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小豆島八十八ヶ所 遍路道を歩いた記録 第3回:西照庵→石門洞→

歩いた日:2023年6月上旬

更新が遅くなってしまいました。
第3回は小豆島が誇る名勝「寒霞渓(かんかけい)」を目指します。といってもこれはあくまでお遍路なので、ロープウェイに乗って渓谷美を楽しむ…なんてことはお預けです。


西照庵→栄光寺

まずは県道28号線を安田方面に歩きます。第1回の冒頭でほんの少しだけ触れましたが、県道28号線の通る苗羽(のうま)・馬木地区は大小さまざまな醤油メーカーが集う地域で、「醤の郷」と呼ばれています。街を歩いていると醤油の匂いがすることも。

①マルキン醤油の工場(別日撮影)
記念館の醤油ソフトクリームが名物です
②古い建物が並ぶいい街並みです

しばらく歩くとガソリンスタンドのあるY字路が見えて来ます。ここで左に反れる県道と別れ、正面(金両醤油側)の道を直進します。橋を渡った先で国道436号線を右折し、福田方面に向かいます。途中で国道が右に直角に曲がる所で、自動車屋のある道に進みます。

③カーブの角に道標があります

すると安田大川という細い川に出るので、橋を渡り対岸へ行き、そのまま上流に歩けば「栄光寺」に到着です。

第十三番 栄光寺(えいこうじ)

門前の松並木が美しいお寺です。しばらく小規模な札所が続いたこともあり、なおのこと境内が広く感じます。

④奥にそびえる山を目指すというわけです

栄光寺→清滝山

ここからはいよいよ寒霞渓に向かいます。
門を出て左手、松並木の間を割り込むような細道を進み境内を出た後、すぐに左折してお寺の側面を沿うように北上します。

⑤特徴的な塀を横目に歩きます
石練塀(いしねりべい)と呼ぶそうな
PENTAX KP + HD DA 20-40/2.8-4 Limited

寄り道 −ヤマロク醤油−

栄光寺の塀を離れた後すぐに、大きな木の桶が目に入ります。
ここは「ヤマロク醤油」という小さな醤油屋で、昔ながらの木桶を使った製造にこだわっています。その分手間も時間もかかるため、生産量が少なく高価ではありますが、ぜひ一度味わってみてほしいです。特に代表商品「鶴醤(つるびしお)」は刺身との相性が抜群。近年はメディアでも度々紹介されている人気ぶりです。

⑥木桶と書いて「こが」と読むこともあります
⑦木桶の制作技術を後世に残す「木桶職人復活プロジェクト」を立ち上げています

話が逸れましたがお遍路に戻ります。
ヤマロク醤油を出て再び北へ歩きます。やがて進行方向に白い巨大な壁が見えてきます。この壁の正体は「粟地(あわじ)ダム」と言い、安田大川の防災や水源確保を目的に1980年に建設されたものです。

⑧花見の名所としても知られます

遍路道はヘアピンカーブを経て、ダムの横を通ります。貯水池を通過し、坂道を上がると今度は三五郎池(さんごろういけ)という先ほどよりも一回り小さな池に着きます。調べたところ、粟地ダムのできる半世紀以上も前(1924年)に造られたもので、地域の水不足解消に大きく貢献した池でした。この日はやけに正装の人たちが集まっていると思ったら、偶然にも年に一度の水神祭の日だったようです。邪魔しないようそっと先に進みます。

⑨手前の筒は…なんでしょうかね
おそらく植樹かなにかでしょうか

池を過ぎると、遍路道の雰囲気は急に山道らしくなってきます。しばらくは舗装路なので、難なくスイスイと歩けます。

⑩廃屋横から山登りのスタートです

途中で三たび池が現れます。名前はわかりませんでしたが、形からしてこれも人工の貯水池のようです。

⑪迂闊に近づくと危険なので遠目に眺めるだけ

池を過ぎ、橋を渡ります。

⑫橋の脇には崩れた石橋が

休憩小屋が建っている場所は『小豆島おへんろ道案内図』では茶店跡となっていました。かつてはここでお遍路さんをお出迎えしていたのでしょうね。

⑬諸行無常を感じます

この先は道に残っていた自動車の轍も消え、荒れた道が多くなります。とはいえ前回の馬立峠を経験した後だと、いくぶん歩きやすく感じます。慣れって怖いですね。

⑭大きな岩も転がっています
⑮道端には時折お地蔵様の姿も
PENTAX KP + HD DA 20-40/2.8-4 Limited

やがて遍路道は階段になります。ここまで来ればあと一息。

⑯あと200m
足を滑らせないように注意
⑰途中で広めの石段に変わります
昔はここを通っていた人も多かったことが伺えます

上から自動車が走る音が聞こえてきました。程なくしてコンクリートの壁が見えてくるので、壁伝いに階段を上ると県道29号線(ブルーライン)に出てきました。道路を挟んだ向かいにお待ちかねの札所「清滝山」があります。

