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統一教会の関連財団関係者ら10名を捜査

統一教会の関連財団に23億円規模の脱税疑惑
財団役職員らの新設企業4社に寄付金から15億円を支出

韓国の時事ジャーナルの記事より。簡単に要約するとこんな感じ・・・

統一教会家庭連合と関連団体 ⇒ 関連財団「孝情国際文化財団」に寄付
⇒ 財団役職員が代表者の新設会社4社に"投資"の名目で多額の支出

🔸公益法人が寄付金を公益事業以外に使うと課税対象となり、脱税の疑い
🔸寄付金(原資は信者たちの献金)の横領や背任行為も疑われる
🔸当時の最高責任者は韓鶴子の腹心で教団ナンバー2だったユン・ヨンホ
🔸ユン・ヨンホほか財団役職員ら10名を警察が現在捜査中
財団をトンネルにした献金チューチューでは?とも指摘される事件


「孝情国際文化財団」が過去5年間に寄付金から支出を行った会社4社がすべて財団の役職員による新設企業と判明
"横領問題に発展する可能性がある" 財団理事長など関係者10人を京畿道北部警察が捜査中

世界平和統一家庭連合(以下、統一教会)傘下の財団法人「孝情国際文化財団(以下、孝情財団)」が寄付金収入134億ウォン(15億円)を、役職員の新設企業に投資したことが確認された。公示に漏れたとされる支出と系列の建設会社に渡した工事費を合わせると、問題とされる金額は200億ウォン(23億円)を超える。
これと関連して、脱税・横領疑惑が浮上した。非営利の民間団体の資金関連犯罪行為としては異例の規模であるため、捜査当局も注視している。

国税庁の公示資料によると、孝情財団は2019~23年の5年間、合計389億300万ウォン(44億円)の寄付金を受け取った。 寄付金の提供元は、韓国内の信者を管理する統一教会の協会(家庭連合本体)をはじめ、統一教会の教会である「清心教会」、統一教会傘下の別の財団「孝情グローバル統一財団」など、すべて統一教会の関連団体であることが確認された。
孝情財団のような公益法人は、相続税及び贈与税法上、寄付金など収益金を公益目的事業にのみ使用しなければならず、それ以外の場合は贈与税が課せられる。
孝情財団の定款上の主な目的は、「青少年の正しい価値観の確立のための支援事業」となっている。

孝情財団は寄付金収入の34%にあたる134億ウォン(15億円)を、目的事業用途として企業4社に支出した。その4社は、▲スタジオピーチ ▲HJスマートエデュ 
▲ツーマンフィルム ▲ヒョジョンファミリーコーポレーションなどだ。
ところが、それらは全て孝情財団の役職員が設立した法人であることが分かった。

設立から6ヶ月で資本金の785倍の投資誘致を実現

「スタジオピーチ」は、パク某 孝情財団事務局長が、2020年7月に資本金1000万ウォン(114万円)で設立した映像制作会社である。
時事ジャーナルが入手した孝情財団の内部文書によると、2021年1月、スタジオピーチとYouTubeコンテンツ・3Dアニメーション制作のために契約を結んだ。
傍目には外注の委託契約だが、契約書のタイトルは「投資契約書」となっている。
投資金額は78億5000万ウォン(約9億円)だ。設立から6ヶ月しか経っていない零細企業に資本金の785倍にも及ぶ巨額投資を決めたことになる。
スタジオピーチはホームページがなく、履歴さえ見当たらない。

地上波の外注制作会社の、あるプロデューサーは、「海外で撮影を行う地上波のドキュメンタリーでも1話あたりの制作費が1億ウォンに満たないのに、ポートフォリオもない新規企業に数十億ウォンを投資するのは普通は考え難い」と指摘した。
釈然としないところは他にもある。孝情財団の内部文書の「出捐財産使用内訳」を見ると、スタジオピーチに初めて支出した時期は2020年9月と記されている。
孝情財団が投資契約を結んだのは2021年1月だが、その4ヶ月前にお金が渡っていることになる。当時の支出目的は「青少年メディア教育事業運営費(5~9月)」で、金額は3億4250万ウォン(3900万円)だ。

