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社労士試験 予備校では教えないポイント解説 vol.038

労働基準法(37)

年次有給休暇中の賃金

年次有給休暇中に支払われる賃金は、
1)平均賃金(労働基準法第12条)
2)通常の賃金(労働基準法施行規則第25条)
そのいずれかですが、そのいずれによるかは、あらかじめ就業規則その他に定めておかなければなりません。
ただし、
3)当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、そのような組合がない場合には労働者の過半数を代表する者との間で、書面による協定を締結して(所轄労働基準監督署長に届出る必要はありません。)、健康保険法第40条1項に定める標準報酬月額の30分の1に相当する金額(10円未満四捨五入)を支払う旨を定めたときは、これによらなければなりません。
なぜ3)だけ労使協定が必要かといえば、『標準報酬月額』とは、健康保険や厚生年金の保険料を算定するための元となる金額なのですが、通常、毎月、残業代や諸手当などが変動するので、この変動する賃金を計算して、毎月、保険事務所などに届出るのは、会社側にとっても保険事務所側にとっても負担が大きいので、皆さんも承知されてるかもしれませんが、(原則)4月・5月・6月に支払われた賃金を3で割った額を、標準報酬月額表に当てはめて、1年間は『報酬●万円』として保険料などの計算をします。。。というものです。保険料乗率が1000分の●なので1万円単位だと計算結果に端数が出ないという利点もあります。ではなぜ、標準報酬月額を利用すると労使協定が必要なのかといえば、標準報酬月額は、大体2万円ぐらいの幅の『センター値』としているので、ちゃんと計算した賃金と最大1万円ほどのズレが生じますので、保険料などについて、少しですが損する人や得する人が出ますので、あらかじめの労使協定が必要となるわけです。また、労使協定を所轄労働基準監督署長に届出る必要がないというのは、毎年、標準報酬月額は改定されるので、損する年もあれば得する年もあり、長い目で見れば損得なし。。。だからという理解で大丈夫です。(理由は試験には出ません。)
【(日によって)労働時間が異なる場合等の取扱い】
年次有給休暇中の賃金は、あくまで年次有給休暇取得日における契約内容によって支払わなければなりません。その年次有給休暇の付与を受けた『基準日』の契約内容ではありません。
したがって、1日4時間勤務の時間給制の労働者の勤務を、その後、1日6時間勤務に変更した場合は、4時間勤務の時に発生した年次有給休暇であっても、6時間勤務になった後に取得した場合は、6時間分の賃金を支払わなければなりません。決して『2時間分が欠勤扱い』となって給料が減ることはありません。逆に、6時間勤務が4時間勤務となった場合ですと、支払われる賃金は4時間分です。
【通信の賃金】
『通常の賃金』の額は、変形労働時間制や、そもそも毎日労働時間が変わるパートさんのような場合は、その年次有給休暇を取得したその年休日の所定労働時間に応じて算定されます。ですから、所定労働時間が長い日に休んだ方が得。。。にはなります。ま、使用者もその辺りの事は判ってるはずですから、『平均賃金』を採用するのではないかなぁ。。。?とは思います。
また、出来高払制その他請負制によって定められた賃金については、その賃金算定期間(当該期間に出来高払制等によって支払われた賃金がない場合には、当該期間前に出来高払等によって計算された賃金が支払われた最後の期間)において出来高払制等によって計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における総労働時間数で除した金額(つまり、1時間当たりの平均賃金額)に、当該賃金算定期間における1日平均労働時間数を乗じた金額(つまり、標準的な1日の賃金額)となります。
具体的な計算問題は試験には出ないとは思いますが、計算結果ではなく『計算過程』が問われる可能性もありますので、式を要約してまとめると、
・1時間当たり平均賃金額✕1日の平均労働時間=標準的な1日の賃金額
という当たり前の話になります。。。

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