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変わりゆく北見中心街 中央大通沿道の再生に向けた課題と展望

北見市中心部に重機の音が響き渡る。市内で20年ぶりとなる分譲マンションの建設が始まった。地上14階建て、94戸の規模だ。人口11万人ほどの北見市は、いわゆるドーナツ化現象で中心部が衰退。商店街は日中でもシャッターを閉じる店舗が目立つ。かつてオホーツクの物流拠点として栄えた駅前の人通りもまばらだ。再開発は93億円規模で都市の再生を進めていて、マンションはその象徴の一つだ。現状と課題を追った。(鈴木楽、織本真、武山勝宣)


再生の切り札、10年ぶりの大型再開発

「既に300件以上の資料請求がきている」。マンションの販売を手掛けるフージャースコーポレーション(東京)の植松禎雄東日本事業部長は、反響の大きさに驚く。これまで札幌だけでなく釧路や帯広など道内の地方都市でも供給してきた。資料請求の9割がオホーツク管内からで、医療関係や会社経営者などが注目しているという。投資案件は少ないようで「生涯居住することを見据えて購入を検討する人が多い」とみている。

JR北見駅前は往時のにぎわいが影を薄め、郊外のショッピングセンターや商業施設に客足を奪われている。駅前を貫く中央大通沿道の敷地1.6ヘクタールを使った再開発の中核が分譲マンションだ。市は「骨格軸」と呼び、他の大型再開発を結び付ける役割を担う。

骨格軸の北3条東1丁目街区周辺では、老朽化する経済センタービルの建て替えを民間事業者が始め、その周りに高齢者福祉施設や市休日夜間急病センター、153台分の自走式立体駐車場の新築を計画する。これだけの面積を使った開発は10年ほど前に完了した北見赤十字病院の建て替え以来だ。

市はこれに北見赤十字病院周辺の「高度医療拠点」と市庁舎がある北見駅周辺の「複合交通・地域交流拠点」の両拠点整備を絡めることで中心市街の再生を図る。病院と新庁舎の建設が終わり、最終段階に入ったまちなかの空洞化に、どうやって息を吹き込み、道筋をつけるのか。

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