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事業を作るまでに必要だった7つのこと

本日は、docomo STARTUPより5月31日にスピンアウトした株式会社CrossVision 代表取締役社長 奥井颯平氏より、事業を作るまでに必要だった7つのことというテーマでお話ししていただきました。

株式会社CrossVision 代表取締役 奥井颯平
2017年 NTTコミュニケーションズに入社。AI事業(現「AI suite」)の立上げとグロースをコアメンバーとして推進。対話型生成AI技術の研究開発、サービス適用を担当。
当時からブロックチェーン技術に興味を持ち、GameFiやNFTなどエンタメに活用できる技術の習得を開始。
2022年 にweb3開発支援プロダクトを立ち上げ、ドコモグループ内でのweb3の知見拡大に貢献。
NTT ドコモグループの新規事業創出コンテストで金賞&オーディエンス賞受賞。2023年 音楽NFTサービス「Sound Desert」の実証実験開始。
2024年6月から「Sound Desert」をドコモからスピンアウトさせ、自身が代表を務める株式会社CrossVisionにてweb3技術の社会実装を推進。

株式会社CrossVision
web3技術を活用し、VTuberを中心としたクリエイターのデジタルコンテンツを企画から制作、販売まで支援する「Sound Desert」を展開。

事業を作るまでに必要だった7つのこと①、②

1つめは、ドコモグループでのキャリア構築、2つめは社外での経験、情報収集、仲間づくりでした。
私は、生成AIの研究をやりながら、プロモーション向けソリューションの提供など、ドコモグループでのキャリア構築と、社外活動としてはさまざまなことに挑戦し、最終的にWEB3やNFTを自分の軸として定めてきました。
ただ、さまざまなことと言いつつ、ネットビジネスという領域に自身の活動領域を絞って、その領域のなかで多彩に活動する、ということをしていました。
会社の自分だけではなく、奥井颯平という自分自身の看板を磨くことをしてきた結果、本業の熱量や、説得力、推進力になっていったと思います。
 

事業を作るまでに必要だった7つのこと③

3つめは自分が何者かの定義をすることです。
入社1年目からAIの事業に携わっており、ゼロイチでのプロジェクトの立ち上げを担当していましたが、入社5年目に既存事業の保守運用担当となりました。
ただ、既存事業はディフェンシブな姿勢になることが多く、既存サービスの上に新しいサービスを作っていくことの難しさを感じました。

そこで、自分とは何者なのか、これまでの社内外での活動を振り返り、見つめ直してみたところ、自分がやりたいことは、世界に売れるコンテンツをつくること、と考え、ゼロワンドライブ(ドコモ社内のビジネスコンテスト)への挑戦、金賞、オーディエンス賞受賞に至りました。

事業を作るまでに必要だった7つのこと④

4つめは、業界のキーパーソンにパトロンになってもらうことです。
新規事業で結果を掴んだり、自身のアイデアを認めてもらうためにも、とても重要なことだと思っています。

そもそも私は、アイデアに価値なし、アイデアに基づく仮説をどれだけ検証したか、起業家としてどこまで行動できたか、が投資家やドコモが出資を判断する上で重要視しているポイントだと考えています。

この重要視されている検証を進めていくには、業界のキーパーソンにパトロンになってもらうことが必要になってきます。
なぜなら、仮説検証の過程、真ん中には顧客がいます。
SoundDesertの場合、三木道三さん、AkiraSunsetさんは顧客にあたり、顧客を軸に検証をさらに加速させていくことができました。
キーパーソンとともに事業検証を進めていくことで、社内や投資家を説得する材料にもしていくことができます。
 

事業を作るまでに必要だった7つのこと⑤

5つめは、仮説検証をともにするエンジニアの獲得です。
検証の中では、ヒアリングのたびにプロトタイプをつくり、そのサイクルをどれだけまわすかで快適なサービスになるか、が決まってきます。

このプロトタイプ=簡易的なアプリケーションをつくるには、一気通貫でつくれるエンジニアが必要です。

ポイントはお金をはらってやってくれる人ではなく、事業のビジョンに共感してくれて、前のめりに開発、顧客の声をきいてくれて自発的に改善してくれる人が必要だということです。
資金繰りがうまいひと、検証を計画的にしてくれる人は、外注で済ますという手段もあるかもしれませんが、エンジニアについては、上記のような人物を仲間として迎えることがとても重要だと思います。
 

事業を作るまでに必要だった7つのこと⑥

6つめは、PMFまでのシナリオ解像度を高めることです。
PMFとはプロダクトがマーケットにフィットしている状態(プロダクトが顧客課題を解決できるサービスになっている)を指し、仮説を検証していくなかでプロダクトがマーケットに受け入れる形にかえていく必要があります。

