MTGのデスノート(または、ファイレクシアン・ドレッドノート入りデス&タックス)の話

本記事は、タイトルが出落ちです。マジック:ザ・ギャザリング(以下、MTG)のレガシーのアーキタイプ、デス&タックス(以下、デスタク)への、新機軸のアプローチを試みた記事です。このタイトルに興味を持った方々に読んでいただければ幸いです。
また、このデッキコンセプトには先駆者がいらっしゃいましたので、そちらもぜひご覧ください。
マナカプデッキ探訪 Vol.5「デスタクにドレッドノートを混ぜてみた件」【レガシー】|Mana Capsule|note

1.デスノート(MTG)の紹介


『デスノート』という漫画をご存知だろうか。「名前を書くだけで人を殺せる」死神のノートを手に入れた天才高校生が、犯罪者を抹殺して世界に新たな秩序を齎そうとする物語だ。ジャンプ作品らしからぬダークなストーリーと頭脳戦が人気を博し、様々なメディア展開も行われた。名作なので、読んだことがない方は是非1度手に取ってもらいたい。
ところで、実はMTGにも『デスノート』がある。死神のノートではないし、名前を書くだけで一撃必殺というほどの威力ではないが、デスノートがあるのだ。というか作った。

デスノート
4 ルーンの母
4 静寂をもたらすもの
4 トカートリの儀仗兵
4 スレイベンの守護者、サリア
2 エーテル宣誓会の法学者
2 聖域の僧院長
4 ファイレクシアン・ドレッドノート
3 悟りの教示者
4 剣を鍬に
1 真髄の針
4 霊気の薬瓶
1 倦怠の宝珠
6 冠雪の平地
2 カラカス
1 トロウケアの敷石
1 古えの居住地
2 古えの墳墓
3 リシャーダの港
4 不毛の大地
4 ウルザの物語

サイドボード
2 大変動
1 流刑への道
3 静寂の呪い
2 耳の痛い静寂
2 浄化の印章
2 安らかなる眠り
1 真髄の針
2 世界のるつぼ

これがMTGのデスノート、ファイレクシアン・ドレッドノート入りデス&タックスだ。誰がなんと言おうとデスタクである。ルーンの母サリア不毛の大地リシャーダの港霊気の薬瓶が入っている白単がデスタクでないなどということがあるだろうか?

「デスタクです(真顔)」

軽く動きを説明すると、マナ拘束により相手の動きを制限するのは(通常の)デスタクと変わらない。しかしこのデッキは、トカートリの儀仗兵静寂をもたらすもの倦怠の宝珠からファイレクシアン・ドレッドノートを戦場に送り出し、2回の攻撃で勝利することを理想としている。ETB能力を咎めるこれらのヘイトベアは、単体でも機能する上に2マナと軽く、霊気の薬瓶や古えの墳墓を絡めれば、2ターン目にドレッドノートを着地させることも可能だ。一方で、石鍛冶の神秘家ちらつき鬼火などのETBクリーチャーは全て解雇されている。

2.構築の経緯(デスタク考察と問題提起)

このデッキを構築したのは、私がデスタクというデッキに対して抱いた違和感がきっかけだった。それは「デスタクは2つの戦略を内包しており」「それらがさほどシナジーしていない」という感覚である。
デスタクが内包する戦略は、以下の2つに分けられる。

①マナ拘束とヘイトベア … スレイベンの守護者、サリア、リシャーダの港、不毛の大地などで相手の動きを制限する

再録おめでとう

②アドバンテージ … 石鍛冶の神秘家、護衛募集員、ちらつき鬼火などで頭数を増やして殴り倒す

かなり出世した人(値段的な意味で)

