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新規事業失敗のコツ その2 事業の『VISION』『MISSION』『VALUE』を定めず、曖昧にする

7年間も取り組んできた新規事業創出活動がついに失敗に終わりました。
振り返れば、失敗するべくして失敗たことが明らかであるため、失敗に至ったポイントをまとめていこうとおもいます。

失敗のコツその2は『事業創出にあたってのVISION、MISSION、VALUEが甘かった、なんなら明確に定義されていなかった』ことが挙げられます。

全く市場が存在しない事業の場合、事業そのものの目的や提供価値を定義し「アンカー(錨)」として定義をしないと、事業そのものが難破船のごとく迷走することになる

事業創出にあたって、『VISIONやMISSIONの定義はある程度事業規模が大きくなってからで良い』とよく言われますが、これは半分は正解、半分は間違いだとどっこいちゃんには思います。

正解である部分は、ある程度既存の市場が形成されている分野かつ少人数で小さな規模(例えばソフトの受託開発業とか人材派遣業)であれば、提供すべき価値は明確(安く、早く、品質良く)なので、VISIONやMISSIONより『目先の顧客獲得をどうするか』『どんな品質で』『どれだけ早く提供できるか』という価値の向上、スピード感を重視して動けば問題ないのでVISIONやMISSIONは正直必要ないと思います。

また、間違いであると思う点については、まだ市場がない領域や、しょライ的には組織の規模を大きくするつもりの事業であるなら、これらがないと方向性に迷いが生じ、提供サービスのブレの発生、最悪の場合は組織の空中分解が確実に起きる、ということ。

そういった事業のブレ抑制、そしてなにより組織の崩壊を防ぐためにも、可能な限り早く、VISION(誰のために何を成し遂げたいのか、どんな社会になる必要があるのか)やMISSION(VISION実現にあたっては、誰をどんな状態にしなければならないのか、その結果自社はどんな評価を得られるのか)を明確にする必要があると思っています。

なぜ事業のブレが生じるのかといえば、まだ市場が無い領域の場合、顧客も定まっておらず、提供すべき価値も不明確なため、事業を進めるにあたっての指針は『我々は何を成したいのか?何を成すためにこれを行うのか?』というある意味の『思い込み』しかないんですね。だからこそここに絶対の自信を持てない限り、事業担当者は常に「これは正しいんだっけ?」「このまま進んでいいんだっけ?」と迷いと戦い続けることになります。

当然迷いは事業が成立し、顧客に選んでもらえるまで続くのですが、そもそも自分たち(企画者 + 事業開発チーム)が『正しい』と思えない事業、サービスが顧客にも選んでもらえるはずもなく、成功の確率は大幅に下がると間違いなくいえます。

<どっこいちゃんの失敗経験>
今回失敗に至った事業は日本以外の国であるニッチ領域の新規の市場づくりを目指して事業をスタートさせたのですが、責任者は事業の社会性を重視しやれば必ず顧客はついてくると根拠なく発言する反面、どっこいちゃん自身はさまざまな側面(そもそもサービスの提供価値とユーザーの利用者価値が大きく乖離している、サービス利用に対し対価を支払う理由が存在しない…)で事業の成功を確信できずにいました。結果的に紆余曲折を経て組織は崩壊、事業としても提供サービスの形が二転三転した挙句、無駄な開発投資と7年もの無駄な時間を浪費しただけで大失敗に終わったのでした。

また、どっこいちゃんの経験にも挙げたとおり、サービスに対する確信とは『事業が提供する価値』だけでなく『顧客が事業やサービスに対して下す評価』が非常に重要になります。

これは、結局のところサービスとは『顧客が利用価値を認め、対価支払いを容認する』ことが無い限り、持続は不可能です。例え自分たちが自分たちのサービスに絶対の自信を持ち、正しいと思い込んだところで、ユーザーに認められない限り、それは『不正解なサービス』なんですわね。

だからこそ、MISSIONは自身の行動として『誰』を『どんな状態』にしなければならないのかを明確に定めること、そしてその反面で自分たちがその行動を通じて『どう評価されるのか』を定める必要があるのですわ。

そして、そのユーザーから得られる『評価』が『対価を支払うにあたって適切であるか』という観点がサービスの継続、事業の持続には非常に重要になるんですわね。

例えばメルカリはVISIONとしては資源循環を前提に置いていますが、それ自身は顧客の直接的な価値でないことを理解しており、MISSIONとしては顧客の求める『だれもが参加可能な売買市場』を提供することを置いています。顧客側も『自身が容易に参加でき利益が得られる市場』に価値を見出し、メルカリを『自身に利益があるフリマサービスの会社』と認識し『そこで儲かったならば相応の対価は支払うのが筋』と理解し対価を支払っていますよね。

結論、全く新しい事業を考え、それを成功させたい場合には、VISION、MISSIONの明確化、そしてそのMISSION達成に必要な思想・考え方・行動指針は定めて然るべき、定めない場合は時間、お金の浪費に終わる可能性をしっかり理解しておくべきなんですわ。

まとめ

  • 新規事業創発にあたっては事業を通じて成し得たい世界観、誰のために、何を成し得たいか、という『VISION』、VISION実現のためには『誰』を『どんな状態にしたいのか』、それを成し得た時自社は『どんな評価を受けたいのか』を定めた『MISSION』、MISSION実現に向け、絶対に譲ってはいけない思想要素、行動を定めた『VALUE』を定めた方が良いよ

  • もしVISION、MISSION、VALUEを定めない場合、事業の方針がブレまくり、無駄な時間と金をつかうはめになるよ。最悪の場合そんな不安定さにチームがついて来れなくなり、組織崩壊が発生するよ¥

  • 個人事業に近いレベルの事業、市場が明確、提供すべき価値も明らかな事業なら、チームにも迷いが生じにくいので上記の限りではないよ


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