何回見たって難解だ。

昨日今日で映画を3つも見てしまった。

一つ目ウィンターズ・ボーン

粗筋はこうだ。

この作品の舞台は寂れた辺境の地。そこに住んでいるのは血縁関係にあるが、それぞれ独立した家族である。そこでの生活は人里離れた暮らしぶりという感じで、薪を割ったり狩をしたりして華やかな生活とは無縁だ。主人公はわずか17歳の女の子だが、実質一人で年離れた弟と妹の世話をしている。何故ならば、父親が麻薬製造の罪で拘留され、母親が精神を病んでいるためだ。そんなギリギリの生活に、外から警察がやってきてこう言う。「お前の父親が出廷しないため、保釈金の担保となっているこの家はこのままでは差し押さえになる。」娘は父親を探すために動き出す、幼き兄弟達の生活を守るために。

この映画を見て印象に残るのは終始漂う、山村部集落の独特の暗さである。どんよりした天候のシーンが多く、それも拍車を掛けているのだろう。

アメリカ のホラーは日本のホラーと比べて驚かすだけで、刹那的だという評があるが、全くそんなことはないと思う。シャイニング、ヴィレッジetcじわじわくる怖さを要素として持つ映画はいくつもある。ちょっと前に見たゲットアウトなんかも凄く怖かった。

何はともあれ、この映画は登場人物があまり多くを語らず行動する映画である。従って普通の映画以上に文脈を追っていかないと、不十分な理解のまま終幕となってしまう。是非、これから見る人がいたらじっくりと映画に向き合って欲しい。その価値がある100分だ。

二つ目はゴーン・ガール

デヴィットフィンチャーといえば「セブン」「ファイトクラブ」「ソーシャルネットワーク」で有名な監督で、この三作はまぎれもない名作だ。

見終わった後、何故この映画をもっと早く見なかったか激しく後悔した。それぐらいにクールな映画だった。

先日アウェイクを観て、その感想をノートに投稿した。正直言うと、アウェイクには個人的には納得しかねるシーンがある。幽体離脱する主人公のシーンがあって、それを心象風景として捉えればありな表現なのかもしれないが映像にするには少々ダサいと感じた。

しかしゴーン・ガールにはそのような表現はなく、リアルに描写を追求している。実話が元になっていることも盤石さを形作っているのかもしれない。

粗筋は簡潔にとどめると、こういう感じになる。

ミズーリ州の平凡な町。理想的な物書きの夫婦、誰もが褒めそやすような完璧な妻がある日結婚記念日に失踪した。失踪現場の自宅ではテーブルがひっくり返され、妻のものと思われる血痕が残っていた。何故妻は急に消えたのか。事件性があるのか。全てが手探りの中、警察と協力して夫は妻の大々的な捜索に乗り出す。

やや脱線するが、いろんな映画の粗筋を見て、本編を見ると、粗筋というのはミスリードを誘うきらいがあるなぁと率直に思う。語義としては本編の要約的な意味であるべきなのだが、多分それだと人を惹きつける文章にならないのだろう。だから面白おかしく巧妙に仕掛ける。かといってよほど訓練された鑑賞者じゃなければ粗筋に引っ張られてミスリードに引っかかるので、それは作者の意図と違う読み方、鑑賞の仕方になるのかなと思うと粗筋の存在意義はよくわからなくなってくる。

映画の感想というのは大いにネタバレを含んでしまうので、あまり個人的には書くのが得意でない。いかにそのネタバレを抑えて魅力的に思わせるかは未だに塩梅が分からない。小学校の読書感想文のようなものなら、思ったことを全部書けばいいので楽だった。まぁ先生はネタバレラッシュを食らうので、果たしてそれでいいのかと思わないでもないが


3つ目の映画は気楽に見れるコメディで、インターンシップという映画だ。

時計屋で敏腕営業マンをやっていた二人組の中年男が、不況の煽りを受けて会社が倒産、第二の人生をグーグルのインターンシップに賭けるというコメディ臭満載の内容である。

実際のグーグルのオフィスで取材してるらしく、食事や飲み物が無料だったり、昼寝用ポッドがあったり、何て羨ましい職場なんだと思いつつも、ある種IT偏重へのアンチテーゼとして風刺の側面も見られて驚いた。勿論、実際のGoogleは成果主義らしいので容赦無くクビになる社員が一杯いる現実は知っている。そういう部分はあまり描かず、天国のような職場という側面を強調していてそこはファンタジーチックだった。

どういう意味でアンチテーゼかというと、営業という人と人のコミュニケーションという蔑ろにされがちで旧時代的なスキルが結局肝になるんだよという作品のメッセージである。そもそも映画制作会社自体が表面的には最新のVFXを使ったりしつつも保守的なスタイルの土壌なので、昔気質なものを贔屓する傾向にあるのかもしれないが、そのことを差し引いても納得する内容ではある。つまり、どんなサービスも人が使わなければ意味がないのである。人にどうやって使わせるか、その人が困ったらどう手助けするか、という根本部分はやはり人がやるしかない。そういう意味でコミュニケーションスキルで食ってる営業職というのは大事なんだよ、というメッセージがこれでもかとpushされてくる。

実際前線の人は何を考えているのだろう。多分ハァ?営業とか何もしねぇじゃん仕事増やすだけでさぁ とかって感じなのかな。自分の印象でしかないから間違ってたらごめんなさい。

いつか自由な気風の所で、少し働いてみたいなぁと思わされた映画でした。

#映画 #ウィンターズボーン #ゴーンガール #インターンシップ #GW


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