溶けかけの甘いアイスクリーム--妄想コーデ

いやだなあと思っているのに、毎日毎日死ぬほど暑いからいちご味のアイスクリームばかり食べている。口の中がべたっとする、ミルクベースのいちごアイスは夏には不向きだと思いながら、それでも目につくと買ってしまうのは、子供のころ仲良しだったあの子が「いちごアイスが一番好き!」と言っていたからかもしれない。駄菓子屋の前においてあるベンチに並んで腰をかけて、あの子はいつもいちごアイスをおいしそうに食べていた。私は何味を食べていたっけ。そもそもアイス、食べていたっけ。あの子が「あ~」と声を上げ、暑さで溶けて手につたった、薄いピンク色の液体を舐める楽しそうな横顔は覚えているのに、どうして思い出せないんだろう。とっくに大人になった私は、一人暮らしのベランダでピンク色の夕焼けを見ながら、同じ色をしたいちごアイスを食べている。口の中でゆっくり溶かしても、やっぱり口の中には締まりのない甘みが広がるだけだった。ピンク色の夕焼けはゆっくりと紫に染まっていって、風にも夜の香りが混じり始めた。溶けたいちごアイスが手に伝って、私は「あ~」と声を上げた。

TOPS/Shirt : UNIQLO
TOPS/Tanktop : GU
BOTTOMS : KINJI(Used)
SANDAL : Teva


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