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狂騒の先に起きること ーTHCH規制を受けてー


 
2023年7月24日に開催された指定薬物部会にて、同年8月4日からΔ9-THCH及びΔ8-THCHが規制されることが決定しました。
https://kanpou.npb.go.jp/20230725/20230725t00055/20230725t000550001f.html

前回の指定薬物部会から一ヶ月という迅速対応ではありますが、これは例えるなら表の玄関を封鎖したものの、裏口は開放されている状況です。
THCHが目下、流通規模最大の新規合成カンナビノイドであることは間違いありませんが、同時にTHCB、HHCP、HHCHなどのその他の精神活性成分も既に楽天市場で取引されています。8月4日以降は、これらの成分がTHCHに代わる地位を占めることになります。中にはTHCHリキッドのラベルを貼り替えて、THCBリキッドとして販売するところもあるかもしれません。今回の厚労省の対応は、“やってる感“を演出する以外、目立った意義はないと言えるでしょう。

健康被害の予防という観点からは、むしろ今回の規制導入は悪影響を及ぼすのでは無いかと心配しています。
以前にも指摘しましたが、今起きている新規合成カンナビノイド規制のラットレースは、10年前の脱法ハーブを巡って繰り広げられた騒動を完全に模倣しています。
(詳細については過去記事をご覧くださいhttps://note.com/doctormasataka/n/ncf881a78af44)

今回HHCから始まった規制は3回目であり、8月4日以降に流通する製品は“第四世代“ということになります。
10年前の脱法ハーブ時代を知る方々は“最初は本物の大麻に近い作用があったものが、規制が重なる毎にモンスター化が進んでいった“と口を揃えます。そして健康被害が本格化したのは第4世代以降のようです。既にTHCHの時点でHHCよりも扱いが難しくなっているような印象を個人的には受けますし、先日お会いしたベテランのヘッドショップ経営者さんは、“HHC以降はリスクを懸念し手を引いている“と仰っていました。

この先どこかで、事業者とユーザーはそれぞれが選択を迫られる日がやってくるのではないかと懸念します。
現在のペースだと、2023年末には“第六世代“の合成カンナビノイドが主流となるとして、それが100人に1人、けいれんと意識障害を引き起こすようなものだったと仮定しましょう。その際に販売や使用を継続するのか?それとも手を引くのか?口で“健康リスクのあるものは売らない“と言う事は簡単ですが、仮に何百万円もの仕入れをしてしまっていたら?店舗を立ち上げるのに多額の投資を行っていたら?そう簡単に手を引くことができるでしょうか?判断は個々に委ねられますが、線引きを巡って大きな分断と論争がネットでは行われるでしょう。
全ての事象に対して当てはまることですが、ネットで罵り合うことで問題は解決しません。重要なことは合成カンナビノイドによる大事故が起きないような自主規制の枠組みを、可能なら規制当局を交えた対話の上で模索していくことではないかと思います。

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