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2024/2/20

体調を崩したり、苛々することが多かったりなどで、あまり読書の捗らない日々が続いた。
4月からは忙しくなるだろうから、今のうちにに読んでおかなければ、と思っても読めないときは読めない。

自分はわりと本は好きな方だ。
だけど、なんで本を読むようになったのか、色々記憶を辿ってみたくなった。

身の回りというか家に本が当たり前にあって気がついたら本が好きにというパターン。そんな話を聞く度に、羨ましいなと己の抱える嫌な部分が出る。さぞ豊かなご家庭で育ってきたんでしょうねと、妬み嫉みで胸いっぱい。
小学三年生まで住んでた家には植村直己の本が一冊だけあったけど、当時の私にはまだ早かった。

テレビゲームは買って貰えず、今のようにネットで映像を見たり時間潰したりも出来ないので、娯楽を求めて図書館や図書室には行っていた。
はだしのゲンや、漫画の歴史伝記モノを沢山読んだ。敢えて活字を選ぶような子供でもなかった。
夏休みの宿題として出される読書感想文のためだけには、児童文学も読んだのかな。全然覚えてないけど。

あるとき、地元にあったBOOKOFFみたいな店の無料コーナーにパタリロがあったので持ち帰った。
小学三年生まで住んでた家ではBSが視聴出来たので、BSアニメ劇場でCCさくらのあとだか前だかにパタリロがやっていた。
美少年たちがひしめくお耽美な世界にドキドキしなが読み進めたけど、とにかく文字がどんどん多くなる漫画なので、そこで活字への苦手意識は薄れていったように思える。

中学に上がった頃、表紙がかわいいという理由で乙一の「きみにしか聞こえない」を買った。それが初めて自分で選んで買った小説だったと思う。
借りるのはいいけど返すのがとてつもなく億劫に感じるので、買った方がいいなと少しずつ本屋に行く度に小説のコーナーも見るようになった。漫画を買う方が圧倒的に多かったけど。

中学までは特別に読書が好きという訳ではなく、貧乏な家の子だった私には数少ない他の娯楽と同じだった。
高校生ぐらいから、本を読むのは面白いなと思い始め、数を読むようになった。
理由はふたつある。ひとつは、通学電車が片道40分だったが、途中で電波が途切れるので携帯をずっと触ってる訳にもいかず、帰りは充電が心許ないのもあって、往復1時間20分を読書に費やすことができた。
もうひとつは、高校から仲良くなった子とあれ読んだこれ読んだと本の話をするのが楽しかったから。彼女が読み始めたから、頑張ってドグラ・マグラを読んだんだ。ドストエフスキーはカタカナが多くて諦めたけど。
10代の頃しか感じられないものがあるし、集中力もこの頃が一番あっただろうから、高校生で沢山本を読めたのは良かったと思う。それでも三年間で100冊ぐらいしか読んでなかったけど。
昼間はバイトして、夜は高校に通い、たまに夜中までゲーセンで遊んでたり、丸一日休みの日がほぼないという人生で一番忙しかった時期にこれだけ読んでりゃ上等か。

高校卒業後はそのままズルズルとバイト生活を続け、車の免許は取っていたので車通勤となり、本を読む時間はガクッと減った。
村上春樹翻訳のライ麦畑でつかまえてを読むのに半年かかった。(あれはとても読みづらかった)
二十歳前後はなんやかんやあって人生最大のメンヘラ期を迎える訳だが、その終わりに東京で暮らすこととなり、神保町の古本屋でバイトをする。なんか中野の古本屋でも掛け持ちをすることに。
あまりあくせく働かなくてもいいやってふざけて生きてた時期で、一番自由に時間を使えていた気がする。金はなかったけど。細々と本は買って読んでた。
昼間神保町、夕方から中野でバイトして、夜は高円寺の古本屋をウロウロ、なんて日を過ごしたり。好きなモノに塗れて最高だった。

彼氏と家と仕事を一気に失うという貴重な体験をしたあと、東京から逃げ帰り茨城へ。ガチの地元は携帯の電波の入りは悪いし、病院とドラッグストアと老人ホームしかない終わりゆく町なので、せめてもう少しマトモなとこがいいと水戸に住む。
そこでも相変わらず金も精神も自転車操業だったけど、やっと初めて自分の部屋を持てたので、夢に見た壁いっぱいの本棚をつくることが出来てご満悦だった。ヘッダーの写真はその頃の本棚。

そのあと東京への未練を断ち切れず、三十路手前で再び東京へ。大量の本は全部持ってきた。
一人暮らしの6年間はテレビ無し生活をしていて、ダラダラとテレビを見たりせずに本を読むなり好きなことに時間を割こうと心がけていた。(最後の方はYouTubeとNetflix漬けになってて意味なかった)
あまりに精神的に荒れているとそれどころではないけど、孤独を救ってくれたのは本だった。孤独だからこそ本を読み続けたのかもしれない。

結婚を期に今の住居へと引っ越した訳だけど、かなり久々に大幅に本を削った。宅配買取を利用したんだけど、思ったより値が付いて嬉しかった。
減らしたにも関わらず、まだまだ本は買い続けている。
家族を得て概ね孤独とは無縁な生活になるのかと思いきやそうでもない。あと、隙間時間はすかさずスマホを触ってしまうのだが、そればっかりだと苛々してしまいがちで心に澱が溜まる。そんな澱をどうにかしてくれるのが、本であったりする。

多分むかしは他に娯楽が少なかったから本に手を伸ばしたんだと思うんだけど、ネットでもなんでもある今でも本は近くにあって欲しい。
たとえ読む気がしなくても、そばにあるだけで。いや、ストレスが溜まると無性に本屋に行って買いたくなる。増え続けることで私の精神は平衡を保っていられるのかもしれない。
もう離れられない

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