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外国人の消防団入団について(2024年3月8日名古屋市会)

令和6年2月定例会 本会議(令和6年3月8日)
自由民主党名古屋市会議員団
松井 よしのり 議員
◎令和6年度予算及び関連議案[個人質問(質疑並びに議案外質問)]
1 外国人の消防団入団について
(注)**部分は音声解読不能
 

https://nagoya.gijiroku.com/g07_Video_View.asp?SrchID=2001

●松井よしのり議員

能登半島地震におきましても、被災地では多くの消防団員の皆様が消火活動や救助活動など 多岐にわたりご活躍をされております。

本市からも、 緊急消防援助隊として多くの職員が石川県の輪島市に派遣された、救助活動などに当たりましたが、行方不明者などの安否確認をする際、現地の消防団員の方に地域を案内していただいたと聞いております。まさに 地域を散り尽くした消防団員の皆様でないとできないことだと思います。

そうした中、 全国的に深刻な課題となっているのが、地域防災の要でもある消防団員の減少であります。

全国の消防団員の数は、昨年4月現在、約76万人となっておりますが、年々減少傾向にあり、こうした状況は本市においても決して例外ではありません。

本市の消防団員の定員に対する充足率は、 平成元年には定員6375人に対して実員6,199人で約97パーセントあったものが、35年ほど経った今年度の4月現在では、 定員6,845人に対して実員が5千飛んで55人となっており、 約74パーセントまで減少。35年間で約1,300人、20パーセント以上の減となっておる状況であります。

今回の能登半島地震では、多数の死傷者が発生したほか、 家屋の倒壊やライフラインの途絶など甚大な被害をもたらしたところでありますが、本市においてもかねてより南海トラフ地震の発生が危惧されており、地域防災の要でもある消防団員の減少は本市全体の災害対応能力の低下に直接結びつくことが、まさに危機的な状況にあると言えます。

もちろん、消防団員の皆様も地域の様々な行事などを通じて新たな消防団員の確保に取り組んでおり、 本市としてもホームページやSNSを用いた消防団のPR広報や、消防団入団申し込みにかかるオンライン申請の導入など様々な取り組みを行っておりますが、 減少に歯止めがかからないのが現状であります。

そうした中、先日、 私の住む森山区内のある消防団長さんから私のところに問い合わせをいただきました。実は、学区の中で消防団に入りたいと言ってくれている人がいます。その人は、外国人である。消防団員になることはできるのかといった内容でした。

そのことを消防局に確認したところ、消防団員はその活動の中で、 火災現場における警戒区域の設定など公権力の行使を行うことがあり、国家も法の権利に照らし合わせて、外国籍の方は公権力の行使ができないという見解を示していることから、 本市では外国籍の方の入団を認めていないとの回答でした。

私としましては、 制度としては 理解はできたものの、日本に長年居住し、地域の皆さんとの交流を通じて我々日本人と同じように生活をされている中で、 自分が住む地域のために消防団員になりたいと熱意を持って入団を希望していただいているのにもかかわらず、 日本国籍ではないという理由だけで入団できないというのは大変残念に感じたところであります。

一方で、近年、我が国では少子高齢化による労働力不足が大変深刻な問題となっております。 内閣府が出している令和5年版「高齢社会白書」によりますと、我が国の生産年齢人口、すなわち15歳以上65歳未満の働き手の数は1995年をピークに減少しており、2050年には現在よりもさらに2割から3割減少すると見込まれております。そうした 非常に厳しい状況下において、我が国を支えるために欠かすことができないのが外国人の労働力であります。

最近では、 一般企業やコンビニエンスストア、飲食店をはじめ、介護の分野などにおいても多くの外国籍の方が働いており、 我々の日常生活の支えとなっていただいております。

厚生労働省発表の 令和5年10月末時点のデータによりますと、日本で働く外国人労働者の数は全国で約205万人と初めて200万人を超え、本市においても約7万1000人もの外国人労働者の方が様々な分野で働いており、 外国人労働者の数は今後もさらに増えていくことが予測されております。

こうした状況を踏まえると、 ここ名古屋においても地域との交流の中で郷土愛の意識が芽生え、消防団員として自分たちの街を守りたいと考える外国籍の方は今後増えてくると思います。

他都市に誇れる地域密着型の**をしく本市消防団活動を**せば、 外国籍の方の消防団への入団についてしっかりと検討していかなければならない時期に来ているのではないでしょうか。