⑱左にわずかに見える手すりの所から出てきました
車で通るとまず気付きません

第十四番 清滝山(きよたきさん)

小豆島八十八ヶ所の中で最も高い海抜500mに位置する山岳霊場です。寒霞渓に向かう県道沿いで駐車場も用意されているので、アクセスは良好です。

⑲崖っぷちに建っていることがよくわかります
⑳最初に歩いた街は遥か遠くに

清滝山→佛ヶ滝

ここから次の札所へは県道を下り方向に進むだけなので、特に難しいことはありません。北に寒霞渓、南に瀬戸内海の絶景を望みながら歩きます。3kmほど道なりに歩けば、「佛ヶ滝」に到着です。

㉑岩肌が目立ってきました

第二十番 佛ヶ滝(ほとけがたき)

こちらも清滝山と同じく、切り立った崖を背にしたまさに山岳霊場といった札所です。ちなみに第十五番札所は山の麓にあるので、昔は一度山を下りた後に再びここまで来ていたのでしょうか?

㉒碁石山や洞雲山のように、本堂は洞窟の中です

佛ヶ滝→石門洞

再び県道を少し下ると、右側のガードレールの脇から階段で上がれます。すると舗装された参道に出るので、その道を上がっていきます。この辺りは既に寒霞渓の範囲内です。

㉓階段は短いので、気負わずに行きましょう

この参道は寒霞渓への登山道の一つ「裏八景」の最下部で、道中は様々な奇岩に出会えます。しばしハイキングを楽しんだ先に、今回の最終目的地「石門洞」があります。

※裏があるならばもちろん「表十二景」もあります。裏八景は寒霞渓の東側を通るのに対し、こちらは西側を経由します。

㉔裏八景のひとつ、第七景「二見岩(ふたみいわ)」(別日撮影)
FUJIFILM X-Pro2 + FUJINON XF18-55/2.8-4

第十八番 石門洞(せきもんどう)

裏八景登山道の途中にある札所で、崖に飲み込まれたかのようにお堂が張りついている姿が特徴的です。境内には名前の由来となったアーチ状の奇岩、第三景「石門」がそびえ、ここを一層幻想的な雰囲気にしています。

㉕他の山岳霊場とはひと味違う趣
㉖登山道は石門をくぐり、山頂方面に続いています(別日撮影)
Mamiya M645 + MAMIYA-SEKOR C 45/2.8 S
FUJIFILM PROVIA100F(RDPⅢ)

石門洞→

中途半端な見出しですが、元々この日は石門洞までで切り上げて、次回は山を下りるところからスタートする予定でした。しかし、帰りに乗るはずだったバス・寒霞渓急行線が土日祝日のみ運行する期間だったことを完全に失念しており、慌てて徒歩で下山する羽目になってしまいました。よって次の札所までの道半ばで回を跨ぐため、このような表記としています。

まずは来た参道を引き返します。ずっと下っていくと、先ほどの県道29号線と、ロープウェイ駅のある紅雲亭(こううんてい)へ向かう道路が分かれるY字路に出てきます。

㉗写真に写っていませんが、左に猪谷池(いのたにいけ)という紅葉の名所があります

そのY字路から更に下りる細道を進みます。お馴染みの白地の看板が目印です。車道ができる前のメインルートだと思われます。

㉘軽自動車ならギリギリ通れそうです

細道は森を抜け、やけに整備された場所に出てきます。どうしてここだけ綺麗なのかは謎ですが、別荘地にする計画でもあったとか?

㉙この辺りだけ異様な雰囲気です

謎整備ゾーンを下りていくと、再び県道29号線に合流します。右手に見えるのは本日2度目の白い巨大な壁。こちらは「内海(うちのみ)ダム」といい、現在のものは2013年竣工の2代目だそうです。

㉚貯水量が少ないと水面から初代が姿を現します

内海ダムの横を通り過ぎます。長ーい坂道を下りきった先、X字状の十字路が今回の真のゴールです。

㉛草壁の街並みが見えてきました

次回はそこを起点に、草壁地区に点在する霊場を巡ります。
ご覧いただきありがとうございました。


今回の地図

Googleマップ・小豆島遍路地図を加工
⑭⑮の位置は推定です

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