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プロダクトデザインの価値とは何か

この記事は、[CYBOZU SUMMER BLOG FES '24] (Design Stage) DAY 5の記事です。

こんにちは、kintone プロダクトデザイナーのどぎもです。
先日、弊社で行われた勉強会で本テーマについて発表する機会があったのですが、発表後、いろんな方から「面白かったよ」と感想をいただいたので、今回は、そのエッセンスを紹介したいと思います。

いきなりですが、優れたプロダクトデザインとは何でしょうか。
多くの人は「見た目が魅力的」や「使いやすい」といった側面を思い浮かべるかもしれません。しかし、「何故、見た目を魅力的だと良いのか」「使いやすくすると、どのような効果が生まれるのか」など、あまり語られていないように感じられます。
本記事では、そもそもプロダクトデザインの価値とは何かについて、その重要な3つの要素について深掘りしていきたいと思います。


プロダクトデザインの3つの要素

プロダクトデザインには、以下の3つの要素があると考えています。
これら3つの要素を解説していこうと思います。

  1. 情緒性のデザイン

  2. 機能性のデザイン

  3. 生産性のデザイン

1. 情緒性のデザイン

情緒性のデザインとは、「格好良い」「美しい」「おしゃれ」「モダン」といった、見た人の印象に関与するデザインです。

情緒性のデザインは、魅力的なデザインで惹きつけたり、愛着を持ってもらうなどの人の感情の変化を与えることを意図しています。
そして、情緒性のデザインは以下のような効果があります。

  • 品質を良く見せる:
    人には、製品を利用前に、その見た目で品質を判断する傾向があります。
    人は日々大量の情報を取得し判断しています。同時に脳は認知負荷を下げるために一般論や経験則を利用して判断することで認知負荷を下げます。これが認知バイアスになります。
    この認知バイアスは、洗練されたデザインの製品は、「高品質で使いやすく、よく機能するだろう」という印象を持ちます。逆に、洗練されていないデザインの製品では、「低品質で粗雑な作り」という印象を持たれてしまいます。
    これは、製品の実際の品質とは直接的な関係がない場合でも起こりうる心理的な現象です。

  • 心理的障壁の低減:
    情緒性の高いデザインは、ユーザーの心理的なハードルを下げ、製品やサービスに対する興味関心を高め、利用意欲へと繋げます。

  • 美的ユーザビリティ効果:
    魅力的な見た目は、実際の使いやすさとは別に、ユーザーに「使いやすい」という印象を与えます。この効果はユーザビリティに問題があっても寛容になり、不満を低減するとも言えます。つまりは、利用時の満足度が高まります。

オールドデザインとモダンデザインの比較。どちらを利用したいと思いますか?

2. 機能性のデザイン

機能性のデザインは、「使いやすい」「わかりやすい」「覚えやすい」「見つけやすい」といった、プロダクトの操作に関与するデザインです。

機能性のデザインには、以下のような指標があります。

  • 誘目性/視認性:
    見やすくする、気づきやすくする

  • 操作性:
    使いやすくする、煩わしさを減らす

  • 記憶容易性/一貫性:
    覚えやすくする、学習しやすくする

  • 可読性/理解性:
    情報の読みやすさ、理解しやすさ

  • 構造性/整理性:
    情報の構造化、整理されている度合い

  • 一般常識/習慣、ガイドラインへの準拠:
    メンタルモデルに合わせる、常識に合わせる

これら指標の品質を向上することで「迷わずタスクを達成できる」「タスクを達成する手間が少ない」などの変化が起きます。それよりプロダクトの「定着率」や「継続率」を向上させます。

機能性のデザインの品質が悪いと、ゴールまでの道のりが長く険しい。機能性のデザインの品質が良いと、ゴールまでの道のりが短く滑らか

3. 生産性のデザイン

生産性のデザインは、「作りやすい」「メンテナンス性が高い」「拡張性が高い」「再利用可能」といった、作り手の製造に関与するデザインです。

いくら、優れた情緒性や機能性を持つデザインでも、製造コストが釣り合わなければ良いデザインとは言えません。
生産性のデザインは、以下の点で重要になります。

  • 開発コストの抑制

  • メンテナンス性の向上

  • 拡張性の確保

  • 費用対効果の最大化

プロダクトデザインの価値

優れたプロダクトデザインとは、「情緒性」「機能性」「生産性」のバランスが取れた状態です。その結果、以下のようなユーザーの行動変化が生まれ、このギャップがプロダクトデザインの価値となります。

情緒性のデザインによる変化: [興味がない],[愛着が持てない]→[興味がある、利用してみたい],[愛着が持てる。利用中の満足度が高まる]. 機能性のデザイン: [タスクを達成できない][手間が多い]→[タスクを達成できる。定着率があがる][手間が少ない。継続率が上がる]. 生産性のデザイン: [開発コストが高い]→[開発コストを抑制できる。費用対効果が最大化される]

これらの要素が相互に作用し、ユーザーの行動変容を促すことがプロダクトデザインの価値となり、ユーザーにとって魅力的で効果的なプロダクトを提供することができると考えています。

まとめ

プロダクトデザインには、「情緒性」「機能性」「生産性」という3つの要素があります。
これら要素は利用前に「利用してみたい」と行動を促すことや、利用中の「タスクが達成できる」「手間が少ない」「不満が低減する」、開発時のコストを抑制するなどの変化をもたらせます。この変化がプロダクトデザインの価値となります。

プロダクトの状況や目標に応じて、適切にデザインリソースを配分することで、より効果的なプロダクト開発が可能になると考えています。

最後に

そんな事より、私は宝塚歌劇団が好きです。今年は月組トップスター月城かなとさんが退団されて本当に悲しかったですね。彼女の美しさは時空を超える美しさがありました。それでは、彼女の退団公演の初日舞台映像で華やかに締めくくろうと思います。
それでは、またどこかで会いましょう。

参考文献:


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