見出し画像

クリエイティブユニット"graf"(2023/4/1,8 OA)

「EVENING TAP」から「Roundtable with Komaki」へ引っ越しをして、『2冊目のコマキ手帖』な気持ちですが、引き続き、自分と社会、2つの「未来を耕す」をテーマに、いろんな方にお話を聞いたり、体験していきます。

初回のゲストは、ものづくりをとおして暮らしを豊かにすることを目指すクリエイティブユニット"graf"の代表、服部さんにお話しをうかがいました。
なぜ初回に服部さんに登場頂いたかというと。このコーナーは、土井印から数えて10年を超えるコーナーですが、色んな人に出会って出来上がってきた「土井印らしさ」「コマキ手帖らしさ」のようなもの〜言い換えると「土井コマキの物差し」に強く影響を与えてくれた、お一人なんです。

と言うことで、ここからのリスナーの方にも服部さんのお話を届けたい!と、久しぶりに服部さんに伺いました。

改めてなんですけど、関西で生活してると、面白いなあとかめっちゃイケてるやんって思うところに必ずと言っていいほどgrafの方だとか、graf出身の方が独立して、そこにいたりとかいうことがめちゃくちゃ多いんです。

grafは、今年2023年で25周年。25年前、20代そこそこだった服部さん達が、「仕事を作っていこう」と集まって立ち上げたのがgrafです。東京でもなければ地方都市の大阪なので、それまでの普通の仕事の始め方で考えると、一つのジャンルの中で生きていれば、例えば先輩から取引先を紹介してもらって「仕事を分けてもらう」「仕事を頂く」という感じだったそう。だけど、21世紀の手前にスタートしているので、まだ20世紀の後半でまあどうなってるかわからない21世紀に対してなんか考えなきゃいけないなあ、バブルの崩壊の後、今までのシステムとか仕組みとか、その流通の形態であったりとか、新しい生み出し方ができるんじゃないか。そこで「仕事づくり」っていうことをとにかく考えてスタートしたのがgrafとのことです。

いろんなジャンルにわたって活躍しているgrafですが、立ち上げメンバーがまたユニークです。もともと生活のためのデザインっていうのを特にやりたいと思って集まった大工さん、家具職人、プロダクトデザイナー、映像作家、シェフ、など6人。なぜシェフが混じっているのかというところですが、当時はかなり画期的だったとのことです(今も決して当たり前ではないと思いますが…!)やはり仕事づくりのために必要な要素だと思って集まったんだそう。

例えば、お皿のデザインの発注があったとして。普通のデザイン事務所だったら、百貨店に並んでいる同じ価格帯ぐらいの皿を比較対象にして、商品を作るけれど、grafにはシェフがいるので、シェフに最近の野菜事情を聞いてみると、そろそろこういう新しいお野菜が流通が始まるよと知ることがある。新しい野菜が流通し出すと新しいレシピと、それに合う食器が求められるようになる。そこから食器をデザインするということができる。今までとは違って、食材から商品が生まれるっていうシステムが出来上がる。
本来はそうあるべき開発方法だったけど、やっぱり市場が強かったので、この商品には無いものを形にするとか、これよりも良いものを安く作るとか、そういう目標になってしまっていた。それをもう一回立ち返ってコンセプトから見つめ直してものづくりをするっていうふうになると、作り方が違うので、その企画開発処方みたいなものを横目で見る人たちも出てきて、うちの商品もあの方法で開発してもらえないかっていう風に展開が広がっていくわけです。

まず最初に呼ばれたのが、産地。産地の人たちと物を作るっていうことが多く、新しいものづくりのシステムで、産地を再生したいと思ったそう。というのも、大量生産で作られてきたデッドストックみたいなものがまだまだ山積みされているっていうのもあったり、やっぱり流通の形態も、売り場も、デザインする手法も組み立て直さなきゃいけないんじゃないか、単純にデザインするだけじゃだめだと実感したそうです。

