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ジョージア旅行記 4日目(2019/07/16) ジョージア軍用道路

ジョージアはコーカサス山脈を挟んでロシアに接しています。そして、トビリシからロシアにかけて、ジョージア軍用道路という道が山脈を越えて走っています。

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図の太い赤線がジョージア軍用道路です。少しわかりにくいですがDarial Godgeが国境になっています。

トビリシから一番簡単にコーカサス山脈にアプローチする方法がこのジョージア軍用道路を利用することです。かつて二国間に強い緊張が走っていた時期もありますが、今は問題ないです。(まれにツーリングなどで国境越えをする人もいますが、それはなかなかに大変らしいですが)

国境近くにはステパツミンダという村(捨てパンツ見んだと覚えましょう)があります。この村からは名峰カズベキ山がよく見えることからカズベキとも通称されます。トビリシからはたくさんのツアーがステパツミンダに出ており、今回はそのツアーに参加することで日帰りでジョージア軍用道路を旅しました。

もともとステパツミンダに一泊しようとしてたのですが、スケジュール的に日帰りしたので、今泊まってるトビリシの宿は最後。(後で泊まれるって言われたけど次のとったあとだった)新しく予約したところにまず向かいました。新しい宿はさらに自由広場に近いです。

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PAULなんかがあるオシャレストリートです。

荷物管理などのために、全部個室にしていたのですがこの日の宿は個室が1箇所しかなく、そして、

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無駄に広い。あと絵。オシャレ。

あとゲストハウスあるあるで、誰がスタッフで誰が客だからわからない。下手するとずっといる客がスタッフの代わりに働いてたりする。あとみんな顔が濃くて似ているので覚えられない。

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ロビーで少しゆっくりする。右側は部屋になっていてたくさんの人が寝ていました。

この日の集合場所はアヴラバリという駅。自由広場の隣駅なのですが、結構高台にあるので地下鉄で行くことに。

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だいたい地下鉄の駅はどこもこんな感じです。広くて天井が高い。ストリートミュージシャンがずっと演奏しているようなところもありました。

そしてアヴラバリの駅で待ち合わせ。駅前にはスーパーや薬局があったりします。

ツアー会社の札を持ったお姉さんに挨拶。めちゃめちゃ美人。でもこのお姉さんはツアーにはついてきません。残念。多分事務スタッフで、集合時だけ手伝うって感じなんだと思います。

今回のツアーは、アメリカ人、ドイツ人、フランス人、ルーマニア人、アルメニア人、インド人という超多国籍グループでした。フランス人のおばさん2人組の片方がフェラーリという名前らしく、「じゃああなたはランボルギーニだね!」みたいな話をガイドがしてました。

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奥に見えるのが今回のガイドのラシャ。昨日のクタイシ往復のマルシュよりは綺麗で助かりました。

マルシュは一路北に向かい、ジンヴァリ湖へ寄ります。これは軍用道路の脇にあるダム湖になっています。

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まぁダム湖なんで、日本にもありそうな風景っちゃそうなのですが。水がすごく水色っぽく見えますね。

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記念にパシャり。このポーズは今後色んなところでやりますがまだ指に変な力が入ってる。

なぜかトイレの看板がこうなっていました。切羽詰まってる感じ。他のところでも結構見たデザインなので文化的なものかもしれないです。

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ジンヴァリ湖のさらに上流にある、アナヌリ要塞に向かいます。ここは軍用道路の中でも主要な観光地で、多くの観光客がいました。

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湖畔に佇む石造りの要塞です。これもRPGでみた感がすごいですね。

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この塔の中にはもちろん入ることができます。ただ人がいっぱいで入るのは一苦労。中も狭くて暗い。でもダンジョン探検みたいですごく楽しいです。

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狭い階段を登るごとにあるちょっとしたスペース。いかにも物見櫓って感じです。

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塔からはアナヌリの教会が見えます。要塞の中には教会が鎮座しているのです。

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ここは牢獄に続く道?ちょっとわからないですがすごく狭い道を抜けると少しひらけた空間がありました。観光客がすごい多いので冒険感はないのですが、どこをみてもゲームの世界みたいでワクワクします。

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要塞を降りると先ほどのダムの湖が広がっています。ここは色んな人が泳ぎにくるスポットみたいです。確かにトビリシからは海が遠いので、湖で泳ぐ人が多いんでしょうね。東京だと相模湾が近いのであんまりない感覚ですが。

湖畔から戻るときにガイドさんと少し喋る。「スモウレスラーの栃ノ心を知ってるかい?」とか。ジョージア的には日本といえば栃ノ心らしい。むしろ初めて知った。あと「君の宗教は何?」とかナチュラルにきかれた。あんまり日本人は宗教に入ってる人はいないですねーって答えたけど、グローバルには何かを信じている方がメジャーなのかもしれない。

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アナヌリを後にしたら、もう少し先に進んだところで昼食。ラフティング体験に参加する人もいたので結構ゆっくりめ。個人的にはもっと早くコーカサス山脈を見たかったですが、それはそれ。

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一人で来てたのは僕ともうひとり若くて頭良さそうなインド人だけで、あとはほぼ2人グループ。てかカップル。まぁそんな中でも東アジア系の人は僕だけなので、色々聞かれたりはするんですが、

インド人「日本人は中国人のことをどう思ってるの?私たちは好きじゃないけど」

フランス人「日本はなんであんなに地震が多いのに原発があるの?」

質問がいちいち重い。

日本は政治の話しないとかよく言われるけど、こういう場面でわかるというか、海外の人はスタンスについて質問するのが当たり前なんだな、と感じました。初対面の人にあんまりそういう話をすることは日本ではないですよね。

