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【共創コラム】360度視点のXR技術に自治体が注目! 長崎県五島市発の実証をレポート!

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皆さんこんにちは!ドコモ・ベンチャーズです。

私たちは、日経BP総研 イノベーションICTラボとのパートナーシップで「未来共創Lab」を展開しています。

これまで足かけ6年にわたり、ドコモ・ベンチャーズやNTTドコモ、NTTグループとのコラボレーションを発信してきました。それらの実りある取り組みをnoteでも紹介していきたいと思います!

今回は、長崎県五島市の移住支援相談会で行なったXR技術の実証をレポートします!

■XR技術を体現する「Avatour(アヴァツアー)」とは?

現在、XR(VR、AR、MRなどの先端技術の総称)、あるいはメタバースと言われる仮想空間の技術が注目されています。

ドコモ・ベンチャーズは2021年5月、XRツールの「Avatour(アヴァツアー)」を提供する米Avatour社に出資。続く7月にはNTTドコモが5GパートナーソリューションとしてAvatourの販売を開始するなど、NTTドコモグループが連携して普及を後押ししています。

Avatourの特徴は、市販の360度カメラやスマートフォンを利用し、自分が撮影した360度映像を複数の参加者向けにリアルタイムで配信できる点です。参加者はパソコンやスマートフォンで画面をドラッグしたり、VRゴーグルを用いて視点を移動したりするだけで、遠隔地の好きな場所を閲覧できます。

加えて、参加者が配信者に対して見たい場所を即時にリクエストしながらの会話も楽しめる双方向コミュニケーションが可能。リモートでありながらこれまでにないリッチな立体空間を共有できるため“よりリアル”な仮想体験に没入できます。

画像1Avatourの利用イメージ

■五島市がAvatourを移住支援相談会で試してみた!

現在、NTTドコモグループはAvatourを活用した複数の取り組みを進めています。その1つとして、2021年12月に長崎県五島市の移住支援相談会で体験会を開催。東京にある「日本橋 長崎館」と五島市を結び、移住希望者を中心に、VRゴーグルによる360度リアルタイム空間共有体験を提供しました。

長崎県の西方100キロメートルに浮かぶ五島列島は、大小約150の島々から構成。五島市は五島列島の南端に位置し、約3万5600人の人口を誇る五島列島の中心都市でもあります。

画像1五島市の風景。美しい海と豊かな自然が特徴で、観光地としても名高い

相談会では、五島市役所職員の平野梓氏が観光スポットをリアルタイムで配信。広大な東シナ海を一望できる魚籃観音展望所、白砂の天然海水浴場として人気の高い高浜海水浴場を案内しました。

画像1現地でガイドを務めた生粋の島っ子の平野氏(左)

遠く離れた東京会場の参加者たちは映像を見ながらのコミュニケーションを存分に楽しみました。「名産は何ですか?」「五島市の魅力は?」といった質問が次々に寄せられ、そのつど平野氏が地元住民ならではの切り口で誠実に答えていきます。その様子をたとえるなら、スタジオの観客と現地リポーターを結ぶテレビの生中継。それを360度視点で体験できるところにAvatourの新しい価値があります。

画像2日本橋 長崎館でAvatourのリアルタイム観光ガイドを楽しむ参加者

■一歩先をめざしたAvatour実証の背景

近年、五島市では移住者が増えており、2020年度の移住者数は204人。そのうち、30代以下が約8割にも上ります。

若年層の移住増加の背景には、移住定住促進サイト「五島やけんよか!」での活発な情報発信や、毎月第2木曜、第4土曜・日曜に開催している無料のオンライン移住相談会の実施があります。これらのオンライン活用との親和性が、一歩先をめざしたAvatourの実証へとつながりました。

画像1平野氏は五島市の魅力を「田舎暮らしと、それなりの便利な暮らしを両立できる点がメリット」と話す

「最大のきっかけは、新型コロナウイルス感染症の蔓延で五島市への下見が難しくなったこと。Avatourでライブ配信ができれば、現地に来なくても五島市のリアルな空気感や生活感を伝えられると考えました」(平野氏)

現地で協力したNTTドコモ九州支社の日髙久登氏は「導入事例が少なく、シナリオ作りにも苦労しましたが、一般的な機材を使えるということで平野様をはじめとした担当者の方々がスムーズに操作できました」と話します。

実証計画の遂行や技術のチューニングを担当したNTTドコモ イノベーション統括部 担当部長の福井景一氏は「遠隔地に臨場感のある映像を届け、撮影者と参加者の方々がお互いに楽しみながらコミュニケーションを取ることができたのは収穫。今回は移住支援がテーマでしたが、教育や医療などほかの領域での事業展開にもチャレンジしていきたいと考えています」と将来的なビジョンを話してくれました。

■ドコモ・ベンチャーズの着目ポイントと今後への期待

出資を担当したのは米国シリコンバレー支店 マネージャーの飯野友里恵氏です。飯野氏は、出資に至った経緯をこのように語ります。

画像3ドコモ・ベンチャーズ シリコンバレー支店 マネージャー 飯野友里恵氏

「Avatour社との出会いはロックダウンが叫ばれた2020年初頭で、リモート会議が浸透し始めた頃。それまでフェイス・トゥ・フェイスで行なっていた現場作業を、いかに距離を感じさせることなくリモート環境下で再現するか。その解として非常に有望な技術と感じて出資に至りました」(飯野氏)

具体的なBtoB用途には建設現場、工事現場、工場の視察などが挙げられます。例えば撮影者に指示を出すことなく、遠隔からの参加者が自分の望む視点で見たい場所を見ることができるので、リモートでの確認作業が格段に楽になります。飯野氏は「この体験は従来のリモート会議システムとは決定的に異なっており、実証した企業からは高い評価を得ています」と話します。

さらにここまで触れてきたように、一般的な機材でセッティングできる点が導入のハードルをぐんと下げます。「グローバル展開を見据えたとき、専用機材があるとコストや導入面でネックになってしまいます。しかし360度カメラやスマートフォンは世界のどこでも販売されているので、Avatourのアプリケーションさえあればすぐに運用を開始できるのが強みです」(飯野氏)。

■まとめ

2020年以降、リモートワークは日常の一コマとなりました。仮に新型コロナが収束しても、元の世界には戻らないと言われています。今後は5Gが本格的普及のフェーズに入り、XR技術がさらに進化して社会の中に溶け込んでくると予想されます。仮想空間と現実空間のハイブリッド体験を実現するAvatourの快進撃に期待したいところです。

(元記事はこちら)
未来共創Lab
https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NXT/22/nttdocomov0218/

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