見出し画像

北海道新幹線の札幌延伸 30年度末開業を断念、鉄道・運輸機構が国交省に報告、数年遅れの見通し

鉄道・運輸機構は5月8日、北海道新幹線新函館北斗―札幌間の2030年度末開業が「極めて困難」との見解を斉藤鉄夫国土交通相に報告した。複数のトンネルで工期に3、4年の遅れが生じ、工期短縮を検討したものの効果は一部軽減にとどまり、挽回は厳しいと判断した。

現時点で新たな開業時期を示すのは技術的に難しいとしつつも数年単位の延期になる見通し。開業時期に合わせて駅前整備などが進んでいる沿線市町でのまちづくりに影響が出るのは必至だ。修正を図るにも具体的な開業時期は示されず、先行きに不透明感が漂う。


複数トンネルで3,4年の遅れ、残業の上限規制が拍車

この日、鉄道・運輸機構の藤田耕三理事長が国交省を訪れて工事の状況を報告。掘削発生土の受け入れ地が確保できなかったために着手が遅れ、予期せぬ大きさの岩塊に当たって掘削が難航するなど、複数のトンネルで工事が3、4年遅れていると説明した。

建設業で時間外労働規制の適用が4月に始まったこともさらなる遅れの要因になるとし、「今後さまざまな工期短縮策を講じても短縮は厳しく、30年度末開業は極めて困難との判断に至った」と釈明した。

斉藤国交相は、今後の開業見通し検討への対応、1日も早い札幌延伸の完成、地域自治体への丁寧な説明―の3点を要請。有識者会議などで開業時期を見極める方針だ。

斉藤国交相(左)に工事状況を報告する藤田理事長

藤井理事長は国交省への報告後、記者団の取材に応じた。新たな開業時期は技術的に示すことが困難とし、「数年単位の延期」と述べるにとどめた。今後掘削する地質や軌道、電気工事の状況を見極める必要があり、羊蹄トンネルで新たな岩塊出現の可能性があるためだ。

ただ、開業時期は地域のまちづくりや経済活動に大きな影響を及ぼすとして、早期に示せるよう最大限努める考えを示した。近く道や札幌市といった自治体、JR北海道などさまざまな関係者に丁寧に説明し、「1日も早い開業を目指す」とした。

沿線まちづくりに影、早期に開業見通し求める声多く

延期は沿線市町のまちづくり計画に影を落とす。

ここから先は

1,559字 / 5画像

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?