そんなこんなでお腹も膨れて、次の目的地へ。

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ここはパサナウリというエリアなのですが、先ほどのジンヴァリ湖に注ぐアラグヴィ川が合流する地点。左側と右側の川の色が全く違います。

そして道はこの汚い方の川沿いに続いています。徐々に高度を上げ、つづら折りの道が広がっていきます。

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道は森林限界を超えて、一気に開放感あふれる光景へ。こんな景色日本ではまずありません。美しいの一言。

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この木のほとんどない青々とした稜線、とても美しいです。コーカサス山脈はアルプスに似ている感じがしますが、アルプスほど可憐な感じがしないというか、アルプスがお目々ぱっちりの美人だとしたら、どっちかというとコーカサスは着飾らない素朴な美人という感じです。

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車はグダウリという街に差し掛かります。冬はスキーリゾートになるそう。トビリシは仙台ぐらいのサイズなので、立ち位置としてはさしずめ蔵王でしょうか。そこまで発展してないですけど。こういうところを滑ったらさぞかし気持ちいいんだろうなぁと、冬のジョージアも気になってきます。

そしたら、ラシャが、

こんだけいろんな国の人集まってるから自分の国の音楽かけようぜ!!

と提案。

いつもほぼ洋楽しか聴かない俺、爆死。

さらに先制のアメリカ人がEDMをかけ始める。

車内ノリノリ。

あー、世界的にはそっちの方向ですよね、ですよね・・・。

日本のEDMとかなにひとつとして知らないしパリピの曲なんて知らない俺。

自分の番が回ってくるまで悩み続け、最終的にかけたのはSuchmosのSTAY TUNE(最後の最後まで宇多田と迷ったけどこのノリの中では暗すぎた)

車内テンションだだ下がり。

ですよね・・・。


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そしてロシアジョージア友好の碑で休憩。ここは店も多いし、パラグライダーみたいなアクティビティもできる場所です。モニュメントは超巨大。
そして絶景も楽しめます。

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友好の碑の近くの名もなき山。みごとな圏谷です。日本では涸沢カールや千畳敷カールなどで見ることができる地形ですが、コーカサスでは当たり前のように見ることができます。

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景色は360度コーカサス山脈の山並みの中。絶景of絶景。ゼルダみたいというツッコミすら雲散霧消するレベル。

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はるばるとここまできてよかった、と思わずため息が出ます。

友好の碑の絶景を堪能した後は、山脈の最奥部、ステパンツミンダへ。峠を越えて深い谷の中を走行します。

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両側に比高1000m近くはありそうな山の間の谷の景色は、日も傾いてきたのも相まって幽玄の一言。しかもほとんど木々もないオープンな空間。日本では体験できない、ジョージアの山奥にしかない場所です。こういう広大な谷間の間を走るのはすごくいいですね(どうしても写真だと自分の座っている側からしか撮れないのが残念)

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そして車はステパンツミンダに到着。ここからゲルゲディ・サメバ三位一体教会に向かいます。

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この教会はステパンツミンダを望む小高い丘の上にあります。時間のある旅行者は1時間ぐらい歩いて登ったりもしますが、今回はジープへ。

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なんとこのジープ、日本車。三菱デリカ。しかもカーナビ付き。地図ディスクを確認し続けています。日本じゃないのに・・・。ついでに右ハンドルなので違和感バリバリです(ジョージアは左ハンドル)

ものすごく大切に乗ってるので、本当にボロボロになっても車に乗ってたりします。

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この状態になっても車って動くんですね。

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これがゲルゲディ・サメバ三位一体教会です。奥に見える山とセットで写真に撮るとめちゃくちゃ絵になります。

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そして教会からステパンツミンダを見たところ。山の合間に広がる村が、まさに絶景です。

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記念写真をパシャり。

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この場所から北のほうを見るとこちらにも峻厳な山が。こちら側がちょうどロシア側となっています。ジョージア軍用道路はロシアのウラジカフカスまで続いております。また地理的には北東側にチェチェン紛争で有名なチェチェン共和国があります。

もともとコーカサス山脈を知ったきっかけが、伊藤計劃のSF小説、「ハーモニー」の印象的なシーンとして使われていたことで、ストーリーの中でててきたのはチェチェン側からの景色だったので、なんだか感慨深いです。

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教会を後にして丘をおりていきます。奥にちょっと雲がかかっていますがカズベキ山が見えます。ステパンツミンダを拠点にしてカズベキを登るトレッカーもいるんだとか。

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そのあとはホテルカズベキという著名なホテルで休息。モダンな建築デザインが洒落ています。ちなみにトビリシも同じ系列の会社が運営してるゲストハウス、ファブリカ・トビリシというのがあり、バックパッカーに人気だそうです。ちょっと予算的にゲストハウスにしてはお高めだったので今回は泊まりませんでしたが。

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休んでいる間にカズベキ山は少し見やすくなりました。

そして帰路へつきます。約3時間なので、トビリシに着く頃にはもう夜になる計算です。

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帰りの軍用道路も美しい。さらに日が陰ってきたので幽玄度合いが増した気がします。

というわけでコーカサス山脈の最奥部を巡る、ジョージア軍用道路ツアーでした。軍用道路はツアー以外にも個人でアプローチして宿泊したり、みたいなのも楽しめるので、いろんなスタイルに合わせてみるといいのかなぁと思いました。

この日はロシアの国境に近づきましたが、次回はアゼルバイジャンの国境近くの修道院を訪問します。そして今回の旅のハイライト、上スヴァネティ地方へと向かいます。

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