのこい色は、ふくまれていないからです。だから、僕は、この空を未来てきだと思ったのです。
 未来てきなのは、ひょう紙だけでは、ありません。本をひらくと、山はピンクで、らくだは黄や、みどりや、青でぬられています。その上、地めんは、雲のようにぬられています。僕は、この絵から、自ゆうをかんじます。だから僕は、この本が好きなのです。
 お話は、アラビアン・ナイトの中の一話です。アラビアン・ナイトは、およそ五〇〇年まえから、世界につたわる物語しゅうです。僕は、五〇〇年も前に、こんなにおもしろいお話があったんだとおどろきました。
 お話をかんたんにせつ明します。ある国の三人の王子が、ぜんいんおなじ女の人をかの女にしたいと王さまにねがいでます。すると王さまは、「もっともめずらしい宝」をさがしてきた王子と女の人をけっこんさせると言いました。
 長男がもって帰ってきたのは、「空とぶまほうのじゅうたん」、次男がもち帰ってきたのは、「なんでも見えるまほうの遠めがね」、そして、三男がもち帰ったのは、「どんなびょうきでもなおす、まほうのりんご」でした。どれもすごいまほうの宝です。いったいだれが女の人とけっこんするのか、僕もさい後まで読むまではわかりませんでした。僕なら、遠めがねが一番の宝だと思います。うちゅうや、ふかい海のそこなどふだんぜったいに見られないところが見られるからです。
 このお話は、ぜんぶおもしろいです。ほかの、アラビアン・ナイトのお話も読んでみたいと思います。

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◎優秀賞 盛永維さん(小2)

読んだ本――『バレエをおどりたかった馬』 ハーラル・ストルテンベルグ作 菱木晃子訳 福音館書店 

【作品】
馬のぶたいのじゅんび
もりなが ゆい

「バレエをおどりたかったうま」という本を見て、じ分もバレエをやっているので、本とうに馬がバレエをおどれるのかと思ってこの本を読むことにしました。
 ある日、いなかにすんでいるしゅじんこうの馬が、みちにまよったバレエだんの人たちを、えきまでおくっていってあげました。すると、おれいにバレエを見せてもらいました。そして馬は、じ分もおどれるようになりたいと思って、れっしゃにのって町へいきました。町では、バレエ学校とすむところを見つけ、すぐに友だちもできました。そして、馬はバレエ学校でいっぱいれんしゅうしたので、そつぎょうしきにさいゆうしゅうしょうをもらいました。そして、馬にすむところをかしてくれたグレーネさんたちのえんそうで、町でおどると人気ものになりました。
 わたしは、馬がおどるときに、どんなイショーと、どんなおんがくがにあうかそうぞうしました。わたしは、馬がおどるときにえんそうするきょくは、ヴィバルディーのしきの「春」がにあうと思います。そしてイショーはきいろやピンクやみずいろのさらさらでうすいきじのチュチュと、キラキラしているかざりのついたティアラがにあうと思います。わけは、馬のやさしい気もちに、にあうと思ったからです。そして、このきょくは、わたしが、かよっているバレエきょうしつのはっぴょう会で、おねえさんたちがおどっていて、とてもいんしょうにのこったからです。
 つぎにどんなおどりをおどったかかんがえてみました。きょくのはじまりは、はずむようなかんじなので、シャッセでぶたいにとうじょうします。シャッセとは、足のうらをゆかにつけたまま、すばやくうごくおどりです。
 つぎにしずかなパートは、ピルエットでおどります。ピルエットは、かた足を上げ、つま先でかいてんするおどりです。
 そしてさいごはシソンでおわります。シソンは、かた足をよこにあげて、よこにジャンプするおどりです。
 おどりがおわったら、きっとみんなおおきなはくしゅをしてくれると思います。
 わたしも、こんどのはっぴょう会では馬のようにすてきにおどりたいです。

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◎ニャーロウ賞 内山満里菜さん(小5)

