見積りが高すぎる

「見積りが高すぎる」

「見積りが高すぎる」という言葉は、お客様からも社内の発注担当者からもよく耳にします。
現代はインフレ時代であり、住宅の建材、設備部品、職人の労働費、ガソリン代など、直接的・間接的な要因により、あらゆるものの価格が上昇しています。
そのため、二次製品や三次製品の価格も上昇し、最終的な住宅価格も着実に上昇しています。
今回は、そんなインフレ時代にはどうしようもない、お話ではなくて、「見積りが高すぎる」を解決できるような可能性を書いてみます。

建築工事は手づくり

多くのお客様に理解いただきたいのは、建築工事、特に注文住宅は、手づくりということです。
ハウスメーカーは一定の工場で製品を製造し、現場で組み立ておます。
地域の工務店は木材を工場でプレカット(事前にカットして)、現場で組み立ています。
つまりどのような規模の住宅会社でも、工場である程度、製造をしているものの、やはり現場で人の手が入って、唯一無二のものを組み立てていきます。
これは、車や家電、パッケージされた食料品といった「製品」と大きく異なる部分です。
注文住宅、住宅は土地の形状や地域の気候風土、お客さまの考え方が異なるため、各社似ていますが、全く同じものをつくることはありません。結果として、人の手が入る部分がほかの「製品」に比べて非常に大きくなります。

人は慣れていると早い

手づくりの特性を理解することで、「見積りが高すぎる」背後にある要因が明らかになります。
職人は慣れている作業を迅速かつスムーズに行います。結果として、短時間で作業を終えることができます。
これは柱を組み立てる段階だけでなく、水回りの設備工事や電気配線などなど、あらゆる工程に関係しています。
繰り返しになりますが、慣れていることは迅速で、慣れていないことは時間がかかります。
そして、時間はコストに関わります。
作業が早ければコストは低くなり、時間がかかる場合はコストが高くなります。
これは企業の努力に関するものではなく、概念として慣れていない作業は高コストにつながることを理解する必要があります。

慣れていて早いのは現場だけでない

この「慣れていれば早い」という特性は現場に限らず、社内および社外のあらゆるプロセスにも当てはまります。
慣れていると、工事や発注、輸送、アフターサービスなど、あらゆるプロセスがスムーズかつ正確に処理されます。
一方、慣れていない特注品や特殊工事は、仕入れ先とのコミュニケーションが複雑になります。おそらく、仕入れ先や発注先でも同様の課題が発生しているでしょう。
そのため、仕様のわずかな変更や要望が、大幅な労力とコストの増加をもたらすことがあります。

見積りが高すぎる背景

これまでの説明を通じて、「見積りが高すぎる」背後にある理由がなんとなく見えてきたのではないでしょうか。
お客様がお願いした工事や仕様に対して「価格が高い」ということは、住宅会社はそのような変更や要望に対して慣れていないということです。また、住宅会社から仕入れ先の視点では、初めての製品やサービスに対して高額の見積もりが提示されることがあります。

そして、これは現場だけではないのです。慣れている工事や発注、搬送、アフター処理、など社内・社外のありとあらゆりゅ処理がスムーズに、的確に処理されていくのです。
慣れてないもの特注品は、仕入れ先とのやりとりも煩雑さを極めます。きっと仕入れ先の社内やさらにその先の発注先でも煩雑さを極めていることでしょう。なので、ちょっと企画から外れただけで大変な労力が発生してしまうこともあるのです。

ここまで書いてくると察しが良い方はご理解いただけてくると思います。
「見積りが高すぎる」というのは普段やっていないことをやっている結果なのです。
お客様視点でいえば、その変更や要望に対して、その住宅会社は慣れていないということです。

慣れている標準品と慣れていないオーダー品

例としてキッチンを上げてみます。
一般的なシステムキッチンの製品価格が50万円として、カスタマイズを加えると80万円程度になります。
ちょっとした変形で1.5倍になってしまいました。
一方、オーダーキッチンは、既製品と同じようものだったとしても200万円くらいになるのではないでしょうか。4倍。
(逆に価格が200万円以上になる「慣れていない」が理由で価格があがることは減り、ブランド価値や材料の質で上昇することが多そうです。)

高いと感じたときは

以上の点を踏まえて、見積りが高すぎると感じた場合、まず見積りに含まれる工事の内容や製品の詳細(材料、サイズ、メンテナンス性)を確認しましょう。
そして、お客様がお話ししている相手の住宅会社がその種の工事や製品に慣れているかを確認しましょう。
慣れていない場合、価格が高くなる可能性があることを理解してください。慣れている別の会社にも相談してみるのも時には良いかもしれません。








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