デスタクは由緒正しいレガシーのデッキで、このコンセプトは長らく変わっていない。だがこの2つの戦略は、シナジーしていると言えるだろうか?
①の戦略が強力であることは言うまでもない。レガシーはマナ基盤がタイトな特徴があり、そこを攻められると脆いデッキも多い。高速コンボが闊歩するレガシーで打ち消しを持たないデスタクが生き残っているのは、この戦略の強さを証明している。
しかしこの強さは、ゲームが長引くほど失われていく。ロングゲームになれば相手は追加の土地を手に入れ、マナ拘束を振り切って強力なカードを繰り出してくる。そのため早期に勝利することが望ましいのだが、一方で②の戦略はキルターンが早いとは言えない。最大のフィニッシャーである石鍛冶の神秘家(から繰り出される殴打頭蓋カルドラの完成体)は安定したクロックだが、相手のライフを削り切るのにプレイしてから最低4ターンはかかる。マナ拘束に土地を使っていれば、さらに遅れていくだろう。デスタク使いであれば「マナを縛って相手を追い詰めたが、最後のターンで1マナ間に合われて負けた」という経験が少なからずあるのではないだろうか。

「速さが足りない!」

この結論に至ったことで、私はこのように考えた。「①の戦略をより強く運用できる、キルターンの早いデスタクが組めれば、より強力なデッキになるのではないだろうか?」それを実現するのがこのデッキである。

3.カードの取捨選択とその理由

調整では以下のようなカードを検討した。現在は採用していないが環境次第では十分採用できるカードもあるため、参考程度に留めて頂くのが良いだろう。

・エーテル宣誓会の法学者
このデッキのベストヘイトベア。2/2/2のサイズで安定で、高速コンボのメタカードとして強力に機能しつつ、自分のコンボはほぼ阻害しない。悟りの教示者でサーチできる点も高評価。

・レオニンの裁き人
フェッチランドの妨害を期待して採用したが、サリアとのかみ合いがあまり良くないと感じた。薬瓶から奇襲的に繰り出すのは強いものの、繰り返し使えば効果も薄くなるため、現在は不採用。

・ヘリオッドバリスタ
サブプランとして採用していたが、ウルザの物語とのかみ合いがよくなく解雇された。

・迷宮の霊魂
2枚以上のドローを阻害できるヘイトベア。使用感は悪くないのだが、私がプレイしている環境は高速コンボが多く、十分な抑止力としての効果が感じられなくなったため解雇。フェアデッキが多い環境であれば十分採用を検討できる。

・聖戦士の奇襲兵
2/3/1の解呪生物。1マナ浮かせるのが辛く、激しい叱責で無力化されるため解雇に。

・高名な弁護士、トミク
デプス等の土地が絡むコンボへのヘイトカード。一時期はサイドに入っていたが、ダブルシンボルが辛く、刺さるデッキが少なくなったため解雇。環境次第では復帰も十分ありうる。

・聖域の僧院長
コンボ対策に採用。白のダブルシンボル3マナが辛いものの、強力な抑止力となる。しかし最近では激しい叱責により無力化される恐れもあるため過信は禁物。

・耳の痛い静寂
高速コンボ対策。激しい叱責によりヘイトベア戦略が無効化されるため、非クリーチャーの1マナは大変心強い。虹色の終焉には注意。

・静寂の呪い
高速コンボ対策その2。特定の呪文を2マナ重くする1マナエンチャント。デスタク相手に追加2マナを絞り出すのはかなり厳しく、重ね張りすると効果抜群。

・墓掘りの檻
手軽な墓地対策だが、ウルザの物語からドレッドノートをサーチできなくなるため不採用。

・モックスダイアモンド
マナ加速だが、手札消費が激しすぎたため解雇。

・世界のるつぼ
ウルザの物語の登場により採用されたロングゲーム向けカード。使用感は悪くないが、まだ本採用と言えるほどではない。

4.終わりに

実はこのデッキを構築したのは2年前(2020年6月)で、以来定期的にこのデッキを調整して使用している(両手で数えられない程度には3-0している)ため、コンセプトとしてはそれほど新しいものではない。だが今回、友人Gに唆され、Noteにオリジナルデッキとして記事に起こすことにした。このデッキを面白いと思い、調整して実際に使ってくれる人がいれば幸いである。

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