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初動負荷とウエイト

初動負荷トレーニングを推奨している方の中には、ウエイトトレーニングはやらない方がいい、初動負荷だけで十分だ、といったことを言う方がいて、割合的にもかなり多いように感じます。というのも、ワールドウィングのほとんどのスタッフがそのようなことを言います(ビジネス上しょうがない部分もあるかもしれませんが)。

言いたい事は十分分かります。初動負荷トレーニングのように筋肉の反射を使うことが望ましいことは言うまでもありません。その動きを作ることが初動負荷トレーニングの最大の目的の1つであって、反射を使う動作が理想的であることは私も思っています。初動負荷トレーニング自体は素晴らしいトレーニングであることは間違いありません。

一方で、ウエイトトレーニングは終動負荷と言われるように、初動負荷トレーニングとは対極のトレーニングにあるとされています。

しかし、私はウエイトトレーニングは基本的には必要だと思います。

初動負荷トレーニングだけで良い、ウエイトトレーニングは必要ない、と言われる理由には大きく2つ考えられます。

1つ目の理由が
リラックスして伸張反射の動きが出せない
です。

伸張反射は、弛緩→伸張→収縮というリラックスした上で成り立つ身体の現象です。初動負荷トレーニングはその過程を身体に染み込ませるのが目的の1つで、意識的に筋力を使わないような動きを身につけることがテーマになります。逆にウエイトトレーニングは伸張反射は使わず自らの筋力で重さを扱うトレーニングとなり、リラックスするフェーズがなく伸張反射とは無縁のトレーニングになります。重量を軽くすればウエイトトレーニングでも伸張反射エクササイズは可能ですが、初動負荷トレーニングとの大きな違いは、股関節や肩関節の回旋があるかどうかです。ウエイトを否定している方の想像している種目は、ベンチプレス100kg,スクワット200kgなどといった明らかに力んで自分の筋力を使って重量を扱うトレーニングです。確かにこれらのトレーニングは伸張反射は使いません。

BIG3のようなウエイトトレーニングは確かに伸張反射は使わないですが、ウエイトトレーニングでの扱える重量が上がることで伸張反射で発揮される筋力は高まります。当然ですが、初動負荷トレーニングで、例えば、小学生と大学生では扱える重量には差が出ます。その理由は言うまでもないですが、単純な筋力に差があるからです。
反射のパワーを使うといっても、筋力が無い人の反射パワーと、筋力がある人の反射パワーを比較したら、明らかに後者の方が反射パワーはあります。

中にはウエイトトレーニングのパワーはないけど、反射パワーが強いという方もいますが、全員に当てはまるわけではなく、少数派であると思います。そういった人もウエイトトレーニングで筋力を上げれば、伸張反射の力が上がる可能性は高いです。

ウエイトトレーニング自体は伸張反射を利用しないものですが、ウエイトトレーニングで筋力アップさせることで反射パワーを間接的に強めることが可能になるわけです。

イチロー選手がウエイトトレーニングを否定していますが、初動負荷トレーニングに取り組む前はウエイトトレーニングをしていました。ウエイトトレーニングがベースにあって、初動負荷トレーニングが活かされたのだと思います。

そもそもの基礎筋力がないのに、初動負荷に頼っていては、伸び代はありません。確かに正しく行えば、身体の使い方は上達し、スポーツのパフォーマンスが上がるでしょう。しかし、筋力が低ければ、すぐに限界が来ると思います。


2つ目の理由が
可動域が低下する
です。

初動負荷トレーニングで可動域アップする理由には2つあって、1つはストレッチがかかることによる可動域向上、もう1つは回旋動作を伴うことによる可動域向上です。

ウエイトトレーニングは可動域をしっかりと使ってあげれば可動域はむしろ向上します。私はデッドリフトによってハムストリングの柔軟性アップした経験があります。ウエイトトレーニングも実はストレッチのかかる種目が多いので、やり方を間違わなければ可動域が落ちることはありません。

回旋運動に関しては、ウエイトトレーニングは基本的に直接的な運動なので、回旋が入る種目を知っている人は少ないかもしれませんが、

こんな感じで工夫すれば意外と回旋動作を入れることは可能です。直線的なウエイトトレーニングでは可動域が落ちる可能性もありますが、そこに回旋が加わることで防ぐことが可能です。


◯まとめ
初動負荷トレーニングでは伸張反射を利用した身体の使い方、リラックスして筋力を発揮することを目的の1つにしている。
ウエイトトレーニングでは伸張反射を利用することは少ないが、ベースの筋力を上げることで伸張反射の筋力を上げることができる。
初動負荷トレーニングは可動域向上の効果が期待できる。
ウエイトトレーニングは取り組み方を気をつければ可動域向上させることも可能である。


どちらが良い/悪いではなく、明確な目的を持ってそれぞれ良いところを利用していけばいいですね。初動負荷やウエイトに限らず、全てのことに言えると思います。

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