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同じアルビノ弟の苦悩

前回実家に行った時に、弟が悲しげな声で静かに語った話です。

『オカンが認知症なるずっと前の話や。僕が赤ん坊の時、赤ん坊の僕におっぱい飲ませてる時、僕のこと可愛いと思ったこと一度もなかったゆーてん。もう大人になってる僕に今さらなにゆーねんて思ったわ。そんなこと今じゃすっかり忘れてはるけどな』

『オトンも大概やったけど、オカンも大概やった。オトンといがみ合って大暴れしたり別居したり。僕がそのストレスで過呼吸なって救急車で運ばれたん3度くらいある。オカンは心配もせんかったわ。それもすっかり忘れてはるし』

父母の大暴れエピソードは、父母本人や弟から聞いて知っているが、過呼吸で救急車で運ばれた話はこの時初めて知った。私が思っていた以上に中年から高年期の父母の所業は本当に大概だっただろう。
弟は他にも辛かった経験をいくつか話した。私が父母から受けた数々の仕打ちもそれは大変だったけど、末っ子の弟は私の立場とは違った状況や環境で苦しかっただろう。

「Kが(20数年前自死した健常者の弟)死んでから、余計にオトンもオカンも荒れたもんな。一番可愛がって頼りにしてたKが死んで、それも自殺やし、側にいたあんたに余計にアタリが強くなったんやろ。辛い想いしたね。辛い想いさせたね。背負わせてしまったね」

『そら、しゃーないわ、姉ちゃん別に世帯持ってたし。姉ちゃんも辛い想いさせられたやん』

「せやけど、皮肉なもんやな、あんたに介護受けて、毎日幸せやて言いはるんやもん」

『オトンも病気になってから今更かいって思うくらい毎日すまんすまんって僕に言ってたし、オカンも認知症なってから人が変わったみたいに大人しくなってびっくりや。認知症なってもあんなオカンやったら介護する気にならんかった。とっくに施設に入れてたわ』

「姉ちゃんやったら昔を思いだして、あんたみたいに介護できやんと思う。とっくに施設に入れてたやろ。体力的にも介護がしんどなったら施設入所させや」と言ったら『うん』と言いつつできるだけ家で看取りたいと思っているらしい弟は人が出来すぎている。

その弟が今月還暦を迎えます。
3人の弟のうち一人存命の弟です。

弟たちの話は↓に書いています。
https://note.com/dokudamin083/n/nc582fa38cbd2?magazine_key=mb6ba18098e12

介護を担ってくれているお礼も兼ねて弟の還暦祝いを計画しました。
弟の誕生日は平日なので、私と私の娘と孫揃って行ける土曜日にお祝いをすることになった。
お祝いと言っても、母は認知症で足腰がおぼつかないので母を連れての外出は無理。そのため実家で少しだけ豪華?な仕出し弁当をとってのランチ。
娘と孫でバースデーケーキを作ってくれるし、私から赤いTシャツ、娘から赤いキャップ、そして九州に住む私の次女から弟が好きな明太子(これも赤色)をプレゼントする。
独身の弟は姪っ子と大姪を自分の子どものように慈しんでくれている。涙もろい弟は彼女たちのプレゼントにきっと泣くだろうな。

もしサポートしてもろたら脳内活性化認知症予防対策に使わせていただきます。 (コンビニスイーツと珈琲代)