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くんなはれ

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ナッシングバットポエム
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#ハードボイルド

放屁無頼 #(予告)

放屁無頼 #(予告)

第3話
同僚として共に闘い、いまは組織を抜けて北海道に潜む元・放屁人K。Kには家族がいた。「明日は次女の誕生日だから1日待ってくれ」。明け方、「お待たせしました放屁の時間です」とチビの汚い男がドアを開ける……。

第4話
「轟音放屁」との闘い! ビルの屋上での死闘の末、峰打ちの後で助けるも「俺は放屁で人を殺めることしか知らない人間なんだ、死なせてくれ」。「何を言ってるんだ、放屁などなくても生きてい

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放屁無頼 #2(途中)

放屁無頼 #2(途中)

放屁無頼

2
「すかしのアニキ、へへっ、調子はどうですかい?」
出所以来、ドロ亀はおれの前にたびたび現れるようになった。

料理の支度の邪魔だ、帰ってくれ。
寝泊まりしているボロい長屋の共同流し場で、おれは芋を洗いながら吐き捨てるように呟いた。

「アニキ、いい加減にあっしの話に耳を傾けてくださいや。絶対に悪い話じゃござせんて」
無視して芋を洗い続けるおれに向かってドロ亀は続けた。
「こう言っち

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放屁無頼 #1

放屁無頼 #1

放屁無頼

1
久しぶりのシャバの空気は、しんと冷えていた。空にはひと雨降りそうな曇がどんよりと漂い、ムショの中と変わらないくすんだグレーの風景が広がっていた。
さて、仕事とアパートを探すとするか。おれは最寄の駅を目指して歩き始めた。

「ダンナ、どこへ行くんでげす? アテはあるんですかい?」
橋に差し掛かったところで、見知らぬ男が声を掛けてきた。背が低く、頭は無残に禿げ、左目には眼帯、汚い腹巻き

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