[読書メモ]『美術品はなぜ盗まれるのか』

p7
おのが手中にあるものは、その恩恵を受けながら、人、これをさほど珍重せず。ところがひとたび手を離れ、これを失うに至って、初めてその値に心づき、かつてはもち慣れて手許では光を見せなかった美点が初めて目に映じてくるのはなぜなのか。__シェイクスピア『空騒ぎ』より 修道士フランシスの台詞

p28
ターナーは生前から長い間、自身の名と作品がうやうやしい尊敬の念と高い評価をもって認められていることを自ら知るという至福を得ていた。それは、他の芸術家たちには死後ようやく与えられるものだった。

p38
コレクション作品が国立館内に展示されている間は、商業的な保険がかけられることはない。個々の国立美術館が作品を管理し、保護し、ときに破損があったばあいには修復にあたる。保険や賠償金が必要となるのは、貸し出された作品が館外に出て、別の機関の責任下に置かれるときだけだ。

p73
生存証明(プルーフ・オブ・ライフ)

p193
「身代金」や「懸賞金」「買い戻し金」、さらに「情報提供料」といったさまざまな言葉の使い方に大きな混乱があることも明らかにしている。

p199
私立探偵(しばしば、警察からの引退者)

p223
最近では、人々はすべての値段を知っているが、何の価値も知ってはいない。__オスカー・ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』1890 年

p239
真剣に望みさえすれば、ホープ・ダイアモンドだろうと何だろうと、どんな美術品だって手に入る……精力的に内部情報を集め、警報システムを止める方法を研究し、そして自分自身をちゃんと監視すれば、盗めない美術品なんてないのさ。

p244
盗難美術品のおよそ 90 % は、二度と発見されない。

p245
最初の盗難のあとには、ノルウェー語でメッセージが残されていた__「手薄な警備に感謝する」。

p295
銀行に行って、5000 万ドルを盗もうとするのは難しい。セキュリティがきわめて優れているからだ。だが、壁に同じ 5000 万ドルが掛かっていて、しかもそれをヒョイととりあげるチャンスがある場所はどこだろうか? 答えは美術界だ。美術館や画廊である。



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