その後も孝情財団は運営費の名目でスタジオピーチに2020年10月~12月までの3ヶ月間に毎月7250万ウォン(825万円)ずつ支払った。このように投資契約締結前に流れた寄付金だけで、合計5億6000万ウォン(6370万円)だ。
それを含めて公示資料上、過去5年間にスタジオピーチは50億2500万ウォン(5億7000万円)を受け取っている。
時事ジャーナルは4月24日、ソウル江南区のスタジオピーチ事務所を訪れ、孝情財団の投資の経緯と成果などについて質問した。
代表のムン某氏は「今はお話できることはない。立場を整理して連絡する」と記者をあしらったが、26日の午前まで返事がなかった。

孝情財団のもうひとつの投資先企業である「孝情ファミリーコーポレーション」は、孝情財団のチェ・ヒョンソク副理事長が2021年1月に設立した。事務所は京畿道加平郡の孝情財団の建物内にある。資本金は100万ウォン(11万円)だ。
孝情財団はここに3億ウォン(3400万円)を投資するという契約を2021年2月に締結した。青少年支援事業とかけ離れて見える「カフェ運営」のためだ。
その後、実際に2億3200万ウォン(2640万円)が支出された。

青少年支援のために投資したという「キッズカフェ」

孝情ファミリーコーポレーションが運営するというカフェは、京畿道河南にある「Hキッズカフェ」を指す。利用可能年齢は9歳までで、実際は青少年は利用できない。ここは建築面積806㎡の建物の2階を丸ごと使用している。
不動産の所有者は統一教会である。つまり、場所は統一教会が提供し、資金は孝情財団が寄付金で賄い、運営は孝情財団の副理事長が作った会社が担当している構造だ。
特に、チェ・ヒョンソク副理事長が孝情財団の法的責任も担う登記上の理事である点から、内部取引の可能性が指摘されている。相続税および贈与税法施行令は、公益法人の内部取引を贈与税の課税対象と規定している。

この他、出版社HJスマートエデュと映画制作会社ツーマンフィルムは、孝情財団の職員が設立して代表を務めている。資本金はそれぞれ100万ウォン(11万円)、5000万ウォン(568万円)だ。両社は設立後、すぐさま孝情財団との投資契約を結んでいる。
HJスマートエデュは設立1ヶ月後の2020年10月に3億3700万ウォン(3830万円)の投資契約を結び、2022年2月に4億9200万ウォン(5600万円)で追加契約を結んだ。100万ウォン(11万円)の会社が、1年半で8億2900万ウォン(9430万円)相当の投資を誘致したことになる。その後、渡った金額は契約書で確認できる額より多い25億4900万ウォン(2億9000万円)である。

ツーマンフィルムの場合、2019年11月18日に設立されたが、わずか1週間後の2019年11月25日に投資契約が成立している。さらに、契約成立日は、ツーマンフィルムの事業開始日である2019年12月1日よりも早い。
契約目的は「ドリームズ」(仮題)という映画を製作することだった。契約書に記載された総制作費は53億ウォン(6億円)。孝情財団はこれを全額投資することにした。 それだけでなく、2020年10月にはツーマンフィルムと「映画の円滑な制作のためにさらに3億ウォン(3400万円)を投資する」といった投資契約を締結した。

孝情財団は、実際にツーマンフィルムに制作費の総額56億ウォン(6億3700万円)を支払ったと公示した。これは投資した4社の中で最大の金額である。
当初、映画「ドリームズ」は2022年上半期に公開される予定だったが、同名の映画は公開されず、代わりに昨年公開された映画「It's Okay!」がベルリン映画祭の受賞作に選ばれた。
4月24日、事実関係を確認するためにソウル市龍山区のツーマンフィルム事務所を訪ねると、ドアは施錠されていて、外には会社の存在を示す表札も何もなかった。

