『このファン』をプレイして感じたこと
『この素晴らしい世界に祝福を！ファンタスティックデイズ』（通称：このファン）をプレイしている。
原作はライトノベルで、その後アニメ化もされた人気作だ。初出は「小説家になろう」であり、いわゆる“異世界転生モノ”だが、ジャンルを感じさせないほどオリジナルなコメディ展開に振り切っている。自分も大好きな作品だ。
そんな作品が無料のゲームになったと聞いたので、これはやらぬわけにはいかないと、ここ一ヶ月ほど暇を見つけては少しずつプレイしているのだ。
自分はあまりスマートフォンのゲームはやらない。過去にやったことがあるのはパズドラとシャドウバースだけだ。両方とも面白かったのだが、課金はしなかった。ゲーム内で無料で貰えるお金やチケットだけでガチャを回していた。無料で貰ったゲーム内のお金は使い果たさないよう常に気をつけた。
もし、何の計画性もなく惰性と勢いでスマホゲーをプレイした場合、数日で無料提供されたお金は使い果たしてしまうだろう。そのときに、自分に生じるかもしれない『何か』が怖かったからだ。
ちなみにパズドラはプレイしていたipadから一旦アンインストールしたところ、復元ができなくなった。また、シャドウバースは度重なるナーフ（強すぎるカードを弱体化すること）に嫌気がさしてしまい、そのまま辞めてしまった。
両方とも、特に未練は無かった。
自分にとって『スマホゲー』とはその程度のものだ。
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さて、『このファン』である。
「このすば」は元々好きなのだが、実はアニメの一期と二期しか見ていない。OVAや映画『紅伝説』は未視聴である。また、PS4/PS Vitaで発売された「このすば」のゲームもプレイしていない。そのような個人的事情もあり、「このすば」のキャラクターたちに再会するのは、このすば二期が放送されていた２０１７年以来、実に三年ぶりである。
結論。そりゃあハマるよ。だって久々のアクアの『声』だもん。めぐみんの『声』、ダグネスの『声』もあるぞ！（おかわりもいいぞ！みたいなノリで）
自分はどうもキャラクターの『声』に対してかなりの愛着を持つタイプらしく、アクアやめぐみんがタイトルで「この素晴らしい日々に祝福を ファンタスティックデイズ」と読み上げるだけで、喜びに悶え、打ち震えてしまう。キャラクターに愛着を持てば持つほど、その喜びは高まる。
ただ、キャラクターへの愛着だけではここまで長時間のプレイはしないだろう。確かにキャラクターに惹かれてプレイを始めたが、ゲーム自体が思いの外面白かったので、そのまま続けている状態である。ストレスなくプレイさせるための工夫が随所に施されており、例えばバトルではAUTOモードにすると自動で進めてくれる。なので、何か他の作業をしている際に、音量をゼロにして放置しておくにはピッタリのゲームなのだ。
ちなみに現在のプレイヤーランクは４０。そしてもちろん課金はしていない。非課金勢の中では結構上がったほうではないだろうか。
そんなわけで今日もこのファンを進めていたのだが、不意に他の人のプレイが気になって、YouTubeで「このファン」のプレイ動画を見てみることにした。必殺技のアニメーションをまとめた動画は見たことがあるが、プレイ動画は無かった。
予想していたのは、クエストを進めたり、ボスに挑戦する動画だったのだが、実際に検索結果に表示されたのは、10連ガチャに挑戦する動画だった。
上記の動画を見て、驚いた。
「おいおい、『バニーアイリス』って、自分、一発で当てたぞ・・・」
『バニーアイリス』とは、現在開催されている『ゴージャスカジノのバニーガチャpart2』でゲットできるレアなキャラクターである。
前述の通り、自分は課金を一切していない。クエストをクリアしたり、ストーリーを見ることによって入手した無料のクオーツを使ってガチャを回している。
今回の『ゴージャスカジノのバニーガチャpart2』も、無料のクオーツで回した。その、最初の一回で、『バニーアイリス』が出たのである。
さらに、その何回か後に引いたガチャで、再度『バニーアイリス』を引き当てているので、結果的に２回も無料で『バニーアイリス』を手に入れたことになる。
だが、その一方で、大量の万札をつぎ込んでもゲット出来ない人がいる――この事実に、愕然とする。
自分は普段スマホゲーをやらないので、スマホゲーの常識や文脈を正しく認識していない。ちょっとプレイしてみたかったら面白かったから続けているだけで、『10連ガチャ』や『リセマラ』も、用語としては認識しているが、感覚的には理解し難いものだ。
もし、レアなキャラクターを手に入れるために万札をつぎ込むことが当たり前になっているような世界なら、そんな世界は狂っていると思う。
自分はこれからも無料で貰ったクオーツでチビチビ楽しむつもりだ。スタミナが無くなったら、新たに貰えるまで待てばよい。リアルマネーを出してまでのめり込むようなものではない。
お気に入りのキャラクターというものも、出来れば持たないほうがよい。無料ガチャで入手したキャラクターで楽しめば良い。
『非課金勢』から『重課金勢』へと変貌する、その境界というものは、メーカーの工夫により極めてあいまいになっている。動画の投稿者たちは、簡単に――言わば“異世界転生モノ”のように、本当に簡単にカジュアルに境界を超えるが、そんなに簡単に境界を超えてもよいのだろうか？
本来の境界というものはもっと危険で恐ろしいものだ。
自分たちはもっと境界というものを意識する必要があると思った。