読んだ本――『リンゴの丘のベッツィー』 ドロシー・キャンフィールド・フィッシャー作 多賀京子訳 徳間書店

【作品】
物語の力~すてきな物語を読みたい~
内山満里菜

「世界中にはたくさんの本があふれている。すてきな物語を読んでみたい。そして、みんなに届けたい。」
 私は幼いころから本が大好きでした。夜、母に本を読んでもらうのが何よりも楽しみでした。お気に入りの本は、何度も何度もおねだりして読んでもらっていたのを覚えています。そして今も、ねる前の読書の時間が私の一番くつろげる、幸せなひとときです。最近、夢中になって読んでいるのが外国の物語です。その中でもおすすめなのが、ドロシー・フィッシャーの「リンゴの丘のベッツィー」です。
 この物語は、人に頼ってばかりいた九才の女の子ベッツィーが、豊かな自然の中にあるパットニー農場で暮らしていくうちに、心と体が強くなり、生きる力を身に付けていく成長の物語です。
 どうしてこの物語がおすすめかというと、生きる力とは何かを教えてくれたからです。私は家族だと思います。
 パットニー農場の人たちは、ベッツィーのことを本当の子どものように、ほめたり、しかったり、家の仕事を任せたりして育ててくれました。
 ベッツィーが一番成長したと感じたのは、「わすれられない誕生日」の章です。何もできなかったベッツィーが、大人の力を借りずに、小さなモリーを守りながら長い道を歩いて家に帰ってくるというお話です。そして、めったに人をほめないアンおばさんが、ベッツィーの勇気ある行動を聞いてほめてくれた言葉が印象に残りました。
 家族とは、子どもが将来自分の力で生きていけるようにと願って見守ってくれているのだと知りました。私の家族も、私がやりたいということを温かく見守ってくれます。
 そして、私が今やりたいことは英語の勉強です。なぜなら、生きるために大切なことを教えてくれる物語を作ってくれた作家さんや翻訳家さんを尊敬しているからです。英語を学んで世界中の物語を読めるようになりたい。大人になったら物語の舞台となった外国の街で暮らしたい。そして、子どもたちに外国の本を届けられるように翻訳の仕事もしてみたい。
 私は本を開けば、必ずおもしろい物語があると信じています。だから世界中の人々に本をたくさん読んでほしい。それが、今の私の願いです。

『show-and-tell』を翻訳して

内山 満里菜

 この本は、おばあちゃんが買ってくれた、たくさんの英語の絵本の中からえらびました。
 学校で、大切なモノをみんなに紹介する宿題が出たのですが、ベルは何を持っていけばよいのか、困ってしまいます。そこで、いろいろな友達に相談にのってもらいます。そして、最後は、友達が大切なモノだと気がつきます。
 すきな場面は、ベルが、イチゴショートケーキと買い物にいくところと、スクラップブックを作るところです。
 以前、わたしも家族の写真で作ったことがあり、そのことを思い出しました。
 翻訳をする時、難しかったことは、一文にたくさんの単語があったことです。
 単語の意味をそのままつかうのではなく、小さな子に読みきかせができるようにやさしい言葉で翻訳しました。
 この本を小さな子に読み聞かせしてあげたいです。

(注:内山満里菜さんは作文にくわえて絵本の翻訳をなさいましたが、著作権の関係で公開を控えました。一部のみ写真を掲載しました。――読書探偵作文コンクール事務局)

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◎ニャーロウ賞 壽恵村尚さん(小1)

読んだ本――『リンドバーグ 空飛ぶネズミの大冒険』 トーベン・クールマン作 金原瑞人訳 ブロンズ新社

【作品】
トーベン・クールマンさんへ
すえむら ひさし

 トーベン・クールマンさん、ありがとう。あなたの本から、いろいろなことを学んだよ。ネズミがすきになった。ぼくはネズミを見かけても、つかまえたりしないからね。
 ねえ、トーベン・クールマンさん、ぼくも、じょうききかんしゃと、ひこうきと、はつめいと、えが大すきだよ。また、ライト兄だいと、スティーブンソンのでんきは、ねんちょうのときからよんでいる。なつやすみには「かた手でほせるハンガー」をはつめいしたんだ。えはまだじょうずにかけないけどね。
 しりたがりやで本が大すきなところは、小ネズミといっしょだ。ぼくににている小ネズミが大せいこうしてほんとうにかんどうした。しっぱいしてもぜったいあきらめないところがすごい。ネコやフクロウや人げんがじゃまをするから、なんどもしんぱいをして、どきどきしてしまった。ほんとうによくがんばった。
 せいこうのためには、ちえとぎじゅつがひつようだ。じゃまをはねのけるゆうきもだいじ。だけど、もっと大せつなのは、あきらめないきもちと、つづけるどりょくなんだ。
 ぼくのゆめは、うちゅうにてつどうをつくることなんだ。本をよんで、いよいよじしんがついてきた。小ネズミみたいに、ふかのうをかのうにしてみたい。いつか、ぎんがてつどうにしょうたいするからまっててね、トーベン・クールマンさん。

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(注:応募者の作文は原則としてそのまま掲載していますが、表記ミスと思われるものを一部修正している場合があります。――読書探偵作文コンクール事務局)

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