上記の投資契約金を除いて、国税庁の公示情報に基づく孝情財団から4社への支払額を集計すると134億600万ウォン(約15億円)となる。しかし、孝情財団の内部関係者A氏は、"2019年~2023年に公示から漏れている金額が、さらに35億7000万ウォン(約4億円)ある "と主張した。
A氏が作成して時事ジャーナルに提供したPDFファイルには、公示漏れの金額の使徒と支払日が記載されていた。これを含めると、「投資」という名目の下で使われた寄付金の総額は169億1300万ウォン(約19億円)に上る。

「持分30%未満だから問題ない?」..."目くらましに過ぎない"

このような巨額の投資契約について、孝情財団は「問題はない」という立場だ。
4社とも財団の役職員の保有持分が30%未満で、特殊関係者には該当しないという理由からだ。しかし、A氏は「法人設立に必要な資本金もすべて役職員に渡して、持分だけ30%以下に抑えたものだ」とし、「問題となる可能性を避けるための目くらましに過ぎない」と主張した。

特殊関係の有無を問わず、寄付金の使用目的自体が違法だという主張もある。
匿名を希望する税務業界関係者は、孝情財団の寄付金支出について「法律で規定されている固有目的事業に使ったと見るのは難しい」と指摘する。
さらに、「公益法人は固有目的事業に使うという条件で贈与税を軽減されるが、この場合は追徴の対象になる」、「表向きは投資という形を借りて、資金を回収できたとしても問題がないとは言えない」と述べた。
ソウル江南の法人会計専門の税理士は、「投資の経緯と結果が明確でない場合、脱税疑惑を避けることは難しい」とし、「孝情財団の場合は事実上、外部委託料を支払ったに過ぎず、税金の領収書がなければ横領問題まで浮上する可能性がある」と主張した。

ユン・ヨンホ 統一教会世界本部長(当時) 孝情国際文化財団理事長職は2023年8月に辞任した

寄付金の執行を総括した孝情財団の最高責任者はユン・ヨンホ理事長である。
韓鶴子総裁の秘書室事務局長を務め、2017年9月に理事長に就任した。
それまで孝情財団は「清心国際文化財団」の名称で、当時は寄付金はなく自己収益金によって運営されていた。しかし、ユン理事長が就任した翌年2018年より孝情財団は統一教会系列団体から毎年数十億ウォンの寄付を受け取り始めた。
寄付金がひときわ増えたのは、ユン理事長が2020年5月に統一教会世界本部長に抜擢されてからだ。2020年に統一教会が単独で孝情財団に寄付した金額は6億ウォン(6700万円)だったが、2021年には31億ウォン(3億5000万円)と、5倍以上に増加して、その年の寄付総額が初めて100億ウォンを突破した。

孝情財団「投資契約は手続きに沿って行われた」と釈明

京畿道北部警察署は、寄付金の会計と関連し、ユン理事長をはじめ孝情財団関係者10人を4月8日に立件して捜査に着手した。
適用を検討中の容疑は脱税と背任、横領などだ。その他、寄付金を使った外注工事の適法性も調べていると伝えられた。孝情財団は寄付金収入のうち、統一教会系列の建設会社の「鮮苑建設」に、2019年に66億8000万ウォン(7億5000万円)、2020年に22億8300万ウォン(2億5600万円)など、計89億6300万ウォン(10億円)を支払った。主な目的は、孝情財団が管理する孝情文化苑のリフォーム工事だ。
鮮苑建設と役職員の会社4社に支払われた合計金額は256億7600万ウォン(28億9200万円)となる。

