【車検の仕組み、知ってますか?】自動車の検査制度と登録制度
最近いろいろ中古自動車市場のことを調べている中、意外に自動車の検査制度と登録制度ってよく知らないし案外まとまったサイトがなかったのでまとめてみたよ。
ポイントは「登録と検査は分けて考える」ことで分かりやすくなるということ。
まずは登録制度の手続きについて
手続きの種類
*新規登録
→新車・中古車(一時抹消)でナンバーの付いていない車を登録する場合
* 変更登録
→登録事項の変更(氏名、住所、使用の本拠の位置など)
* 移転登録
→所有者、使用者の変更(売買等で譲渡、譲受する場合)
ここでポイント:移転登録は車検が切れた状態では実施できない。
つまり、車検切れで且つ一時抹消(後述)がされていない車両を買い取った場合、名義変更ができなくなってしまうため元の所有者が自動車税を払い続けることになってしまいます。
それを避けるため中古車買取事業者が買取を行う際は車両を引き受けた後、元の所有者名義で「予備検査受検(後述) or 継続検査受験(後述) → 移転登録 → 一時抹消 or 期間内売却(納税込みナンバー付き車両)」を買入後にすぐ実施する必要が生じ、手間と費用が発生することになるのです。
そのため中古自動車買取業社はなるべく車検期間が残存している条件で買取をしようとする理由が生じるのです(当然車検が残っていた方が転売しやすい、というのもありますが)。
* 抹消登録
1.自動車の使用をやめた(一時抹消)
→ポイント:一時抹消登録後に所有者変更手続きが可能
2.解体等をした場合(永久抹消)
→ポイント:永久抹消をするとその後その車両の登録は不可能となる
以上が自動車の登録手続きについて。車検制度とも密接に関連しているものの、基本的には自動車税徴税のための仕組みであるため
自動車税→抹消(一時抹消、永久抹消)をしない限り毎年発生する
であり、
登録制度=徴税の仕組みである
と言えるのでは無いかと思います。
続いて検査制度
検査制度
俗にいう車検とは
道路走行の条件の2条件(納税+車検)の1つ
であり、車両に対する保安と環境規制基準適合の担保を司る仕組みであるといえます。
検査項目は検査のタイミングで分かれており、以下の通りとなっている。
* 新規検査
→ 新車もしくは一時抹消された車両の検査
* 継続検査
→ 自動車検査証の有効期限が満了した後もその自動車を使用(公道走行)する際に受ける検査
* 予備検査
→民間車検場(指定工場の資格を持った工場)、運輸支局で行う法定検査。項目は新規検査、継続検査の保安検査と同じでこれを受けると「自動車予備検査証」が発行される(有効期限3ヶ月)。これを持って陸運局に行けば新規登録が可能
つまり、新規検査、予備検査は検査と登録を同時に行うイメージで、予備検査は検査のみを行うイメージと捉えると分かりやすいです。
* 構造等変更検査
→ 自動車の長さ、幅、高さ、最大積載量等に変更を生じさせる改造をした時に受ける検査
先に書いた通り車検制度は車両に対する保安と環境規制基準適合の担保を司る仕組みであるため、使用経年ごとに有効期限が変化します。
車検有効期限
新車登録から3年→以後2年ごと
ちなみに車両検査は原則として各地域の運輸支局(俗にいう陸運局)での受験が必要ですが、最近当たり前になっているのが「民間車検場」での受験。
民間車検場とは、車検実施会社(コ○ックとかイ○ローハットとか)が保有する車検施設の事で、民間車検場を設置するためには各地の運輸支局長から指定を受けた「指定工場」である必要があります。
この指定工場の指定を受けるには前提条件として認証工場という整備工場としての認証を運輸支局長から受け、さらに運輸支局と同等の検査設備の設置、国家資格保有者の在籍など厳しい審査基準を満足できなくてはならず、ある程度の資本規模を持った大手整備工場のみが受けられる指定となっているそうです。
まとめ
日本の自動車登録制度には「登録」と「検査」の2つの仕組みが並行して存在しています。
その制度の中でも中古自動車を取り扱うに当たって特にポイントとなるのが車検の残存期限と移転登録、抹消登録という2つの登録手続き及び予備検査の取り扱い方。これらをうまくコントロールしないと買い手売り手双方に不要な損失を発生させることとなり、トラブルの要因となります。
最近は個人間での自動車売買も増えてきているので、本件参考にスムーズな取引と手続き実施につながれば幸いです。