ここで、外国人消防団員に関する他都市の状況についてパネルにまとめましたので、ご紹介をさせていただきます。

現在、全国の20の政令指定都市のうち、ここに掲げました横浜、 川崎、相模原などの6つの都市では、すでに外国籍の方の入団を認めております。

上から4番目の浜松市においては、現在は在籍が0となっておりますが、それ以外の5つの都市では、実際に外国籍の方が消防団員として 在籍をしております。

どの都市も外国籍の方は、火災現場において、消防や警察、火元の住民などの関係者以外の方が現場に入られないようロープなどを貼って警戒区域を設定することなどの公権力の行使は行わないことを条件として入団を認めており、火災予防の広報や 地域における訓練指導など、平常時の活動を中心に活躍をされております。

1番上の 横浜市の場合、隊員数が減少傾向にあった消防団の方や入団を希望する外国籍の方から実際に市に相談があったという経緯を踏まえ、様々な検討を重ねた結果、令和2年4月から、 外国籍の方の入団を認めており、今年の2月1日現在、55名の外国人消防団員の方が在籍して活躍されていることとのことです。

また横浜市においては、平常時の消防団活動のほか、多言語による火災予防や熱中症予防など広報活動や消防団のPR活動など、外国籍の方ならではの取り組みを行っていると聞いております。

外国人の人口が増え、多文化共生が進む中、地域防災を担う消防団の活動の幅をさらに広げるという点においても、こうした横浜市の先進的な事例は本市にとって大変参考になるものと考えております。

なお、本市においては、外国籍の方は公権力の行使ができないということから入団を認めていないということですが、 先日、消防庁が外国人の消防団員が従事できる任務を明確化するという予定があるということを新聞の記事で目にしました。

公権力の行使には日本国籍が必要とした上で、来年度をめどに外国籍の方が従事できる具体的な活動例を示すというものです。

これは、外国人消防団員が可能な活動の範囲を明確にしてほしいという自治体の声に基づき、国として動き始めたもので、 こうした流れは本市においての外国籍の方の入団を検討する上でも後押しとなるのではと考えている次第です。

また、先ほど横浜市のケースについて検討に至った経緯などを紹介させていただきましたが、本市においても、これまで消防団の皆様からのご意見やご要望を聞きながら、女性消防団員の採用や消防団詰め所、消防団車両の自由化など、消防団のさらなる充実強化を目的として取り組まれてきたと思います。

こうしたことからも、時代の流れや社会の変化を捉え、消防団の皆様の声をしっかりと聞きながら新たな風を吹き込むことが今まさに求められているのではないでしょうか。

また、スポーツ市民局に聞いたところ、 本市区政協力員さんの中で現在1名、外国籍の方がみえるとのことであります。

またさらに、環境局にも確認したところ、保健環境委員さんの選任にあたっても国籍要件はないということでした。

そこで、消防局長にお伺いをいたします。昨今の様々な情勢を鑑みて、外国籍の方の消防団への入団についてどのように考えているのか、ご答弁をお願いいたします。(後略)

●半田消防局長


外国人の消防団入団についてでございます。 多岐にわたる消防団活動の中には、災害現状における消防警戒区域の設定など、公権力の行使に当たるものが含まれております。

このことに関しまして、昭和28年に国から公権力の行使には日本国籍が必要であるという見解が示されているため、本市におきましては、現在外国人は入団しておりません。

しかしながら、議員ご指摘の通り、他都市ではすでに外国人の入団を認めている事例がございまして、 火災予防広報や地域における訓練指導など、公権力の行使を伴わない部分でご活躍いただいていると聞いております。

また、現在、国において外国人消防団員が従事できる活動の事例を整理しており、令和6年度中に通知するということを伺っております。

消防局といたしましては、国の動向や他都市の事例を踏まえつつ、 外国人の入団につきまして、消防団連合会と調整を図りながら速やかに検討してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 

●松井よしのり議員

消防局長さんからご答弁ありがとうございました。 以下、要望をさせていただきます。

外国人の消防団への入団について、局長から、 消防団連合会と調整を図りながら速やかに検討していくとの大変前向きな答弁をいただきました。ありがとうございます。

外国籍の方が消防団に入ることにより、従来の消防団活動に加え、例えば多言語による広報活動や 地域活動における通訳など、消防団活動の幅はさらに広がると考えます。 さらにグローバルな消防団の誕生と言えるのではないでしょうか。

また、単に本市における消防団員の充足率が上がるだけでなく、 消防団活動を通じて地域における多文化コミュニティの熟成にもつながり、ひいては地域防災力の向上につながることが期待できると考えます。

しかしながら、その一方で、外国籍の方の本市消防団の入団に関しましては、長年にわたり認めてこなかった経緯もあり、これまでにない大きな改革となります。

現在在籍している消防隊員の皆様にとっては、例えば意思疎通の面での不安など、デリケートな部分もきっとあると思います。

消防局には、消防団の皆様のご意見にしっかりと耳を傾けるとともに、国の今後の動向なども注視し、消防団連合会の理解を得ながら、速やかに外国人消防団員の導入に向けて検討を進めていただくことを強く要望いたします。

以上


参考記事


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