一方、3月には孝情財団の寄付金会計が及ぼす波紋を懸念する書簡が統一教会系列会社の職員名義で作成されたこともあった。
時事ジャーナルが入手したその書簡には、「問題の核心は孝情財団が投資した会社の代表が全て役職員である点」、「公益法人財産の不当な損失は道義的責任を越えて法的責任を負わなければならない事項」、「統一教会全体の未来につながる可能性などを検討しなければならない」などの内容が含まれている。
既に内部でこの問題の違法性を認識していたことを示している。
孝情財団の関係者は、諸々の疑惑について時事ジャーナルに送ったメールを通じて、「脱税行為はなかった」とし、「投資契約は事業の妥当性および現況を検討した後、手続きに沿って行われた」と主張。投資の成果については、「各社それぞれに成果物があるが、経営上の理由からその詳細は共有できない」と答えた。


"家族"で復興して "政治"で衰退した統一教会

- 信者数世界最多の日本で、安倍元首相殺害後、政府が「解散命令」を請求

世界最大の教団と呼ばれる世界平和統一家庭連合は、故・文鮮明総裁が1954年に創立した新興宗教だ。 元々は「世界基督教統一神霊協会」として出発したが、1997年に制度圏の宗教の枠組みから脱却しようという趣旨で「世界平和統一家庭連合」に名称を変えた。
その後、文総裁の七男・文亨進が世界会長に就任し、2010年に統一教会という名称を公式化した。 だが、2013年の文鮮明総裁の死後、総裁となった韓鶴子婦人が再び世界平和統一家庭連合に名前を戻した。教団側はこれを短縮して「家庭連合」と名乗っているが、対外的には「統一教会」が広く使われている。

統一教会は1966年、経典「原理講論」を通じて教理を確立した。核心的な内容は、イエス様が韓国に再臨するので、人類はイエス様を中心にして一つの大家族社会を成し遂げなければならないというものだ。キリスト教系の色を帯びているが、家族と統合の価値を重視するこのような教理は、宗教特有の障壁を低くしたという評価を受けた。これを基盤に、統一教会は宗教界だけでなく、政治・経済・文化・マスコミなど多方面に勢力を拡大していった。

統一教会は、現在宣教活動を行っている国が世界194ヵ国あると主張する。
その中で最も勢力が大きい国は、本国の韓国ではなく、日本であることが知られている。 文総裁が1970年代にアメリカに進出した際、追従した大多数の信者も日本人だったという。 さらに、統一教会の世界本部である京畿道加平郡の「天正宮」の建設献金者の90%以上が日本人だという。
日本の信者数は1万人という説から、60万人にのぼるという説まで様々だ。
ただ、統一教会の事情に詳しい外部関係者は、「とにかく事実としては、全世界で日本の信者が最多ということだ」と話した。特に安倍晋三元首相が統一教会関連行事に送った祝辞は、統一教会の日本国内の影響力を象徴的に示している。

日本の統一教会勢力は2022年にターニングポイントを迎える。
その年7月、安倍元首相を銃で殺害した山上徹也が「母親が統一教会に多額の寄付をして家庭が破綻した」と暴露したのだ。その後、統一教会と日本の政界の癒着関係がスキャンダルに発展、与党である自民党の国会議員381人中、過半数に近い179人が統一教会と関係していることが自民党の内部調査で明らかになった。
岸田文雄首相も統一教会との関連疑惑を払拭できず、支持率低下を経験した。

結果、日本政府は昨年10月、統一教会に対する解散命令を裁判所に請求した。 その適法性の訴訟は現在進行中である。宗教団体に対する解散命令が確定すれば、法人格を剥奪され、税制上の優遇を受けることができなくなる。既に統一教会の内外から、「安倍元首相の事件後、日本国内の献金収入が急減して財政状況が良くないだろう」という推測が出ている。孝情財団の場合、2022年の寄付金収入は42億ウォン(4億7200万円)で、前年の半分以下まで減少した。


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