投資家のなかでは、完全なPMFには2年かかる、とよく言われており、同じく2年ほどのシードラウンドの期間を経てPMFを終えていくという流れになります。
投資家はシードラウンドで2年かけて、起業家がしっかりとマーケットフィットさせられる人間かどうかをみています。

なぜなら、シード期は、市場もプロダクトも安定せずにころころ変化することがほとんどですが、起業家の魅力、柔軟性、牽引力、嗅覚、行動力、などは不変だからです。
SoundDesertは、当初NFT市場が膨らむという仮説をたてていましたが、が急速にNFT市場が縮小するということを経験しました。
そこで、別の市場(ネットで活動するようなライブ配信者など)へ最先端技術を利用させていく仮説をたてて投資家を説得する、ということも実施してきました。
なにかトラブルや市場の動きがあったときに、新しい仮説をたてて、すぐに動けたことが、実際の資金調達にもつながったと感じます。
 

事業を作るまでに必要だった7つのこと⑦

最後の7つめは、投資家の心理を把握することです。
これから資金調達をされる方は、まず起業の科学を読んでみてください。
まずはこれを読まないと、土俵に立てないのでは、と思います。

また、さらに投資家のと面談を重ねて投資家の心理を把握していく、VC
や投資家の力学を学び、自身が発する言葉を最適化していく
、という就活に近いようなことをしていました。

就活との大きな違いは、噂の広まるスピードです。
投資家、VCの世界は、非常に狭く、悪い情報はすぐに業界で広まります。
まだ自分の実力が足りないな、勉強不足だな、と思う場合は、一度持ち帰って検討し直す方が良いと思います。
 

最後に

今回は私の経験から特に重要だと感じた7つのことをお話ししました。
事業アイデアや起業家の性質によって全てが綺麗に当てはまるわけではないですが、私のユースケースを参考に皆様に合った挑戦をしていきましょう。
ドコモの外で、起業家として皆さんに会えることを楽しみにしています!
 

Q&A

奥井氏より2つの質問にも回答していただきました。

①    キーパーソンへのアプローチのポイントは?

もてるリソースは存分につかうことと、自分が何者かを簡潔に語れる状態にしておくことです。私は、ドコモの名前やSNSを徹底的に活用しましたし、自身について簡潔に語れるということは、エレベーターピッチなどでのファーストインプレッションにも密接につながってきます。

②    事業検証のパートナーをみつけるポイントは?

ビジョンが大きい人を探すことです。
投資家やVCへ事業を説明していく上で、日本中、グローバルに広がるビジネス、ということを伝えることだきないと、相手にされないと思います。

③    資金調達をいただけた理由は?

共通していることは、VC側に私の事業に活用できるノウハウ、過去の事業経験がすでにあり、私の事業へ投資、ノウハウを活用していくことで、この事業がさらに伸ばせる、と思っていただいたことだと思います。
資金調達に際しては、自分の事業をのばしてくれる投資家とつながるということが大切だと思います。
 

docomo STARTUP運営者コメント

今回はdocomoSTARTUPの制度を利用してスピンアウトした「CrossVision」のCEOである奥井さんに、スピンアウト事業を作るまでに必要だった7つのことを語っていただきました。
 
奥井さん自身の実体験をもとにお話ししていただいたので、新規事業を創出する、スピンアウトする、なんて、なんだか想像もできないな、と思っている方々にもとてもわかりやすい内容だったのではと思います。
Docomo STARTUPからスピンアウトしたメンバーが共通して口にすること、それは、検証の大切さです。
検証を重ねていく中で、失敗やピボットをとにかく経験して、事業を立ち上げていく。
失敗やピボットを恐れず、むしろ必要なこと、と思い、挑戦していくことの大切さを改めて感じました。

docomo STARTUPについて

「docomo STARTUP」は、ドコモグループ社員のアイデアを事業化するためのプログラムです。不確実性の高い領域に対し、スタートアップで用いられる「リーン・スタートアップ」の手法をベースに、アイデアの検証を行い、事業化を目指します。
新規事業の成功確率は1000分の3(センミツ)と言われており、検証を進める中で事業化を断念・撤退することの方が多いですが、同時にチャレンジしなければ成功もあり得ません。
「docomo STARTUP」では、事業化にこだわりながら、チャレンジする人を最大限応援します。

3つのフェーズで構成される「docomo STARTUP」

「docomo STARTUP」は、新規事業のスキル・マインドを学ぶ「COLLEGE」、新規事業のアイデアを応募するコンテスト「CHALLENGE」、事業化の可能性が確認できた事業アイデアを育てていく「GROWTH」の3つで構成されます。

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