産地が生まれているってことはここ何百年、下手すると幕末から、どういう理由があって、そこにその産業が誕生し、栄え、今、弱ってしまっているのか、リサーチすることが必要。生産ラインそのものも、大量生産時に作られたシステムなので、400年前とは全く違う生産方法をとっているんですね。なので、できるだけ作り方から見直して、その作り方でできるデザインを今の形に置き換える。流通するにはどういう方法が必要か、販売店をどういうふうなところからスタートするべきか?みたいなところまでブランドを見せてあげるっていうのが、grafのやり方です。

grafはとにかくリサーチに時間をかける印象があるんですが、ここまでやっていると、それは時間が必要なわけだと思います。


そんなgrafが今、新しく始めたことがあります。実は、クラフトエナジー。なんとgrafがついにエネルギーを作り始めたんです。

というのも、ゴミを出すので、ものづくりは敬遠されるんじゃないかなってすごい不安を持っているそう。どの事業者の人も、ある側面、ものづくりはゴミ作りになってしまう。できるだけ出ないように最後の最後まで製品化して行くっていうことはやり続けるけれど、それ以上に、どうしても出てしまうゴミをどうやって処理しようかと、5年ぐらい前からエネルギーの勉強を始めたそうです。高槻バイオチャーエネルギー研究所に出会って、バイオマスエネルギー勉強をし、ついにこの4月、grafのバイオマスのエネルギープラント稼働が始まります。
具体的には、grafの物作りで生まれるゴミというのは木です。まず、林業の人たちが山から木を下ろす時に、そして製材所で製材するとき、そしてgrafのような工場に持って来られた後という、3ヶ所から出てくるゴミをプラントに入れて火を付けると、炭ができる。その炭になっていくための時間っていうのが大体8時間ぐらいで、その間に800度の熱がそこから取れるんですね。その800度の熱でエンジンを動かして電気を生みます。
プラントは奈良の廃校になった中学校に設置されているそうで、その地域ででたゴミもそこで電気に変えて行ったり、子供達に資源が循環する様子を見学してもらったり、「学べるエネルギープラント」にして行きたいとのこと。また有機物だったらどんなものでも炭化できるので、色んなところで、同じシステムを使って地域の廃棄物を資源として循環させていくことができれば良いですよね。例えば先日は、デニム作ってる工場の方がどうしても捨てなくてはいけない布が出るんだけど、どうしようって高槻バイオチャーエネルギー研究所に持ち込まれたら、見事にデニムの炭ができたんだとか。
農業だと、例えばB品になってしまって、腐りかけているジャガイモとか、さつまいもとか、そういったものを炭にできます。炭はバーベキューしてもいいし、土壌改良用の炭としても使うことができます。

まさかのエネルギーまで作り始めるというところに行きついていたgraf、恐るべしです。ですが、まだまだgrafのものづくりは日々アップデート続けています。服部さんから大きなことを言われてしまいました。「大阪は、万博も2025年に迎えます。grafも万博のお手伝いをさせていただいて、できるだけ関西圏の人たち、未来に対する何て言うか不安とか、そういうのをこの番組で解消していけたら最高やなぁ」
なんと!ちょっとミッションがでかすぎて、一瞬で肩こりになりそうな感じですけど・・・いや、でも色々楽しく知って、未来を耕していきたいです。よろしくお願いします。

最後に番組名についてどう思うか聞いてみました。

「めっちゃいい名前つけたと思いました。このラウンドテーブルってgrafにも何点か商品があるんですけど、四角いテーブルだったら、友達呼んでも、まあ4人から6人はいはいぐらいまで。人数に制限かかっちゃうんですけど、丸いと、片方の肩が刺さるだけでも、テーブルの上に肘をついてふむふむふむってみんなで話ができるんですよ。ラウンドになった途端に、10人でも20人でも関わっていけるテーブルに変わるっていう。それがラウンドテーブル。なんかその既成概念とか固定概念とかっていうのを、なんか塗り替えることってことでしょ?」
そこまで深いことを考えたわけでは・・・
「なんかあの物理的なものがなかなかないじゃん。その放送ってさ。だけど、みんなのテーブルの横に私はいるよっていう感じで、この放送を聞いてもらったらいいよね?」
その通りです。みんなでテーブル囲みたいです。

壮大な意味の番組名になってしまいましたが、なかなか良い番組名なのかもしれません。頑張ります。服部さん、ありがとうございました。grafの発電所見学に行きたいですー!


▼クリエイティブユニット graf
https://www.graf-d3.com/

全て無料記事ですが、サポートして下さったらとても嬉しいです。当たり前ですが、自分のお財布で活動しています。サポートしていただいたお金は、podcast用に購入した機材費、podcastのインタビュアーさんへのお茶代、コマキ手帖の取材費に使わせてもらいます。よろしくお願いします。